芸術協会の新着情報を読むと、「わどなんど寄席」というものが取り上げられている。
劇場の名は「弘前かだれ劇場」。
すでに落語の興行を今年4月から開催してきたらしいが、11月から芸協主催の寄席になったそうで。
仙台花座と同じ扱いなのであろうか。
劇場のサイトを見ると、柳家喬太郎師の独演会も開催されているが、これはもちろん芸協の興行ではない。
寄席としては11月上席・下席の案内が出ている。
上席、下席というと大層だが、それぞれ2日間である。昼夜開催。
終演時間は書いていないが、3人出るとなると1時間強というところか。2,500円という価格は高く感じないでもないが、東京の常識で判断しちゃいけない。
ところで、残念な間違いが。
出演者に「三遊亭園雀」と書いてある。「圓雀」ですね。園の字は噺家には使わないな。
芸協の噺家さんにとっては、活躍場所が増えて結構なことです。
このニュースを知ってすぐ、今度は那覇に寄席ができたというニュースを読んだ。
日本の北と南で同時に寄席のニュース。
「花園寄席」というもの。
古民家を改装したそうで。
公演のないときは洋菓子店になるそうで。珍しい使い方ではある。
この洋菓子店自体もともと人気のお店だったのだが、老朽化で閉店していたのだと。
どうでもいいのだが、琉球新報の記事に、寄席の前身が「パーマ屋」と書かれていて違和感が。
沖縄ではマスメディアも美容室のことを「パーマ屋」というのでしょうか。
那覇の花園寄席は個人でやっているようだが、東京から噺家を呼んでいる。
こけら落としは柳家緑太、柳亭市童とのこと。
東京の他団体や上方落語も呼ぶのでしょうか。
沖縄出身の噺家も増えてきた。
まだ真打はいないが、立川笑二、金原亭杏寿、立川琉四楼。落語協会の前座の三遊亭歌ん太さんもそう。
沖縄に、元志の輔門下の北山亭メンソーレという人がいて、ローカルタレントとして活躍しているという。
修業を終えていないので落語界ではプロ扱いしてもらえないところだ。
この人など、花園寄席に呼ばれたりするのだろうか? 呼ばれない場合、落語界の掟に忠実ということになる。
こんな、常設の寄席の話題、つい最近もまだまだあったなと思い出した。
調べたらわかった。山形市の「たてやま小演芸場やまらく亭」という。
月1回、若手を呼んだ独演会での開催のようだが、それでも立派なものだ。
他の日は素人落語に使っているのだろうか。よくわからない。
なにをもって寄席と呼んでいいかは意外と難しい。
これを論じ出すと長くなる。
よくこんなことを書いてるのだが、今日は別のアプローチをしてみる。
寄席には、物理的な場所を指す場合と、興行の名称を指す場合とがある
このイメージが、一般人はおろか落語好きの脳内でも、混在しているということを書いておしまいにします。
物理的な場所を指す場合
- 鈴本演芸場
- 浅草演芸ホール
- 新宿末広亭
- 池袋演芸場
- 国立演芸場(休館中)
- お江戸日本橋亭(休館中)
- お江戸上野広小路亭
- お江戸両国亭
- 横浜にぎわい座
- 天満天神繁昌亭
- 神戸新開地喜楽館
- 動楽亭
- 大須演芸場
- 仙台花座
- 梶原いろは亭
- 神田連雀亭
- ばばん場
- らくごカフェ
- 道楽亭
- ひらい圓蔵亭
- 墨亭
- 池之端しのぶ亭
- 水戸みやぎん寄席
興行の内容を指す場合
- 亀戸梅屋敷寄席
- にっぽり亭
- 巣鴨スタジオフォー
- 鈴座(りさ)
- 蒲田楽落亭
他にもまだまだあって、ここが抜けてるぞと思われるかもしれないが、Wikiediaの「寄席」の項目ぐらい見ながら書いてるので。
鶴瓶師の「無学」とか方正師の「えびす亭」とか、志の輔師の「てるてる亭」とか。
その他にも、最近立川流が寄席を始めた施設も後者のほうには含まれるかもしれない。
内幸町ホールや紀尾井小ホール、そして深川江戸資料館でも国立演芸場寄席をやっていたりするからますますややこしい。
面白いことに、亀戸梅屋敷寄席は、円楽党の定席以外の利用、それも落語会が徐々に増えてきた。
後者から前者に引っ越す勢いである。
現在は物理的な名称として「藤の間」というものと、それから建物名称がなんだか付いてた気がするのだが、建物名は亀戸梅屋敷の物販スペースと完全につながってしまったので意味を失っている。
いずれ、寄席としての看板名称が付くかもしれない。