柳家喬太郎・寄席の代演を予想する

相変わらず、落語を聴くとなると寄席ばかり行っている。
今行きたいのもやはり寄席なのであった。何か月も前から落語のチケットを買っておく習慣がないもので。

私のホームグラウンド池袋の、六月下席主任は入船亭扇辰師。
さらに脇を固めるメンバーも豪華。仲入り前が文蔵、ヒザ前がさん喬。さらに、喬太郎、一之輔という思わず失神しそうな顔付け。
この豪華メンバーの席に、たまには家族を連れていこうかと思う。GWに行ったばかりで、たまでもないのだけど。
家族を連れていくとなると週末だ。満席は必至だが、まあ早めに行けば大丈夫だろう。
しかし、週末の寄席には、ひとつ大きな問題がある。
人気の忙しい師匠は、週末には仕事が目白押し。そうそう寄席には出ていられない。
人気の師匠のスケジュールは、何か月も前、下手すると数年前から埋まっている。寄席の顔付けが決まるのは、手帳にスケジュールがびっしり埋まった後である。
最初から出られない日があることを承知で席亭も頼み、噺家さんも受諾するのである。
「人気の師匠に寄席で逢える」と思って出かけてみたら、代演でガッカリということもあるだろうが、実のところは、だいたい予定された代演である。
それが寄席というものなのだ。
ホール落語より寄席の好きな私も、寄席がそういう場所だと認識している。寄席はそれでいいのである。

好きな師匠が代演で出ないのは残念だが、あらかじめ対策はできる。
「東京かわら版」を入念に読み、さらにかわら版のカバーしていない地方の落語のスケジュールを噺家さんの公式サイトで調べれば、ある程度予定の代演は予想がつくのである。
6月25日(日)はどうだろう。この日に我が家で池袋に行くとして、どの師匠が出られず、代わりに誰が出るだろう。
直前になると落語協会の公式サイトでわかるのだが、あらかじめこれについて予想しておくことにする。
出られないことがほぼ確定しているのが柳家喬太郎師。
喬太郎師は、下席は「鈴本」「池袋」「新宿末広亭」の昼席3軒を掛け持ち。すごいですね。新宿ではトリである。池袋下席は他と時間がずれているので、浅い出番。
だが25日には、昼の仕事がある。「山本益博プロデュースCOREDO落語会」。これに、権太楼・白酒両師匠と一緒に出ている。
25日の「鈴本」および「池袋」は、代演となる可能性が非常に高い。
この日は鈴本夜の、「ウルトラセブン放送開始50年記念落語会」まで出る。トリの新宿も代演かもしれない。
問題は、喬太郎師に替わってどの師匠が出るか。
こういうことは、事前に知っておいたほうがいい。

売れっ子柳家喬太郎師の、6月25日(日)の寄席の代演を予想する。
ちなみに、池袋のこの日について、トリの扇辰師、仲入り前の文蔵師、ヒザ前のさん喬師、それから一之輔師については、この日の昼にワキの仕事はないから大丈夫のようだ。
24日には、さん喬師も一之輔師も昼に独演会があって、寄席を抜くのは確実。こちらでまた代演が発生する。
一之輔師は、6月上席・中席・下席の全部を2軒の寄席掛け持ちしていて、さらに上席と中席でトリを取っているというすごいスケジュール。
そして、その間に落語会が多数挟み込まれている。
25日に、寄席2軒以外の仕事がないのは奇跡に近い。

【池袋・代演予想とその理由】
◎三遊亭白鳥 / 夜は「ヨチヨチSWAN」。昼は空いている。喬太郎師の代演ではおなじみの師匠。
○林家彦いち / 夜は「小ゑん・彦いち二人会」。昼は空いている。扇辰・喬太郎師と同期。
▲柳家三三  / 鈴本昼席のトリだけ
△柳家小ゑん / 新宿昼席のヒザ前と、夜の仕事(小ゑん・彦いち二人会)。最近代演を多く受ける師匠。
×三遊亭円丈 / 新宿昼席だけ。出演時間は被るので双方の調整が必要。

代演も難しいのである。誰でもいいわけではなくて、建前として「同格」の人を呼ばなければならない。
香盤・人気の双方が同格であればいうことはないが、そういうことは実際なかなかない。弟子や師匠が代演に出るほうが、むしろスムーズだ。
その点、「喬太郎」→「白鳥」というのは、代演としてかなりふさわしい例である。
個人的には、例えば弟弟子の柳亭左龍師でもいいのだけど、世間ではまだ代演としては認めまい。
同格といっても、「同格ということにされている」場合もあるから油断はならない。昨年末広亭で、「さん喬」→「小さん」という代演を見たときにそう思った。

