3年振りの「丁稚の落語百科」シリーズです。
「へ」まで書いたのだが、このシリーズだけアクセスが少なくて、中断しておりました。
だが、最近ちょぼちょぼまた起こしいただくようになった。
「破門」が入った「は」の巻2など意外と多かったりして。
「へ」と違って「と」は非常に多くあります。すぐ作れた。今日はその第1回。
いろは順ではなくて、「と」の中で50音順です。
という
林家彦いちの新作落語。
登場人物をメタ構造の中に入れてしまい、その登場人物に思わず惹きつけられるストーリーを語らせる画期的な落語。今年2024年には日本の話芸で放映された。
メタ構造の落語は、笑福亭羽光や春風亭吉好なども作っている。
東海大学
出身者が落語界で一大精力を築きつつある名門。
春風亭昇太、柳家一九、古今亭今輔、林家たけ平、春風亭柳雀、昔昔亭喜太郎等。
昇太は中退だが、それでも客員教授になった。現在は復学して単位取得に挑んでいる。
道灌
前座噺の代表。
七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき
八っつぁんと隠居がムダ話をする落語は多いが、女がライスカレー持って差し出している絵が出てくると道灌。
絵によっては一目あがりや小町、時としてつるに進むこともあるので、演目メモしたりしないこと。
東京落語会
NHK日本の話芸(東京)を収録する落語会。
公開収録に応募して当たると入場できる。
もともとは虎ノ門のニッショーホールで収録されていた。ニッショーホールの建て替え閉鎖に伴いジプシーとなり、各地を巡回するようになる。小平や町田、羽村に大井町等。
群馬でまで収録していた。
ニッショーホールが仮住まいしていた旧ヤクルトホールから元の場所に再移転したので、今後は戻るのかもしれない。
道具屋
「道具や」と書くとより落語っぽい。
わりと賢いほうの与太郎が主人公。おじさんのワキの商売、道具屋をする。これも前座噺。
「おじさん、『ど』のつく商売だろう。土橋亭里う馬だろう」とやったのは快楽亭ブラック。
オムニバス落語なので落としどころが多数ある。
珍品好きの三遊亭ぽん太は、「値は」「ズドーン」のさらに先までやっていた。
紳士は笛から指が抜けなくなり、与太郎は窓から顔が抜けなくなる。
桃月庵
五街道雲助は弟子が真打になったとき、亭号も自分で探せと言った。「五街道雲助」が上下ワンセットの名だから。
そこで一番弟子が探してきたのが桃月庵白酒。
探せと言った師匠も、本当にいいのかと尋ねたという。おひなさま由来。
弟子が4人いるが、彼らも真打昇進時に亭号を独立させると思われる。
どうしても名前がない場合は、金原亭を名乗るしかないだろう。
動物園
東京でもやるが、上方落語を代表する小品のひとつ。
ブラブラしてる男が、死んじゃったライオンの皮を被って檻に入るのんきな落語。
この噺をやるときは見台は出さない。ライオンの所作を見せるからである。
ちなみにライオンの所作の肩の上がり方の所作が2通りある。どんなやり方でもそれっぽければ正解。
胴乱の幸助
上方落語の大ネタだが、大ネタの割には随分よく聴く。
「喧嘩の仲裁」が唯一の趣味という面倒なおやっさんの噺。最後は浄瑠璃のお半長、物語の中にまで仲裁を試みる。
京阪間を三十石船と汽車がいっとき併存していた時代でないと成り立たないため、東京ではやりづらい。一応あるのだが。
登龍亭
晩年、破門癖のついていた立川談志に破門され、名古屋の雷門小福を頼ったのが現・登龍亭獅篭。当時雷門獅篭。
シカゴの名は立川流時代からだが、それは談志も認めたという。
小福逝去後は獅篭が一問の総帥となっている。弟子も4人いる。
雷門は浅草とワンセットの亭号であり、一門ごと古い亭号である登龍亭を名乗ることになった。
これはドラゴンズにも掛かっているという。
都営地下鉄ワンデーパス
通常、駅券売機で700円で販売している一日券。地下鉄、バス、都電に乗れる。
これがあると落語会に行くときに結構便利。
巣鴨スタジオフォーや、梶原いろは亭、亀戸天神、鈴座などなど。本八幡や光が丘にも行ける。
非常に不便な地にある墨亭も、本所吾妻橋からバスで行くとわりと楽。
春夏冬の土日祝は、地下鉄だけに乗れる500円のパスが出ていてさらによい。
時そば
冬になるとよく掛かるおなじみの噺。
先代小さんが掛けると、終演後そば屋が繁盛したという。
寒さの描写を取っ払うと、年中できる。
前座噺に分類されることが多いが、実際には前座はやらず、割と難しい噺の扱いである。
「なぜ2軒目のそば屋はめちゃくちゃまずいのに儲かってるのか」という謎が昔から楽屋で話題になっているそうで。
若手は積極的に、この解決に挑んでいる。
ちなみに一席やった春風亭柳枝が女子学生から訊かれたという。「2日目になったらなんで急にそばがまずくなって、無愛想になったのか」。
誤解も楽しいもの。
時そばの原型は時うどん。こちらは2日目のそば屋はまずくないことが多く、笑いのテーマは大きく異なっている。
時うどん型時そばというものも東京で掛かっていて、代表が春風亭昇太。
土橋亭
どきょうてい。現在、元立川流代表の里う馬しかいない亭号。
「でっち定吉らくご日常」内検索でしばしば「土橋」での検索があるのが意味不明。
「土橋亭里う馬」を検索しているのか「土橋萬歳」を検索しているかわからないが、どちらもほぼ書いてない。
今日の記事に、久々にヒットしてしまう。
続きます。
今回の「と」その1にて、名古屋の登龍亭一門と土橋亭里う馬師匠のお話が出ていましたので、令和2年10月の名古屋登龍亭発足披露興行を収めたYouTubeチャンネルをご覧いただきたいと思います。里う馬師匠が自ら関わり合いを語っておられます。
https://youtu.be/L6a172whTmI?si=B1nNN5I6uMoBUDQH