【2019/03/02・第1部】
枝次 / 狸の鯉
わん丈 / 紙入れ
才賀 / 鹿政談
(仲入り)
小傳次 / 母恋くらげ
小燕枝 / 試し酒(ネタ出し)
定期購読している東京かわら版が届き、黒門亭の番組を確認すると早速、柳亭小燕枝師が2日の1部に登場している。
小燕枝師、1月下席の池袋に仲入り前で顔付けされていたのだが、インフルエンザで休演。楽しみにしていたのに。
この直前、2月下席の新宿でトリを取っていた。それも行きたかったのだが、黒門亭に出演ならそちらがいいや。
黒門亭の客入りは、顔付けを見ればだいたい予想が付く。予想通りの6分の入りである。そのうち4分の1がよく喋る常連。2分の1が、静かな常連というところではないかな。
客入りはそこそこでも、三遊亭わん丈さんもいて期待の番組。
前座はメクリに名前がない。見たことあるようなないような前座さんが出てきて、「百栄の弟子のえだじです」。
あれ、百栄師の弟子って「だいなも」さんだけだよね? 名前変えたのか。次に出てきたわん丈さんによると、昨日改名したらしい。「枝」は大師匠、栄枝の字か。
だいなも改め枝次さんは、昨年5月、しんうら寄席で聴いたときがたまたま初高座だったみたいなのだが、印象は特にない。
だが、急速に上手くなっていて驚いた。
非常に聴いてて楽なたぬき。張り切ったりせず、流れるように言葉がこちらに入ってくる。
子だぬきの命を助けてもらった両親が、「腹を叩いて喜んでいる」というあまり聴かないフレーズが入っている。自分で考えたならすごいけど、先人のクスグリですかね。
そして、たぶん狸の札だろうかと思っていたら、兄貴のところの出産祝いに持っていく祝儀がないので、品物になってくれとたぬきに頼む八っつぁん。
なんと狸の鯉である。ライブ高座で聴いたことがない。
珍しい噺を、実にスムーズに語る、だいなも改め枝次さん。大ウケでした。
鯉に化けろと言われて、鯉のぼりに化けるたぬき。でかいよと言われるが、なでると小さくなりますと。「人間の男と逆だね」。
たぬきの鯉が、包丁人に捕まって今にもさばかれようとするシーンがスリル満点。
たぬきのシリーズにもいろいろあるが、実際に掛かるのはほぼ「狸の札」と「狸の賽」である。他にも「狸の釜」なんて噺がある。楽しいのだからどんどん掛けてもらいたいものだ。