「落語を聴いてから言え」・・・そうかな

今日も遅い時間にアップです。
ブログの更新休止しますといいつつ、なかなか休まない。やめやめ詐欺。
更新する意思は常にあるのだが、いかんせんネタがないもんですからね。
池袋演芸場、6月末までクローズと発表したとたんに、それを取り下げている。ちょっと期待が出てきた。
(※ 1日経ったら、また6月末まで休みと改めて表示されている)

それはそうと明日から忙しくなるので、毎日更新もついにギブアップ濃厚です。

さて、今日から浅草夜トリの代替で、春風亭一之輔師の配信がまた始まる。楽しみだ。
一之輔師はラジオを持っていて、私はリスナーである。
特にニッポン放送(金曜朝)の「あなたとハッピー」が楽しい。
ラジオで師は、落語と非常に近しく、しかしまた別の側面を魅せてくれる。
ラジオでもだいたい自由である。アシスタントの増山さやかアナがうまいこと自由にさせているのも聴きどころ。
落語と別の側面というのは、リスナー代表として電話で登場する「オバチャンマン」たちを、猛獣使いのように操るテク。
これは落語界では、大喜利の司会ぐらいにしか活きないテクである。
話芸ということでいうと、一之輔師はとにかく引出しが大きく、広い。どんな話題からも、脳内の引出しのどこかを開けて材料を取り出し、広げていく。
これに匹敵する芸というと、「町中華で飲ろうぜ!」で見せつけてくれる、玉袋筋太郎ぐらいのものではないか。

最近とみに思うようになった。
ラジオだけ聴いて、師の落語を聴かないファンは、一之輔師について、まったく無知なのか?
そうじゃないと思う。ラジオだけでもって、師の人となりをほぼ知っている。
もちろん師の、他の追随を許さない本業も聴いてみることをお勧めはするが、聴かなかったからといって一之輔の全体像を理解していないわけではない。
逆に師の落語だけ聴いて、ラジオを聴かない人はざらにいるだろう。ラジオだって、平日朝と、日曜早朝の地域ネットだし。
落語だけ聴いている人が逆に、一之輔の全体像をわかっているかというと、そんなことはないはずだ。
この他、日経新聞その他での文筆活動も、師の才能を示すものである。

この書き出しからどうつながるか。「落語を聴いてから言え」という、陳腐なフレーズを嗤ってみたくなったのである。
これをよく発するのは、立川志らく。一切尊敬してないので敬称は付けない。
当ブログでもたびたび扱っているとおり、この人が噺家を代表して口を利いているのは我慢ならない。個人の話ならいいけど。
ファンキー妻がやらかしてしまったのに相変わらずTVに出ている志らく。
「ファンキー」は「淫乱」という意味らしい。
世間のほうも、「奥さんを守った志らく師匠は立派だ」とは別に思っていない。
視聴率が低空飛行であること自体、もともと世間に広く知られているのに、その番組の内容・コメントはネットに引用される。
へんな世の中。

まあ数字はともかく、TV界で便利なタレントとして、確固たる地位を占めつつあることも確かなようだ。その事実は別に否定しない。
M-1グランプリでは見たくないけど。
TV界での成功を自慢するこのおっさんがよく、ツイッター等で批判する人間に向かっていうのが、「落語を聴いてから言え」。
一之輔師との対談でもぼやいていた。

いや、聴かなくていいと思う。
「落語を聴いてから言え」は、「俺は本当は落語がものすごく上手いんだ。そのすごさを味わってから批判しろ」という意味である。
しかしだ。
落語なんて、演者のことが気に入らない状態で聴いて、楽しめたもんじゃないですよ。
たまに志らくの落語を聴くけども、まあ、気分が悪くなるだけである。
理由は簡単で、すべてが嫌いだからだ。
マクラから演出から、ギャグからまんべんなく嫌い。第一人者でもないくせに偉そうなのも嫌い。
好きになれる理由はひとつもないし、好きになる必然性もない。もちろん、客観的に高く評価するなんてありえない。
聴いてから志らくを批判したって結局、「芸がわからない素人め」と返されるのがオチである。じゃ、聴けって言うなよ。

世間を騒がしている他の立川流の噺家についても、ツイッターを読んで、あ、嫌な人だなと感じたとする。
いちいち落語を聴かなくていい。嫌いな人の落語は、聴いても絶対好きになれないことが確定している。
すでに言動に、好きになれない了見がにじみ出ているからだ。売れてないのも当然。
思想が真逆な桂春蝶もしかり。愛人をボコボコにしたこの了見から出てくる落語を耳にしたくはない。

落語が下手であることを立証しようとして、嫌いな噺家の落語を聴いてみるもの好きもいるかもしれない。
だが、落語についてどれだけ知識があったとしても、純然たる評論家目線で噺を味わうなんて不可能だ。
評論家だって結局、好きか嫌いかになってしまうのである。

私はこれからも、寄席で落語を聴いていく。
正直、「そんなに好きではない」人も出るけど、少なくとも立川流の過激派は出ないから全然大丈夫。

作成者: でっち定吉

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