ドラマ「昭和元禄落語心中」第10話(最終回)

四国での、菊比古・助六二人会のフィルムをみんなで眺める。菊比古は明烏。
楽しそうに落語をすると皆の論評。この高座を最後に、楽しく落語ができなくなったわけだ。
そして、羽織を着る助六に注目する当代助六。
萬月師匠も知らない、幻の助六の芝浜。
そして、高座の上の助六が、みよ吉を見つけたことを見抜く当代。
先代が、芝浜を使ってみよ吉に詫びたことまで見抜いたのか。

やはり、旧浅草雨竹亭は、火を付けるために登場したのであった。
浅草演芸ホールを燃やさない心遣いには、感謝に堪えません。
無人の雨竹亭の高座で死神を掛ける八雲師匠。菊比古の頃の若々しい高座が間に入る。
先代助六が現れ、未練を断ち切って落語と心中しろと言う。
死神になる先代助六の特殊メイクは、やはりスターウォーズっぽい。グリーヴァス将軍みたい。

死に損なった八雲師匠の作った芝浜の夢物語は消え、真実が浮かび上がる。
真実は、アニメ版をさらに超えるものだったのですな。ちょっと衝撃。

因縁の物語が解決したのち、信ちゃんの通う小学校の学校寄席で、父の扇子とともに寿限無を掛ける小夏。
NHK標準バージョンが当然流れると思ったのだが、「シューリンガン」が一個抜けていた。まあ、そういうバージョンではなくて、単に抜けちゃったのだろうけど。

真に和解する八雲師匠と小夏の間に、ラジオから助六の野ざらしが流れる。
野ざらしおよびサイサイ節は、家族結合の象徴であり、信ちゃんを通してこれからも長く、この血筋と師弟関係が栄えていくことの象徴である。

そして幸福の中旅立つ八雲師匠。菊比古の頃に帰って、先代助六と一緒に冥土の旅。
スタートは焼けてしまった雨竹亭だ。
小夏の弟子入りを認めてすぐの逝去だが。小夏は、夫である当代助六に弟子入りするしかなかったのでは。

そして当代助六の九代目八雲襲名。後ろ幕は真打昇進のときと一緒だが。
口上は柳家小里ん師匠。
落語の指導をしていた入船亭扇辰師匠が最後に登場するかと思ったのだけど、ついに出なかったなあ。

成長した信ちゃんの二代目菊比古について、真の父親を推測する酒井美紀のお栄。
これについては、ヒントなかったですね。ドラマに関していうなら、完全に謎のままでは。
ちなみに、二ツ目の場合、代数は本来数えませんけどね。

高座で「こんないいもんがなくなるわけねえ」と助六改め八雲。
めでたい披露目で掛けちゃいけない噺なのだが、断って死神を掛ける。
いい終わり方でした。

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作成者: でっち定吉

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