落語芸術協会の客員になった三遊亭円楽師。この件については、半年前にちょっと書いた。
その後、どんな状況にあるのか追いかけてみることにする。
円楽師の高座を生で聴いているわけでない点、気が引けるけど。
円楽師の芸協入りに関し、その後どうなるかを半年前にこのように予想した。
- 新宿と浅草でトリを年1回ずつ
- 現在のまま地方を飛び回り、並行してプロデュース業が主
- 両国などには出ない
- ヒザ前など重要なポジションは務めない
- (数年後)新しく弟子を取って芸協に入れる
芸協の寄席でトリをとることと、両国に出ないことについては予想が外れた。
ヒザ前も務めていないが、これは「ヒザ前」という重要ポジションをあてがわれていないということなので、当たったとも言えない。
両国寄席は、昨日まで書いたとおり円楽党の寄席である。こちらと、同じく亀戸梅屋敷寄席にも円楽師顔付けされている。どちらも、主任として。
11月の国立演芸場、五代目圓楽一門会でも中日にトリを取っている。
本当に両団体でやっていくらしい。ということは、「芸協に移籍」ではなかったのだ。
地方の公演については、かわら版には出ていないので追いかけきれない。ただ、関東での公演を見る限り、笑点メンバーと二人会をたびたびやっている。
地方公演は、笑点の知名度を刈り取って金銭に換える大事な機会である。こちらを削らずに、仕事を純粋に増やしているようだ。大変そうだけど、売れっ子の師匠ならみんなやっていることではある。
円楽党では依然重鎮。芸協のほうでは新入り。
円楽師、芸協の寄席に出る際には、名前のないポジションである。
8月の国立には2日間。9月にも末広亭に出ているが、これは圓楽一門としての顔付けなのでやや対象外。
10月は、博多天神落語まつりプロデュースの準備が忙しかったのか、外れている。
11月下席の末広亭では、仲入り前の前。
今月の浅草下席では、ヒザ前の鶴光師の前。
芸協としても、いきなりトリなど取らせるわけにはいかないということだ。この点、立川流から移籍した談幸師と同様の扱い。
してみると、2018年も、なおトリは取れないのではなかろうか。
池袋には顔付けされていない。なんとなくそうなりそうに思っていた。まあ、年1回くらいは出そうだけど。
円楽師、来年正月の寄席は、国立と両国に一日ずつ出てるくらいだ。
国立は、団体混合の新春国立名人会の、芸協メインの日ではある。だが翌日好楽師も出てるから、芸協としての顔付けだともいえない。
あくまで客員なので、互助的機能が強い初席では出番がないらしい。芸協芸人の仕事を確保するために出られないということだろう。
ちなみに、立川談幸師は普通にメンバーに格上げされたようで、正月の顔付けに名前がよく出てくる。
寄席に出たくて芸協入りしたが、まだ出たくてもそれほど出してもらえない円楽師。
芸協客員としての仕事は果たしているようだが、まだ芸協の香盤には名前すら載っていない。というより、加入したというニュースすら芸協のサイトにはいまだ載っていない。
いつ香盤に載るのだろう。載るときは、破線の下に載せられた談幸師の下であろうか。
ちなみに円楽師も出る12月浅草下席昼席、芸協オールスターの趣だ。鯉昇・笑遊・寿輔・文治・円楽・鶴光と。主任が今輔師というのが、新作好きの私のツボをくすぐる。
色物はボンボンブラザースに東京ボーイズ、講談は紅先生。
行きたいなあ。でもわが家は池袋(落語協会)に行く予定。
その浅草のような、円楽師も出ているという席なら喜んで行く。だが、円楽師をあえて寄席に聴きにいくというテンションには、私はない。
最近円楽党にすっかりなじんでいる私、好楽師はぜひ聴きたいのだが、円楽師についてはそれほど・・・
円楽師、笑点では腹黒インテリ芸が板についているが、演芸図鑑の司会などでふと見せる毒はなんなのだろう。
毒を吐いて人気の噺家さんはたくさんいる。白酒師、一之輔師など。円楽党の兼好師だってグサッと毒を吐く。
だが、円楽師のふとした毒、ただの毒に思えてならない。ひたすら感じが悪いのだ。
さらに笑点の楽屋で円楽師、三平の芸をこきおろしていた。まあ、それは相手が三平だもの。ギャグとしても必要だろうし別にいい。
だが、返す刀で「兄貴もなあ」と正蔵師匠をぶった切っていて、腰を抜かしそうになった。
いまだアンチも多い正蔵師とはいえ、最近の活躍振り、充実振りは多くの落語ファンが認めるところである。
いや、それを認めない視点を否定しているわけじゃない。だが、円楽師程度の芸でどの立ち位置? と思った次第。そもそも真に芸の優れた人が、正蔵師をわざわざdisるとは思えないけど。
このインパクトだけで中身のない毒、同じく演芸図鑑の司会を務めている立川志らく師にも通じるところである。
数年前の正月、NHKの演芸特番で、スタジオで落語を披露していた志らく師が、落語の最中のクスグリとして正蔵師をこきおろしたのを思い出した。一席終わって爆笑問題に突っ込まれていた。
すでにその頃、正蔵師は客観的な評価は確立しつつあり、こき下ろすギャグがそもそも成立しにくかったのである。特に、落語の自己評価だけ高すぎる志らく程度では。
ちなみに、演芸図鑑の冒頭の挨拶だけ切り取ったら、円楽師のほうが志らく師よりさらに印象がよくない。
毒を吐く立ち位置は、本当に難しい。
ただ、円楽党を聴きにいくようになって、円楽師の弟子たちが結構伸びているのをわが目で確認しているところでもある。
それまでは弟子の育たない一門であったとされている。伊集院光も辞めた弟子。だが現在の弟子のうち、楽生、楽大、楽㐂はなかなかいいと思う。
ダメな師匠から弟子が育つとも思えない。なので、円楽師の今後のご活躍にも期待はしている。
寄席で軽い噺をサラっとやったら悪くないと思う。
ちなみに円楽師、次に弟子を取るときは、たぶん芸協に入れる。私のその予想はまだ生きている。