新春番町寄席(上・6年ぶりの会へ)

1月10日金曜は、2019年正月以来の新春番町寄席へ。無料の会である。
何度か検討したが、随分開いたものだ。
その6年前は、立川吉笑さんを聴いた。

6年か。もちろん、コロナ禍の時代には無料の会など消滅していたけども。
6年前と同じく、私は相変わらず立川流の噺家にご無沙汰気味だなと思って。
私の好き嫌いだけに問題があるわけじゃない気はするが。
今回は立川談吉さん。
聴いた回数は決して多くないが、もともと結構好きな人。
先日の連雀亭の配信では、デキ悪くないのに次々演者が討ち死にする中、トリで奮闘していた。
それから立川志ら門さんと、芸術協会の桂しん華さん。

行くのは決めていたのだが、直前になって再度悩んだりしたりして。
三連休にだって行くところは多数あるから。
この日のメンバーに不満はないが、無料の会ならではの変なムードがマイナスに働きかねないなと。
それでもJRの1日券を買い、現在唯一還元をしている葛飾区(新小岩)とセットにすることにして、重い腰を上げた。
昨冬は20%還元だったのに、15%に落ちてしまったのでこちら単体でも出かけづらいが、合わせ一本。

談吉さんはすごく良かった。来てよかった。

スライドショー 青空遊歩
初天神 志ら門
てれすこ 美よし
田能久 談吉

東京かわら版には出ていたのだが、WEB上に情報がなく、やや心配していた。
会場のいきいきプラザ一番町にはちゃんと掲示が。
会場に着くと、代演のお知らせ。
桂しん華さんインフルエンザだって。
代わりに三遊亭美よしさん。これは別にいい。

13時30分開演となっていたが、15分には司会・青空遊歩師匠のスライドショーが始まる。
旅の写真を解説する漫談。
会場がポカポカなので、熟睡してしまった。
面白かったのかどうかはまったくわかりません。

次出てくる芸人をたっぷり紹介。演歌のステージ風。
まずは立川志ら門さん。
芸協(文治門下)を破門され立川流に移った変わり種で、初めて聴くが認識は深い。
野球やってて、本気でプロを目指してました。
(袖をまくって)落語界広しといえど、トミー・ジョン手術を受けたのは私だけでしょう、と手術跡を見せる。
トミー・ジョンでは大谷選手の先輩です。
失敗したからここにいるんですけどね。

文春砲について。
ジャニーズ、松本さんに続いて中居さんですか。まあ、うちの師匠もくらってますけどね。
笑ったが、ちゃんとオチを付けない。
実は、本編のギャグ(入れごと)の仕込みだったのだが、そんなの聴いてるほうはわからないからな。

小児は白き糸のごとしから初天神。
志ら門さん、美声というのではないが噺家としてはいい声。体育会だけあって声量もたっぷり。
なのだが、なんだかいろんな人のやる初天神のモノマネみたいなイメージ。
古巣芸協ではなくて、落語協会っぽい。

金坊は平気で親父を脅す。
脅すネタが、「おっかさんのこと文春に言っちゃうぞ」。
なるほど、マクラが仕込みだった。
さらに、親父の浮気のこともおっかさんに言っちゃうんだそうだ。
「志らく一門は大変なんだ」と演者の心の叫び入り。
そこは面白かったけど、初天神という噺の面白さはまるでない。
真田小僧の金坊を持ってきたということらしいが。

蜜ちゃぽんでサゲ。

またしても遊歩師匠の紹介があって、三遊亭美よしさん。
高岡出身、富山で初めての女流ですと。
大学は大阪に行って、そこで落語の沼に落ちました。
就職は東京ですけど、東京は落語の本場、ついに入門してしまいました。

女着物で登場。二ツ目に昇進してからは初めてだ、
「美しいによしで美よしです。美しい、です」
知り合いのいない大阪で友達作るには、人の持ち物を褒める。ただ、富山では語尾が「ぜぇ」になるので、ものを褒めても「そのバッグ、いいぜぇ」。
なんでいつもスギちゃんのマネなのと言われた。
東京ではヨガのインストラクター。
毎日瞑想していたが、噺家になり、二ツ目になって迷走している。
迷走の結果、カッパ捕獲の資格を取ろうかと思った。

本編はなんと、てれすこ。地噺である。
東京でこの噺をやるのは瀧川鯉昇師だが、まるで違うスタイルなのでそこから来たとも思えない。

謎の魚は生でてれすこ。干したらすてれんきょう。
魚の名を奉行所に名乗り出る男は、最初から賞金狙い。

う〜ん。
二ツ目になって、地噺をやたら力を込めてやる人がいるとする。劇中の脱線ギャグとか。
具体的に誰、というのではない。結構いるでしょそんな人。
そんな二ツ目に対する感想は、「もっと力抜いてやればいいのに」。
で、美よしさんの高座は、まさに力を抜いたものなのだ。
私がこうあってほしいと思うスタイル。
だが、面白いかどうかはまた別だった。
落語は難しいが、地噺はまた抜けて難しいよなあと。

というわけで、前半2席は物足りないものでした。
将来性まで否定しないけど。

続きます。

作成者: でっち定吉

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