鈴本演芸場11 その1(言い間違って自分でウケる前座)

久々に家族から解放された夜。
歌舞伎座に忠臣蔵七段目観にいこうかなと思っていたのだが、さすがに月3度目ともなるとしんどくもあり。
やはり落語にしよう。そして、落語協会では真打の披露目が始まっている。
28日金曜日は、トリが柳家花飛師。
サブがあかね噺でおなじみの、けい木改め林家木久彦師。
落語協会の披露目のやり方も徐々に変わってきたね。サブが入るとは。
花飛さん(すでに師匠だ)は二ツ目昇進後から20席近く聴いている。二ツ目の中でもトップ回数じゃないかと思う。
改名せずびっくり。かっとび。

鈴本の若社長が列を整理している。
柳家花飛師の幟、贈り主が「どこかの年増より」。シャレてるね。
幟は高いからお花を「どこかの丁稚より」って贈ろうか。

鈴本の披露目は基本前売り。前日に買っておいた。
オンライン(ぴあ)で買ってしまったが、直接セブン-イレブンの端末で発行してもらうと300円安く済んだ。めったに前売りなんて買わないからしくじった。
ともかく、私の大嫌いな現金投入機を横目に入場するのはいい気分だ。
とはいえそんなに混んでるわけではなく、結局当日券現金購入が一番トクなのであるが。

開演前にトイレ行ったら、玉サマの楽屋入りに出くわした。

鈴本の披露目に来るのは初めてである。なにせ夜席だから。
広瀬和生センセイもお越しでした。

子ほめ 市悟
ん廻し 美馬
ダーク広和
味噌豆 勧之助
不明(睡眠中) 玉の輔
風藤松原
蛙茶番 一朝
二階ぞめき 花緑
仙志郎・仙成
時そば さん喬
(仲入り)
真打昇進披露口上 さん喬・花緑・玉の輔・一之輔・花飛
楽一
長屋の花見 一之輔
つる 木久彦
橘之助
鹿政談 花飛

幕が開くと、後ろ幕は落語協会の「のし」入りのもの。
仲入りで新真打の後ろ幕になるのかと思ったら、そのままだった。後ろ幕作らなかったのか。

前座は柳亭市悟さん。
初めて遭遇するが、三三師の息子だということは知っている。
わりと棒読み口調。口調は悪くないのだが、まるで面白くはない。
デビューしたての人にどうこう言いたいわけではない。
素人目でも方法論がおかしかったり、ウケたがってたりは印象悪いが、面白くないのはまだ全然罪ではない。
それに出世したら、昔はまだ下手だったねと言えるし。
ちゃんと喋っているのに面白くないのはなぜなのだろうと考えるいいヒントにもなる。

八っつぁんがいきなり隠居の前で、タダの酒じゃねえんすねと言う場面から。
45の人用の褒め方しか習わない型。

後半まで来て、赤ん坊かと思ったら爺さんで。
ここで、「どうりでメガネ生やしてやがって」。
メガネ掛けて、ヒゲ生やして、って言いたかったのだ。まあ、よくある言い間違い。
ところが市悟さん、自分の言い間違いがツボに入ってしまったらしい。
おかしくなって後が続かなくなってしまう。結局これが一番面白かった。
苦笑してから戻ってやり直す。

間違えたのはいいとして、正解はひとつしかない気がする。
竹さんにこう言わせるしかない。
「何言ってんだよお前。メガネ生やした子供見たことあんのかよ」さらに、「メガネが生えてきたら眼鏡屋失業するな」
前座でも、アドリブ入れるしかないのでは。
「披露目の席で間違えるな」というアドリブはやり過ぎか。

二ツ目は披露目の笛吹き要員だろう。この金曜は鈴々舎美馬さん。
前座の言い間違いが伝染したのか、この人も1箇所間違えてた。木の芽田楽を、そう言った直後にこのめでんがくだって。
特に釈明はしない。

今日は披露目ですよと断ってから、寄合酒。
ではなくて「ん廻し」だった。元は同じ噺の前後半だと言うが、寄合酒の導入部、肴が欲しいから「ん廻し」に行けるとは知らなかった。
そもそも、落語協会では聴いたことのない噺。

貰い物の酒はあってもゼニはない。みんなない。
「佐々木さんの真ん中の字」。同じ、を回りくどく。

「新婚旅行で新幹線3番ホームから出発して喧嘩して離婚」(うろ覚え)。
これについて、「こないだ鉄道ファンが、3番ホームから出発する新幹線はない」って言ってた。鉄道ファン恐るべしだって。

最後の神泉苑の言い立ては、私がそらんじているものとは言葉も意味付けも違う。

根本万金丹、根元反魂丹と続くがどちらも「こんげん」だった。

「前座さんざの長男、噛んだ。破門が心配」
これで田楽6本もらえますがどうでしょう。破門をネタにするセンスはさておき。

最近とみに面白いダーク広和先生は、お肌ツヤッツヤでいいですねと。
何のことやら。みいまさんのことでした。
その後ボコボコしたのが上がります。

ポシェットから、ドラえもんのように手品道具を出してくる。
ロープのマジックで面白いのを見たんですよと。YouTubeで。
こうやってたんですよと再現してみる。客は拍手するが、「いえいえ、できないですよ。再現してるだけですからね」と言いながら、見事切れたロープがつながる大マジック。

このネタの持ってきよう、「風呂敷」から思いついたのではないかな。
私はそう確信している。

続きます。

作成者: でっち定吉

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