元三遊亭愛九・ツイート連発

私は、破門を繰り返すジェノサイド師匠に対してはいつも批判的である。
故小三治や、古今亭志ん輔などロクなもんじゃないと思っている。
破門が多い師匠のことを落語ファンが「厳しい」と誉めそやすのも大嫌いだ。実のところ、師匠の了見が狂っている、ただそれだけなのだ。
繰り返しそんな内容を書き記している当ブログ、今日は辞めた側への批判である。

先週、好楽師を聴きに亀戸梅屋敷寄席に出かけた件は記事にした。
円楽党には新しい、立派な前座のけろよんさんも誕生し、先行きが楽しみである。
だがつい最近、廃業した二ツ目もいる。
笑点のアシスタントで、よく画面に見切れている愛楽師の唯一の弟子だった、愛九。アイキュウと読む。

愛九は、ものすごいヘタクソである。
3年前に一度聴いて、心底びっくりした。その時点で、すでに二ツ目になって2年。
実にもって、たどたどしい語り。マクラの内容は忘れたが、ネタ自体は面白くなる可能性があるのに、伝えるすべがない。
下手だからといって、別にその時点で憎しみを抱いたわけではない。ブログにだって、別にボロクソ書くわけではない。
だがこの日、一緒だった家族と「愛九はびっくりするぐらい下手だね」と語り合ったのを覚えている。落語協会や芸協の寄席ではまず言わないこと。

ともかく、愛九が相当に下手なことはインプットされた。
その後、愛九が顔付けされているので亀戸行くのをやめたことは、二三度あったと思う。
二ツ目が気に入らないぐらいで行かないのかって? 前座を含め5人しか出ない亀戸なら、それほど珍しいことではない。
二ツ目の寄席、神田連雀亭に参加していなかったのは幸い。

ともかく師匠とのトラブルで辞めたらしい元ヘタクソ噺家野郎が、いろいろつぶやいている。
入院しているらしい。なにかの病気らしいが、情報を小出しにしているのでわからない。
辞めた件と入院、関係があるのかないのかもわからない。
匂わせ野郎のつぶやきは、ちっとも愉快ではない。

愛九がヘタクソだという評価が、辞めたあとまで大きくものを言っているのも事実。
金原亭乃ゝ香が辞めた件は、師匠にも問題がありそうだが、ちっとも残念ではない。
上手い噺家、将来性のありそうな噺家がトラブルで辞めたら、それはやはり残念なのだ。

その、辞めて好きにしたらいい元噺家のツイート。

円丈師の訃報を受けて。
辞めた一門は「アレ」だったらしい。
一門というのは、愛楽師の兄弟子である当代円楽師のところを指すのかと思う。
一般的な認識では、円丈師のほうが円楽師よりずっと厳しいのだが。

もっと気にいらないのがこれ。

落語はヘタだが、舌じまん。
有名人を引っ張り出してきて、それがドクター中松か。
ただのヘタクソから漂う、この妙な万能感はなにさ? 昔子役だったというのと無関係でないのかも。

私は、故三遊亭小圓朝や春風亭かけ橋、柳家小ごとのように、いきさつを黙っている人は持ち上げ、ペラペラしゃべる奴が気に食わないだけなのか?
その傾向は否めない。

辞めて(クビ)からペラペラ語った代表が、金田一だん平という人。
ずいぶん昔の話だが、興味ある人は、「落語家見習い残酷物語」で調べてみてください。
2007年ぐらいに、私は他区の図書館まで出かけ、このレア本を読んだ。
一人称で書かれているのに、作者の視点を通して眺める他人の側に感情移入をしてしまうという、実に不思議な筆致であった。
文学ならばすごいテクだが、単に作者が世間との接点をカケラも有していないということ。出版社も告発に加担したかったわけではなく、このメチャクチャ振りを面白がって出版したようだ。
たとえば作者がいったん入門した先の、三遊亭圓窓師の描写。
円丈師の「御乱心」では、日和見をする不誠実な人物として描かれており、読者もそういうモードで読み進める。
しかし金田一だん平が悪く書けば書くほど、圓窓師がいい人に見えてくるのだった。
同じく金田一が槍玉に挙げている、川柳川柳、林家正雀といった師匠も同様。

ちなみに、同じく弟子の告白としては「前座失格!?」もあるが、こちらは筆者の内省が充実しているので、読んで師匠・小三治が気の毒になりはしない。
小三治絶対のファンならなるだろうが。

関係者でないから、愛九の情報など持っていないのは当たり前。
今後の可能性として、元愛九が情報を小出しにしてきたとき、批判が徐々に師匠・愛楽に向いていく可能性も否定できない。
だが、このツイートを見る限り、了見が金田一だん平のほうに近い気がするな。
今後、情報を出せば出すほど、私自身が愛楽師にどんどん同情していってしまいそうな予感。
まあ、落語だけでなく、世間にアピールするのもヘタクソなんでしょう、きっと。

作成者: でっち定吉

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