寝るときはほぼ毎日落語を聴く。
気持ちよくて、だいたいすぐに眠れる。だからなかなかサゲまでたどり着かない。
落語というものは、お笑いでもあるがどちらかというと「おはなし」である。心地よいリズムでのおはなしは、ひとを安らかな眠りに誘います。
ひと晩つけっぱなしで寝ていることも多い。
場合によっては寄席でも寝てしまう。
「噺家殺すにゃ刃物はいらぬ。あくび3つで即死する」
なんてことをいう。
あくびは確かに噺家殺しかもしれない。
ただ、客がすやすや寝てしまうのは語りが気持ちいいからであって、必ずしも噺家さんにとっては不名誉なことではないと思う。
もっとも、目立つ席で寝ていると、噺家さんにいじられたりするし、ひどいときには故立川談志みたいに裁判沙汰になったりする。
この世にも珍しい裁判においては、客の「カネを払って寝る権利」は認められなかった。
だから(というわけでもないけど)、できるだけ前座さんの高座のときに寝るようにしている。ほとんどの前座は棒読みだから、寝やすいというわけではないけど。
「前座だから寝ていい」という理屈は前座さんに失礼だと思わなくはない。
でも、眠気を我慢して仲入り前の師匠あたりで寝てしまったらもったいない。
それでもたまに、オヤこれは、と思う前座さんに遭遇する。
桂宮治さんなど、前座のときから工夫した噺を掛けていた。
そういうときはこちらもがんばって寝ませんので、前座さんもがんばってください。