ゴロウ・デラックスの春風亭一之輔

もう先々週の放送だが、春風亭一之輔師匠がTBS「ゴロウ・デラックス」のゲストに呼ばれていた。
一応録画しておいたものを、ごくごく軽い気持ちで視始めた。
冒頭、「異例の21人抜き」「人間国宝が認めた」なんてフレーズで師を持ち上げているのを見て、またまた、と。
今どきそんなフレーズでもって、どう一之輔を語るんだ。と思って、半ばバカにして視始めたのだが、いやいやお見それしました。
実に面白かった。さすが落語研究会のTBSですね。

番組テーマは、広告貼った本の宣伝でもある「マクラ」だったが、むしろ、「ネタの選択」のほうに重点が当てられていた。
カメラの密着した5月9日、浅草(主任・木久扇)で、中学生が多かったので彼らにわかりやすい噺を、と「初天神」を選ぶ一之輔師。
そして上野鈴本(主任・正蔵)へ。徒歩で移動するんだね。
林家二楽師匠から、大人しい客だと聞いた一之輔師、客を起こそうと「鈴ヶ森」。
そして、夜は内幸町ホールで、春風亭一花二ツ目昇進記念公演。
先に出た桂宮治さんがウケを取っていて、しかも一之輔師のあとは翁家和助師匠。笑いは要らないと判断した師匠、「笠碁」へ。
あんまり「人情噺」という紹介はされない噺だが、私は笠碁は人情噺だと思っている。「人情噺の笠碁に入った」という紹介がされていて、なんとなく嬉しかったです。
人情噺の定義というのは人により違うのだが、言葉のチョイスに自信があると、こうやって言い切ることができるのだ。
一之輔師の笠碁はまだ聴いていないけども。

その三席の一日を振り返り、「寄席はチームプレイ。ひとりが目立っちゃいけない」とスタジオで語る一之輔師。
高校生時代の浅草演芸ホールとの出逢いも、まずその、客の緩さ、噺家たちの日常性からだった。

昨年、ブログ6日分のネタにさせてもらったNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」より、しっかりとした編集になっていたと思う。
外山恵理アナも、産休代替でとはいえかつて落語研究会のアシも務めていたし。

プロフェッショナルで登場していて、私も当ブログで触れさせてもらった師のネタ帳も再度登場していた。
今年何と、「人形買い」をかなり掛けていたのでびっくり。
季節的に今年はもう店じまいだろうけど。相変わらず、ネタを増やすにしてもそのチョイスが見事だ。
小僧が店の内幕をペラペラ喋るところまでなのだろうか。
誰に教わったのだろう。扇遊師か、小せん師か。いずれにしても、高座数の圧倒的に多い一之輔師、ネタを作り上げていく機会が大変多い。
他によくやっているのが「鈴ヶ森」「鮑のし」「粗忽長屋」などおなじみに、「百川」も。
百川も聴いてみたい。

あと、一之輔師と落語との、浅草における出逢いは何度か聴いたエピソードだが、寄席の緩い空間に惹かれたというのは初めて聴いた。
寄席の緩さのほうが最初に気になったセンスはすごいな。
最後にドカーンと受けていたという主任の師匠は、春風亭柳昇のことだろうか。

それにしても、「チームプレイを踏まえた噺の選択」っていうテーマ、こうしてたまにはTVでも取り上げられるし、書物にだってたくさん書いてある。
しかしながら、落語ファンにその重要性がなかなか浸透しないようなのが歯がゆくてならぬ。
人さまのブログでも実際、先に挙げた内幸町ホールの会の笠碁について、「一之輔らしさが出てない」なんて書いてる人がいたもの。
ちなみに、ポジションの重要性を知るためには、落語会よりも寄席のほうが向いています。

作成者: でっち定吉

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