プーク新作落語寄席2 その3(林家きく麿「二コ上の先輩」)

きよ彦さんは下の楽屋にいたら、2席続けて上からどんどん音が響いてきたそうで。いったいなにやってんだと。
そういえばごはんつぶさんは、しばしばヒーローの所作でもって立ち上がっていた。
落語で立ったり座ったりするなと自己ツッコミ入り。

お目当てが続く。ありがたいことである。
林家きく麿師の本編は、かつて黒門亭で聴いた「二コ上の先輩」だった。
「二」は漢字です。
プークのネタボードには「二個上の先輩」と書いてあった。DVDもこの表記だしそれでいいと思うけども、一度カタカナのほうでタグを作ったためこちらで。

二度目の本編も、劇中の「怖そうで怖くない話」が爆笑で楽しいものだった。
その前に、マクラがもうたまらない。
語り口と内容の両方が。

毎年プークでは白鳥師匠の前に出て、ご本人の悪口を散々言ってましたが、今年は仲入りです。
毎年出ていた芸術協会の鯉朝さんと枝太郎さんが今年クビになってしまいました。また鯉朝さんに電話します。

謝楽祭の話。
きく麿師は実行委員長。
副実行委員長を指名する。真打抜擢も決まったことだし、ふう丈にしよう。
いや、抜擢はわん丈だった。まあ改めての真打も決まったことだし。
湯島の天神さま周辺の店舗に、ポスターを掲示してもらうのは重要な仕事。
きく麿、ふう丈で組んで多数ある店舗を周る。
「店長いないんでわからないです。あ、置いておかれても困るんでえ」などけんもほろろの応対をする飲食店も多い中、ふう丈は常に愛想よく訪問する。
上手いなと思ったので本人に言うと笑顔で、「ぼく、心ないですから」。

きく麿師が二ツ目のとき、寄席に出た。
ロボット長短がやりたくなったきく麿師。でも寄席だから。
前座のふう丈に相談してみる。行きましょうよと力強い言葉。
思い切ってロボット長短をやったのに、ダダ滑り。
「客バカっすね」

そんなふう丈さんが、今日トリの前で出ます。

地元、三軒茶屋できく麿ファンの男の子を連れたマダムに声を掛けられたという話。
本当にきく麿ファンで、男の子は小林旭をよく歌っている。え、そっち?

マンタ倶楽部で宮古島に行った。
メンバーはきく麿、白鳥、彦いち、そして新メンバーはん治。全員の似てるモノマネが入る。
白鳥師のモノマネの際は、両腕を下に揃え背伸びして喋る。これがなぜだか激似。
要は高座でもって、ちょっとしたギャグをセリフで喋るときの白鳥師の所作の再現なのだ。

宮古島の最北のキャンプ場へ。
シャワーのあるこのキャンプ場と、もっと北の、本当になにもないキャンプ場と選べますとのこと。
白鳥、きく麿はシャワーもトイレもあるほうがいいと思ったが、彦いち師が「なにもないほうで」と言うのでそちらに行くハメに。
初日は居酒屋で食事し、キャンプ場に戻って一杯やっていた。
遠くのほうで雷が。
最年長はん治師が、怯えだす。「おれ、雷怖いんだよお」。
なんでもボーイスカウトのとき木の下に避難していたら、近所の木に雷が落ちたそうで。
雷はどんどん近づいてくる。
心配なので早めに解散し、各人のテントへ。

雷が近くで鳴って、はん治師から電話が掛かってきた。どうしたのかなと出てみると、「楽しいねえ」。
一晩雨が降り続いたが、翌朝は晴れていた。
テントから出てきた白鳥師は、なぜかずぶ濡れ。
「いやあー、チャックが壊れちゃってさあ」
なんだかとても楽しそう。

昼間は島の食堂へ。
白鳥師はゴーヤチャンプルー、きく麿師は野菜炒め。
ワイルドな彦いち師は、ヤギ汁の料理を頼んでいる。
はん治師だけ悩んでいる。
「沖縄なんだけどさあー、俺さあ、カツ丼食いたいんだよねえ」。
カツ丼の蓋をはん治師が取ったとたん、白鳥師が横から、目にも止まらぬスピードでカツの一切れをかっさらった。
温厚なはん治師が様子をガラッと変えて、「てめえ、ぶっ殺すぞ」。

実に楽しそうな人たちだ。
白鳥師は、楽屋でこれ聴いてて「はん治先生」出すことにしたんじゃなかろうか。

本編、二コ上の先輩の「怖そうで怖くない話」は、前回聴いてまるごと忘れてしまった。
関連がないと覚えられないのである。
今回は二度目なので多少覚えている。
どんな話でも、たとえつまらない話でも、二コ上の先輩が上手いことツッコんでくれるのですべて成り立つ。

まず百物語。怖い話を語る爺さんが百本目のローソクを吹き消すと、婆さんが出てきてハッピーバースデー。
女と部屋に入ると、ベッドの周りになにもかも脱ぎちらしてあって、女はおどけてチークを踊り続けている。ナイトスクープじゃねえかー。
口がぱっくり裂けた女が、マスクをして電柱の角にいる。バレてんじゃねえかー。
雨の中、自転車を漕ぐカッパ姿。

今回も大して覚えてないな。こんなもんだ。
しかし、これぞ話芸という見事な一席であった。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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