正月は初席は行かない。ちょっと出かける予定はあるけど。
家で正月の演芸番組を視るのが毎年の予定。
珍しく1月1日のTBS「ドリーム東西ネタ合戦」のオンエアを視た。
M-1からの追い風を一杯に受けたこの番組、やたら面白かった。
かまいたちの漫才、客いじりで嫌になったが、コントはさすが。彼らの場合、漫才においてコントとまったく違うことをしなきゃという意識が強すぎるみたい。
西軍のトリ、陣内智則にはビックリした。
松ちゃんがこのひとりコントを「滑ってたよね」と。いや、デアゴスティーニのネタ、面白かったけども。
それにより採点する客が忖度し、ほぼすべてが後半の得点を東軍に入れ、結果逆転で東軍の勝ちとなるという、これ自体衝撃の結末。
こんなもの、八百長だったとして誰も困らないもの。実際、この逆転劇自体、TVバラエティとしてとても面白かった。
ただ構図を変えて観察すると、これは松本人志のパワハラ癖がまた出たともいえるのだ。後輩の陣内を踏み台にして。
そして、松本人志が王座に君臨しているうちは、客も揃ってそのパワハラギャグを一緒に楽しみ、パワハラに協力するのだということがよくわかった。
決して非難しているわけじゃない。「笑いが後からデアゴスティーニと一緒に届くのかと思った」というギャグには爆笑したし。
実際当の陣内だって、「俺のせいで西軍負けたらどうするんですか」と客に振っている。潰されたあとの、当然の仕事。
M-1グランプリでは、松ちゃんもさすがにこんなことはしない。それをすることは、真剣な漫才大会を残しておきたい松ちゃんの自殺行為になる。
だがちょくちょく、M-1でもちょっと危ういところがあるよなと。
松本人志世代は結局、誰かを傷つけずに笑いを取ることはできないのだ。
M-1からこのかた、「優しいツッコミの時代」だと言われている。だがそれは世代が違うからこそであって、王座にはずっとパワハラ芸人が君臨しているのである。
そしてパワハラで面白舞台をなかったことにされた陣内が、東軍のベストネタとして選んだのが、チョコレートプラネット。
チョコプラのコントはある種象徴的だった。ツッコミの工夫がかまびすしい中、なんと「突っ込まない」というネタ。
最初から、ダウンタウンたちが突っ込みながら観ていた。まさか、ガヤのツッコミがないと成立しないわけじゃないと思うが。
ガヤのツッコミがないとした場合、客が自分で突っ込まないといけないから、かなり高度なもの。
でもコントでは斬新だが、落語にはこんなの、たまにある。新作落語の古今亭駒治師のクスグリには結構あると思う。
落語の特性として、ギャグを完全に処理しなくても客の不満が貯まりにくいというのがあるらしい。
年末M-1のネタを散々引っ張ったので、もう漫才関連は書くのやめようと思ったのだが、やっぱり書いてしまった。
まだ続きがある。多少は落語との関連を残して。
M-1について語るという需要は世間で大きいので、終わった後もナイツ塙を中心に随分と語られている。審査員目線で。
しかし、ラジオでもってほぼすべての感想を聴いた後で思った。
立川志らくの影の薄さよ。
すでにM-1解説において確固たる地位を占め、西の大会であるYTV漫才新人賞の審査まで務め、さらに落語芸術協会ひいては落語界にまで力を持つナイツ塙がほぼ志らくについてコメントしていないということは、一体どういうことか。
そういうことである。
サンドウィッチマン富澤についてもほぼ触れていないが、ナイツはサンドウィッチマンとは仲が良く、中川家を含め互いの芸についていつも対等に論じ合う関係であるから、M-1でだけ触れていなくても全然不自然ではない。
志らくについては、すでに認めていないということだと思う。
私の予想だが、2020年のM-1の審査員、落語界からは春風亭一之輔師が出ると思っている。
ナベプロの顔を潰さなくて済むし。
さて明日は、毎年触れている、3日NHKの「東西笑いの殿堂」について続けます。
ナイツは、総合司会の座を爆笑問題から奪うのではないかと予想したのだが、今年は新宿末広亭からスタジオに移ったにとどまった。
これもやや残念。