「柳亭のアクセント」「金原亭乃ゝ香廃業」

月曜日のナイツ・ザ・ラジオショーに柳亭小痴楽師が出ていた。
フリートークの実に達者な人である。すらすら出るアドリブトークが、落語の口調と同じなのも面白い。
父のこと、父の仲間(小遊三師たち)、それから入門前や、修業時代、入門してからの数々のしくじり、成金のことなど実に楽しい。
漢字が全然書けなくて、入門後漢字ドリルからやり直させられたというのに、でも昔から読書家だったというのがさっぱりわからない。
読むほうは、スッと頭に入るのだという。
文治師匠をしくじった遅刻癖は、「なんだか寝続けてしまう」のが原因なのだという。
歌丸、小三治と一緒に旅に出て、旅先のホテルで寝続けて、歌丸師に、杖で顔をつつかれ優しく起こされたというエピソードは爆笑。
小三治には、「柳家じゃなくてよかったね」と冷たく言われたという。
ちょっと脳の機能が変わった人みたい。噺家でよかったね。そして、しくじりでクビにならなくてもっとよかった。
チンピラだが可愛げがあるのがいい。

ゲストを呼ぶ前に、ナイツが疑問を述べる。「りゅうてい」なの?、「りゅうてい」(平板)なの? という。
本来は「りゅう」にアクセントが来るんだろうけど、噺家さんもバラバラだよねと。
そもそも、答えを小痴楽に訊くのが間違いなんじゃないかだって。

確かに、柳亭市馬師のことを、「りゅう」にアクセントをつけて呼ぶことは多い。
でも、柳亭左龍師だとどうだろう。「さりゅう」が砂粒のごとく平板だったら別にいいのだが、一般的には「さ」にアクセントが来ると思う。
そうすると、「りゅうていりゅう」が正しいことになるが、アクセントが2か所あると、感覚的に発音しにくい。
自然に発音しようとすると、どうしても「りゅうていりゅう」になる。
非常に大きな名前の「柳亭左楽」になると、どうなんだろう。「さらく」と平板に読むのは「さりゅう」より言いづらそうなのだけども、でも噺家の名前は意外と平板に読むことがあるので、侮れない。
名前がもう変わったが、「柳亭小燕枝」なら、「りゅう」にアクセントをつけやすい。「こえんし」が平板か、中間高かだからだ。

ゲストコーナーでこの疑問を本人にぶつけてみると、案の定どちらでもいいですよだって。
正式には「りゅう」の上がるほうなんでしょうけども、平板に読まれても別に気になりませんと。

これも結局、「こちらく」の発音に引きずられるためではないかと。
「こちらく」は平板には読めない。小遊三と同様、「小」の後にアクセントが来る。
「りゅうていこらく」のほうが、言いやすいのだ。

ナイツ塙も、うたじ師匠(元・大瀬ゆめじうたじ)に、「柳亭」は発音間違えちゃ絶対ダメだよと注意されたことがあるらしい。
だが最近、噺家のアクセントに絶対なんてないなと思うようになってきた。
先日、一花さんの記事中にちょっと書いたのだが、「馬太郎」を平板に読む落語界、いささかついていけない気がしてきた。
噺家は、居酒屋の「甘太郎」まで平板に読むのだろうか?
それから、上方落語家がどうしても「圓生」「志ん朝」を発音できない問題。
発音できないということは、関西においては、冒頭高が正解としかいえないような気がしてきた。志ん朝にかわいがられたという桂坊枝師まで、「んちょう師匠」とラジオで言っていた。
正しく読むと、もしかしてとても気持ちが悪いのだろうか。
でも関西における「ヤンキー」は「志ん朝」と同じ発音なんですけどね。

NHK新人落語大賞は女性の優勝だったが、東京では金原亭乃ゝ香さんが廃業したそうで。
廃業を知った後で、録画していた笑点特大号を観たら、金言大喜利というものに出ていた。金原亭だからとかなんとか言って。

師匠(世之介)のブログを読んだら、なにも書いていない。二番弟子、三番弟子を取り上げている。
ツイッターで、所属事務所のリリースをリツイートしているだけ。事務所といっても、世之介師の個人事務所だけど。
どう見ても、円満な廃業ではないようだ。
1年話し合いを続けてきたってどういうこと? 辞めたいのに、商品として残そうとしていた事務所(師匠)が辞めさせてくれなかったってこと?
林家きよ彦さんたち後輩噺家に、会のキャンセルで迷惑を掛けてしまっている。

まあ、美人落語家というだけの人だからな。
私は一度も遭遇していないのだが、Zabu-1グランプリでの一席を聴いて、呆れてしまった。
辞めたかったのなら、別にいいや。

検索でやってきた人のために最新記事を案内:金原亭乃ゝ香が「古今亭佑輔」で復帰

 
 

作成者: でっち定吉

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