新宿末広亭に通しで行ったのでネタはたんまりあるのだが、今日はちょっとお休みしまして、ひとつ緊急の提言を。
鈴本演芸場、浅草演芸ホール、新宿末広亭、池袋演芸場の寄席4場は、緊急事態宣言に逆らって営業継続決定。
案の定、世間からは非難が寄せられている様子だ。
「よくやった!」という人たちも多少いる。だがその正体は、アナーキーな人か、「科学的に考えて劇場休止に意味はない」などと言うオカルト野郎か、いずれかのようである。
特に報道はされてないが、寄席組合に入っていない永谷演芸場も継続が決まっている。上野広小路亭、日本橋亭、それから両国亭(円楽党の両国寄席)である。
神田連雀亭であるとか、らくごカフェなども継続。
結局、国立演芸場が閉まるぐらいのことだ。
落語ファンである私、寄席が開いているのは嬉しいし、行くだろう。
だが落語界が世間から批判されているのを眺めているのは、ちっとも嬉しくはない。
今の政府を支持してはいないし、小池都知事のものの言い方も傲慢だなとは思う。だが、連休をなんとか乗り切ろうという施策の懸命さを揶揄する気もない。
どさくさに紛れて政権転覆をはかりたい連中が、「寄席は偉い」と持ち上げるのはとても嫌らしいと思う。
素人だけじゃない。共産党もなんだか知らないが乗っかってきた。
寄席というところ、反骨精神に溢れているというのとは、ちょっと違うように思う。
反骨に基づくのではなく、しなやかに、ただ開ける。理由は別途考える。そんなところと思う。
ともかく、愛する落語界のため、寄席のために、私にできることはないだろうか。
寄席継続を批判する人は、どういう人か。おおむね落語なんて行ったことのない人が非難している。
これからも行かないであろう人たちが、好き勝手を言う。ヤフーコメントでもって、現状を知りもしないくせに「飲食可なんて問題外だよ」と言ってる人もいる。
ならば、こういう人に対し「寄席はわりと安全」というメッセージを伝えてみたらどうだろうか。
「わりと」は文字通りの意味である。「人が集まる以上とにかく危険」という意見そのものに異を唱えることはできないし、しない。
100%の安全も、100%の危険も存在しない以上、どこかに線を引かざるを得ない。
寄席は安全だと主張したところで、「狡猾だ」「キリがない」「協力は不可欠だ」という市民の意見を変えることはできないし、変えたいわけでもない。
とにかく特定思想に基づかずに、寄席の弁護をしてみる。
寄席でクラスターは発生していない
演者からは、確かにコロナが出た。これは事実。
鈴本で、鈴々舎馬風、桃月庵白酒の両師。すでにどちらの師匠も回復している。
あと、前座に感染者が数名。これが前回の寄席休止の原因となった。
しかし、クラスターというほどの大発生には至らなかった。
現在寄席では、次の措置をしっかり講じている。演者にも、客にも。
- 体温測定
- アルコール除菌
- 楽屋のお茶は紙コップ
- 全員マスク着用
- 食べ物持ち込み禁止
- 換気の徹底
- 声掛け禁止
- 緊急事態宣言開始に伴い、座席は一人置きに座る
- 新宿末広亭では高座の前にアクリル板設置
落語は穏やかな芸
落語自体、決してクラスターを招く芸ではないということ。昼間カラオケとは違うのだ。
漫才等を除くと、高座には通常、演者はひとりだけ。
客も結構静かだ。意思表示は、拍手と笑い声だけ。
コロナ前だと、高座と客席とは、しばしば混然一体となることがあった。マジックなど。
だが、そうなることを防いでからも、芸は大きくは変わっていない。
現在の寄席で、客は声掛けも禁じられているし、マスクを外すと注意される。
水分補給のためのソフトドリンクだけが認められている。
コロナ禍寄席デビューをしたい人へ
そんな人もいるでしょう。「ぜひ行ってみなさい」とそそのかすつもりまではないが。
一度行ってみたいのだがお誘いがないという人は、今がチャンスですよ。
連休の寄席は、番組が極めて充実している。にもかかわらず、今年はそれほど混まないだろう。例年指定席になる鈴本も、今年は自由席になった。
寄席はもともと、ひとりで行ってみるのがいい。市松模様に座るこんなご時世、特にひとりで行きやすい。
寄席4場のうち、どこでもいいと思う。
以前は私、初心者には鈴本演芸場をおすすめしていた。
鈴本ももちろんいいが、寄席の基礎が詰まった新宿末広亭が、改めていいなと思うようになった。
開演から行かなくてもいい。しっかりお昼を食べてから行くのがいい。
適当な時間から入って、昼のトリを聴いて、かつ気に入ったらそのまま夜まで居続ければいい。お腹が空くまで。
末広亭の桟敷も雰囲気があって楽しいが、椅子席がなかなか楽。
浅草はあまり椅子はよくないので、長居向きではない。
まっすぐ寄席に行って、まっすぐ帰ってきたらいい。
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