育成達者な師匠のトレンド

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女流落語家でも一二を争う人気の林家つる子さんが、さがみはら若手落語家選手権で優勝した。
実力のほうもすでに認められていたのだが、権威ある賞を受賞したのでお墨付きだ。おめでとうございます。
しかも演目が、人情噺の「しじみ売り」だったという。
面白落語に注力しているイメージの、あの変顔美人のつる子さんが。
ただ私は、昨年この人の十八番、彦いち師に教わったという「反対俥」を聴いた際、その所作の美しさにいたく感心した。
10年後は本格派になっているのではないかと勝手に想像したのだが、実際にそんな道を歩み始めているようである。
面白落語から本格派に変わる人は少ないが、そんなルートもあっていい。いろいろやってみて、それが活きるのが落語というもの。

昨年、2020年のさがみはらは、コロナの影響で開催が遅れに遅れ、12月だった。それからまだ3か月しか経っていない。
昨年の大会を優勝したのは、春風亭一花さん。
2年続けて、女流が優勝したのだ。
ちなみに、ふたりとも「おきゃんでぃーず」のメンバー。笑点特大号の女流大喜利にも出ている。
余興でも注目され、本業できちんと結果を出す。素晴らしいことである。

一花さんの師匠は、春風亭一朝。
現代落語界でも屈指の育成上手。一切クビになどしないのにハズレ弟子がいないという、奇跡のようなこの師匠のことは先日書いた。
他方、つる子さんの師匠は、落語協会副会長・林家正蔵。
実績がどんどん積み重なっていっているのに、古いファンに相変わらず「こぶ蔵」などと貶められる人である。
一花さんは、なるべくしての優勝で、つる子さんはハンディキャップにめげす優勝・・・そんなはずはもちろんありません。しじみ売りは、正蔵師から来たという。

古い2ちゃんねる(現在は5ちゃんねる)のスレッドを読んだ。
どの師匠が育成上手かについて議論が展開されているのだが、今改めて読むと隔世の間がある。
当時から、柳家さん喬師や、少数精鋭だが五街道雲助師などの名が上がっている。
いっぽう瀧川鯉昇師など、「数が多いだけ」という評価だったりして。
柳家花緑師など、名前すら出ない。
そして、どうしようもない師匠の代表としての「こぶ蔵」。
ちなみに古いといってもたかだか2017年のスレッドなのだ。
さすがにたった4年で、ファンの認識が丸ごと入れ替わるはずはない。ファンの現状認識自体、だいたい常に周回遅れなのである。
実質10年ぐらい古い感覚。当然2021年現在も、どの師匠が優れているかの認識については、ぐっと遅れているファンがたくさんいるわけだ。
後の時代から、古い認識を嗤うのはいささかはばかられる。でも、たかだか4年前でこうだとねえ。

正蔵師の一番弟子はたけ平師。売れっ子である。
三番弟子にYou Tubeの売れっ子、はな平さん。
そして、すでにブレイクしているつる子さんが実力を認められれば、もはや一門ごとブレイクだと言っても差し支えないと思う。
古いファンが「このぐらいで結果が出たなんて言えない」と言うのもまた自由だが、客観的に正しいのはどちら?

さん喬一門だって、2ちゃんねるによれば「喬太郎以外クソだ」なんて意見も見られる。
確かになんだかなという人もいる一門だが、二番弟子の左龍師など今や立派なものだ。秋の新真打小んぶ(さん花)さんとか。

結局、どの師匠が育成上手なのかは、完全に結果が出てからでないと断定はできない。
それを承知で、「ここに弟子に入るといい」なんてことを言いたいなら、評価は早めに出していく必要がある。
こうした観点から、優秀な一門のトレンドを、私が勝手に挙げてみよう。
正蔵師もいいのだが、さらに下の世代の先物買いをしてみる。
こんな師匠たちなど、どうかな。

  • 三遊亭白鳥
  • 橘家文蔵
  • 入船亭扇辰
  • 林家彦いち
  • 瀧川鯉朝

異論承知の上です。
そんなに時間は掛からない。4年後には、証明されていると私は思う。
鯉朝師なんて、先物買いし過ぎじゃないの? まあ確かに、2人いる弟子のうち、二ツ目の春風亭昇輔さんを一度聴いただけの評価なのだが。
でも、例に挙げた師匠を一門込みで考えたとき、結構正当な評価ができると思うのだ。

春風亭一之輔師も弟子が4人と多い。現代落語界の最高峰と言って過言でない、一朝門下ということもある。
一之輔一門にすでに着目しているファンもいるだろう。だが、ここだけは私にはまだわからないな。
いいほうに期待はしますが。

弟子がひとりもいない師匠から、いい弟子の出る可能性も勝手に考えてみます。
これも一門ごと考えたとき、意外と当たる自信がある。

  • 金原亭馬治
  • 金原亭馬玉

この兄弟弟子で決まりですな。
なぜ自信があるか。理由は次の通り。

  1. そもそも、入門を志願する弟子がちゃんとしていそう
  2. どういった弟子に将来性があるのか、イメージがつかめている
  3. 無駄に厳しくしたりしない

さらに進めると、真打になったばかりの人や、これから真打になる人の師匠としての適性まで考えることができるのだが、さすがにやめておきます。

 

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。