スタジオフォー巣ごもり寄席8(上・林家きよ彦「保母さんの逆襲」)

現金なもので、広告が出なくなったら更新意欲の減退が著しい。
人の広告を失わせる「アドセンス狩り」の対策を読んだら、「SNSに、広告収入の自慢しちゃダメ」と書いてあった。
自慢の意図はなくても、一昨日に書いたようなネタ上げてればまた狙われそうだ。
自慢なしで生きていくのは簡単だが、ネタにするのはやめられない。

それでもブログの継続は大事。
水曜日はスタジオフォーへ。

保母さんの逆襲 きよ彦
黄金の大黒 兼太郎
乙の中の甲 吉笑

いやいや、素晴らしい3席。
マクラも本編も。感激した。

林家きよ彦さんから。この日一番の目当て。
久々だし、と思ったら、今年聴いてるので久々でもないけど。
きよ彦さんのマクラは実に楽しいのだが、ちょっとだけその秘訣に迫れたかもしれない。
話の内容に飽きないことと、感情をわかりやすく表すこと。
ネタを伝えるのではないのだ。感情のアゲサゲにより、客に、共感してもらう。
ネタは別に爆笑ものでなくてもいい。彼女の作り出す波に体をあずけているだけで、いい気持ち。
このまま漫談派にだって、なりたきゃなれるだろう。なりたいとは思わなそうだが。

仲良しの新二ツ目、みいまちゃんの話。ちゃん付けしてるのはきよ彦さんですから。
美馬ちゃんはうちに泊まりにきたりして、一緒のベッドで寝たりする。小さいから邪魔にならない。
泊まりにきた彼女が、ねえさんすいません。忘れ物しましたと。
メイク落としかコンタクト洗浄液ぐらいかと思ったら、「パンツ貸してください」。
美馬とパンツをシェアする仲です。
楽屋で聴いてた次の兼太郎さんがムズムズしたらしい。

地元札幌のテレビ局で、女子アナのクソつまらない話題を1分の落語にさせられた無茶な話。
そして苫小牧で、きよ彦さんのことを知りもしない主催者に仕事を依頼され、ひどい目に遭った話。
この会では、北大オチケンの常識知らずの女子大生たちにもひどい目に遭った。

ノンフィクションなら許せない話なのに、トホホ感だけ漂っていてやたらと楽しい。
マクラで話していたが、社会福祉士出身なのでその方面の仕事が多いのだという。
なんとなくだが、人への目線の優しさは、そうした経験から来ているのではないかと。全然違うかもしれないが。

楽しいマクラを15分語る。
そして、自分で噺も作りますが、今日は師匠彦いちの噺をしますとのこと。
保育園で保育士が手遊びで子供を楽しませているが、子供たちは先生最近別れたんでしょと辛辣。
父母の間でも話題になっているらしい。

彦いち師からは聴いていないが、和泉師から聴いたことのある「保母さんの逆襲」である。
男に捨てられ、貯金を持ち逃げされた保育士が、ヤケになってボロボロのカッターナイフを手に銀行強盗をする。なんだそりゃ。

たぶんだが、「保母」「銀行強盗」「別れ話」で作った三題噺だと思うのだ。
三題噺でないとしても、発想の段階でこうした作業があったと睨んでいる。
新作落語には飛躍が必要というのが、私の持論。
たまたま転がっていた関連しない要素が組み合わさると、飛躍が容易になる。
あくまでもバカ落語なので、ヘンな緊張感やら、不謹慎さやらはない。

そしてきよ彦さん、バカ落語を照れもせず実に堂々語る。
銀行強盗なのにハッピーエンドのご機嫌な噺。

続いて三遊亭兼太郎さん。この人は6日前に亀戸で聴いたばかり。
本当はトップバッターだったが、遅れたので代わってもらったそうで。
きよ彦さんはトップがよかったそうで、WinWinですだって。

この人もマクラが最高だった。
二ツ目の会だと楽なのか。
それだけじゃない気がする。ひと皮剥けた感じ。

今日は三派分かれまして。
なぜ東京に団体が4つあるのかという話をすると、2時間掛かります。
美馬さんの話が出ましたけど、芸術協会や、立川流は女性の前座さんがいますね。
ベテランの師匠が楽屋入りしたら、立前座以外女性だったんだそうです。
着替えを手伝ってもらう際に男の立前座が、「誰にします」と訊きました。
キャバクラじゃねえぞ。でもこの娘。
我々圓楽一門会は、硬派ですので女性はいません。
来ないだけなんですけど。
女性は大変ですよね。前座の頃は化粧もダメで、着替えだって、池袋には更衣室できたそうですけど、お爺ちゃんたちと同じところですよ。
私、業界のおねえさんがた大好きで。
つる子さんいいですよね。
70になっても反対俥とか、ゼイゼイ言いながらやって欲しいですね。飛び上がって骨折ったりして。
あと、好きなおねえさんが三遊亭遊かりさんですね。
この方は、世代が違うんですよ。
楽屋に若い女性がいると、なんだか圧が強いです。我々には普通なんですけど。

本編に続きます

 
 

 

作成者: でっち定吉

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2件のコメント

  1. おじゃましまーす。
    落語協会の某師匠からも寄席の楽屋に前座で雛菊・杏寿・美馬がいると、怖い師匠方も優しくなるってマクラで話てましたねぇ。
    あ、某女性師匠がいるときは別です。前座もピリピリしてますってネタでしょうけど。

    地方にいるとホール落語ぐらいしか行けないので、こういう二つ目さんの会が聴けるのはいいですね。私も東京かわら版を定期購読して、機会を見つけて落語聴きにでようかな?地方だと行けない会が多すぎて悔しくて買ってなかったんですが。

    1. いらっしゃいませ。
      先日も浮かれた喬之助師から楽屋ネタ聴いたばかりですが、続くものです。
      ところでいっそ、ご自身で会を主催してみるというのはいかがでしょう?
      そのために東京に出てきてコレ、という二ツ目さんを物色したりなんかして。
      さらにひどい目に遭った二ツ目さんたちがまたマクラにしたりなんかして。

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