鈴本演芸場11 その3(柳家花飛真打昇進披露口上)

花緑師の二階ぞめき、改めて思ったが前半バサッと縮めた点が功を奏した。時間がないという物理的な縛りが理由とはいえ。
これにより、後半の若旦那の落語みたいなひとり芝居にスポットが当たった。
もちろん二階ぞめき、前半の冷やかし大好き告白、それから2階に吉原ができるまでとできてからの若旦那のうんちくなどなど、素晴らしいシーンが多々ある。そこを聴きたい気持ちももちろんある。
でも寄席ならではの編集版が、ある種最高点に達した。

新真打の師匠花緑師、マクラと口上でもって弟子の新作を掛けている話をしていた。
私が(弟子作と知らず)酷評した「電信後退」である。
実にもって冷や汗ものです。

仙志郎・仙成の太神楽が始まる前に一度はばかりへ。
外に出る際にまず、「戻られたら後ろからお入りください」と声をかけられる。
用を足して戻ってくると、「演者入れ替わりまで後ろでご覧ください」。
鈴本は徹底してるなあ。浅草演芸ホールと同じ台東区とは思えない。
池袋だと入れ替わり時に用を足しにいって、高座の最中通路側の自分の席に戻るなんて普通にしてるけど。
ちなみにいつから始まったのか知らないが、ここも携帯スクランブルになっていることに仲入りで気づいた。私は必ず切る習慣のため、導入されていても気付きにくいのだ。
ここまで環境を徹底してるのに、キャッシュレスは決して導入しない鈴本。

後ろで太神楽を観て席に戻り、仲入りは落語協会会長、柳家さん喬師。
この先も披露目でずっと出突っ張り。交互出演はあるものの、たいへんだ。
といって、恐らく小三治元会長が披露目を抜きがちなのをよくは思っていなかったであろうさん喬師、ここは頑張らないと。

いつもの時候の挨拶と、それでは失礼します。
そして、明日から寒くなりそうですねとコタツの話。
コタツでうとうとしながら聴くチャルメラ。
風邪引くから布団で寝ろと言われて冷たい布団に入ると、湯たんぽ入れてくれる。
これはもう、3か月前に聴いたばかりの時そば。
この日はそんなに寒くないので、1日早かったのでは?
いや、「今日はあったかですよ」という2日目のそば屋にピッタリなのだろうか。

時そばは実にもって江戸落語の名作だと思うけども、この冬に聴きすぎたなあと。時うどんまでずいぶん聴いた。
それでもさん喬師の時そばは、登場人物の心理を追っているだけに飽きにくいものではある。
1文かすめるために勢い込んだ男が、予想外の事象に次々想定を狂わしていくそのトホホ感がたまらない。
それでも、そばがまずいのは今さらいいのだ。
さあ払うぞという段でやっぱり失敗。こりゃ早く出たテメエが悪いのだ。

開演前以上に物販が賑やか。
取り仕切るのは柳家小もんさん。「そろそろ」も売る。
本日のサブ真打、木久彦師も一緒に売っている。
ブースだけでなく、場内練り歩いて売るのはここだけ。

披露目の日は非日常なのに、寄席の日常感はすごい。
後半の幕が開く前は、すっかり日常モードになってしまう。
披露目が始まるんだと自分に言い聞かせないとならない。

幕が開くと下手から、このメンバー。

  • 春風亭一之輔(司会)
  • 五明楼玉の輔(落語協会常任理事)
  • 柳家花飛(新真打)
  • 柳家花緑(新真打の師匠)
  • 柳家さん喬(落語協会会長)

 
司会は一之輔師。三三師と交互。
披露目の司会を寄席定席で務めるのは、この席が初めて?

新真打のプロフィールから。
東京理科大に進みまして(客、ほう)、2年で除籍になりまして。
その後大工になりまして、そこもなんだかんだあって辞めまして。
柳家花緑門下になり、ついに真打です。

披露目の司会というもの、軽くウケ取って次々重鎮に振るものだが、なぜか新真打についてずいぶん長く語る一之輔師。
内容は面白いけども、司会にしては話長くないかと思った矢先に「司会なのに話長いですけど」。ドキッとした。

他人にちゃんと話を振り出すと、ツッコミ気質のこの人は確かに司会が上手い。特大号の大喜利で見られるスキル。
そして、隣の玉の輔師が、笑点におけるたい平師と同じ空気感。
「常任理事の玉の輔です。わりと偉いです」
司会と顔見合わせて頷きあう。
偉くなるまでは、披露目の司会として引っ張りだこだった人。

今回は5人の真打誕生で。えー、柳家緑太、柳家花飛、林家けい木改め木久彦、松鶴家千とせ…
(司会から違う違うとツッコミ)
えー、松柳亭鶴枝に柳家吉緑と。

新真打は2日間出ればいいですが、師匠は3人昇進だから6日間です。大変です。
修業仲間の師匠を延々褒めだし、またツッコミが入る。真打が主役ですから。

花緑師が、師匠小さん宅の宴会では台所を切り回していたというのは、ここで出た話だったか? それとも最近何かで読んだのか?

新真打については、池袋でやってる大喜利王の話。
花飛さんはそこの王者。非常にセンスがいい人だと。
新作も作るし、今後楽しみだ。

口上の途中ですが、続きます

作成者: でっち定吉

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