好太郎師、「お清、この料理どうしよう」と本編に入る。この時季おなじみの「ちりとてちん」。
お清が直接口を開くスタイルは、あまり聴いたことがない気がする。まあ、ジェンダーレスの世の中だから、口を利いたっていいでしょう。
ところで「お清」と呼び掛けているのだから、相手は女中のはず。
途中から、呼び方が「婆さん」になってしまう。なんだこりゃ。
以前、三遊亭楽大師から聴いたのと同じ構成のちりとてちん。円楽党の噺の流れが垣間見えて楽しい。
こんなの。
- 嫌な奴の六さんは、隠居の友達
- 女中がいなくて、婆さんが動く
- 腐った豆腐を喉に流し込む
さらにこのちりとてちん、恐らく(台湾でなく)「長崎名物」だと思うのだけど、好太郎師は「亀戸名物」にしていた。
亀戸名物ちりとてちん。亀戸梅屋敷で売ってるんだそうだ。それは別にいい。
好太郎師は師匠・好楽を通じ、落語協会系統の噺が多いはず。それで、お清と婆さん、混ざっちゃったのだろうか。
婆さんにするならするで、冒頭はミスとすればいいのだが、途中六さんが「お清さんに呼ばれたんで来ました」と言ってる。最後まで混ざったまま。
ちょっとね。
好太郎師のお客さんから、お酒の差し入れがあったらしい。
このお客さんを噺に盛り込む、律儀な好太郎師。「○○の○○さんからもらったお酒だ」と隠居に言わせる。
そのぐらいはいいのだけど、この最前列のお客さんが高座の最中、スマホで好太郎師の写真を撮る。4枚ぐらい。
やだねえ。野暮だねえ。客席にシャッター音も響くし。
好太郎師が、写真撮ってもいいと許可を出すようなものではない。暗黙の了解に基づき撮影している。
そんなこともあって、なんだかいただけない高座になってしまった。
高座そのものについて言うと、六さんにもう少し愛嬌(スキ)が欲しいなと思った。本当にイヤな感じの人だった。
本当にイヤだったら、隠居も友達づきあいしないでしょう。
トリは三遊亭道楽師。
過去にここ亀戸で、「竹の水仙」「湯屋番」など聴いている。
決して有名とは言えない師匠だが、なかなか味があって、一度トリで聴いてみたいなと思っていた。
ダチョウ俱楽部の竜ちゃんに似ている。
この人のマクラも覚えていない。
甚兵衛さんが出てきて、鮑のし。亀戸のホワイトボードには「鮑熨斗」と書かれていたかもしれないのだが、私の好みの表記です。
トリにしては軽めの噺だなあ。最近はあまり流行らない。
仲入りで竹の水仙出しておいて、トリで鮑のしか。
鮑のし、私の子供のころ、ラジオでよく掛かっていた印象がある。
今は同系統だと、「熊の皮」と「加賀の千代」が流行っているように思う。これらは、昔からあったはずだけど子供のころは知らなかった。
かみさんが強い、ごく単純な構図の話が好まれるようになったのだろうか。
鮑のしの甚兵衛さんは、同系統の噺と比べても、最も与太郎っぽい。
友達に騙されて、吾妻橋に弁天さまが上がってくるのを朝から見物に行っている。
お腹ペコペコでうちに帰ってきたが、そんなことで仕事を休んでいて、銭がないのであった。
ここまで与太郎っぽいのだから、与太郎でもやれそうだ。与太郎だって、「錦の袈裟」ではかみさんがいる。
かみさんに指示された甚兵衛さん、隣で50銭借りてきて、魚屋でお頭付の代わりにあわびを仕入れて大家のうちへ。
大家に「磯の鮑の片思い」を知らないのかと言われて追い返されるが、友達に鮑の由来を教えてもらい、再度大家に逆襲へ。
逆襲の途中でサゲる。変わったサゲ方。
そこまで行くなら、「あわびのおじいさんでしょう」まで行くのが普通かなと思った。
甚兵衛さんの主体性のなさと困り具合、そして知恵を付けられての逆襲という、楽しい噺。のしのぽんぽん。
甚兵衛さんなりに啖呵も頑張る。
楽しい噺なのだが、トリだと思うとなんどか物足りないのであった。
縮小版大工調べみたいな感じ。
まあ、亀戸らしいなという印象です。
鳳志師がよかったので、来てよかったなとは思う。
亀戸と関係ないけど最後にワクチン情報。
20日にワクチン接種をして、数日間左半身が痛かった私。
これが、昨日になってまた左の腰だけ痛くなったのです。
腰痛だったら両方痛くなると思うのだが、左だけ。
これはまたしても副反応だと思うのですが。まあ、1日でだいぶ治まりましたけど。