家内は喬太郎師を聴きたいそうだが、上記の誰かの代演なら問題ないという意見であった。それなら、池袋に行こうと思う。
ただ、鈴本と池袋、同じ人が代演に入るということはなかなかないと思うので、池袋に来て欲しい師匠が鈴本に行ってしまうということはあると思う。

関係ない鈴本も予想してみた。

【鈴本・代演予想とその理由】
◎入船亭扇辰 / 池袋昼席のトリ
○橘家文蔵  / 池袋昼席の仲入り前
▲春風亭一之輔/ 池袋と新宿、昼席掛け持ち
△柳家小ゑん
×林家彦いち

白鳥師は、池袋と鈴本だったら池袋の気がする。なんとなく。
席亭の好みというものもある。

どうしても知りたきゃ寄席に電話すればいい。
だが、それはなにか違う気がする。寄席という空間、お目当ての師匠はトリと仲入り前だけでいい。
それ以外の顔付けは、ひそかな楽しみという気がするからである。

***

(以下解答編です)

先日、6月25日の池袋と鈴本における、柳家喬太郎師の代演を予想した。
週末の寄席、人気の師匠は代演が当たり前。
知らずに行ってがっかりするのは悲しい。情報強者になりましょう。

蓋を開けてみたら、池袋が林家彦いち師、鈴本が橘家文蔵師であった。
どちらも対抗予想が当たった。ちなみに、本命は池袋が三遊亭白鳥、鈴本が入船亭扇辰。
扇辰師匠も、燕路師の代演で鈴本に入っていたので、パーフェクト予想とはいえないが遠からず。
喬太郎師、昼と夜の仕事の間で、新宿のトリは抜かずにちゃんと務めていらした。

意外なことに、25日の池袋は、春風亭一之輔師も休演であった。
仕事は早朝のラジオ、「SUNDAY FLICKERS」以外になかったはずなので、家族サービスなのでしょうか。
代演は、新宿ともども兄弟子の柳朝師。

喬太郎師、昼席三席の掛け持ちはさすがにしんどいようで、トリの新宿以外の鈴本・池袋は休演が多い。
22日の木曜日も休演だった。
何の仕事があったのかはわからない。BS11の打ち合わせなのか、それともメタボなお腹に関する検査なのか。
鈴本のほうは24・25と同様に、代演は文蔵師だった。文蔵師も、白鳥師と並び喬太郎師の代演にはぴったりの人である。香盤が近く、実力的に問題ない。そして、池袋の仲入り前を務めるので、時間的に移動もスムーズ。
そして、池袋のほうは春風亭百栄師だった。これは予想外。
無視はしていないけれど、この師匠、今月は寄席には上席しか入っていなかったので、予想しづらかったのである。
ただ、代演が百栄師になった理由は、もうひとつあると思われる。白鳥師や林家彦いち師など、さらに代演にふさわしい人たちが、対馬まで釣りに出かけていたためのようだ。

ところで、百栄師も文蔵師も、ツイッターアカウントはお持ちだが、代演情報に関するつぶやきは一切なかった。ぞろっぺえだなあ。別に義務じゃないけど。
必死でいろいろツイッターを探ったけど、代演については一切わからず、わかったのは前述の対馬の釣りだけ。
文蔵師、柳家一琴師の、地方での仕事依頼に関するあれこれをリツイートしてて、これは面白かった。

私は結局、子供を連れて日曜の池袋に行きました。
子供料金がいちばん安いのが池袋。セット割引で子供1,000円となる。新宿なんか子供2,200円もするのだ。
新宿のあの雰囲気も、いずれ味わわせてやりたい気もするが。
ちなみに本人、新宿には興味があるが、浅草にはまったく関心がない。客が噺の最中にウロウロし、電話をやたら鳴らす寄席だという情報を親父から得ているためらしい。

鈴本は、金曜日のうちに日曜の代演まで発表している。新宿も、ツイッターでこまめに発表してくれる。
池袋は直前までわからない。改善を望みます。
一之輔師が出ていないのは残念だが、新宿の代演情報が先に出ていたので、休演はすでに予想していた。
それに、喬太郎師の代演が彦いち師なら問題はない。
お目当ては、あくまでも扇辰師だ。

作成者: でっち定吉

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