神田連雀亭ワンコイン寄席20

今年に入ってもたびたび神田連雀亭ワンコイン寄席に出向いている。
新年に行って、3人とも「笑ってください」を不用意にマクラ・前説で使った席は大外れ。
次は、トリ(笑福亭希光)だけ当たり。でも、トリが良ければ満足。
それから、2席続けて3人とも当たり。

こうなると、調子に乗ってまた行きたくなる。
3人当たりでなくても別にいい。トリの人がよくて、あとが普通でもいい。
たまに地雷が埋まっていて、よかった人を潰してマイナスに持っていくこともあるが。

先に亀戸梅屋敷寄席のことを書いたが、この前にも神田連雀亭に行った。
出す順序が違うのは、期待の連雀亭がもうひとつだったから。
といっても、今回の噺家3名、しばらく避けるとか、もう聴かないということはまったくない。
でもブログのネタにするには躊躇する、中途半端なデキ。
ただ、私のメモ代わりに一日使って書いておく。

竹千代 / 薬違い
昇市  / 風呂敷
一刀  / 犬の目

順序変更でトップバッターは桂竹千代さん。
前回圧巻の「五人廻し」を聴いて、今回期待していた。
だが、口調が張り詰め過ぎる点が、トップバッターに合わないのだろうか?
聞き手に緊張感を与える喋り方がいいのだが、いきなりだとどうも。なにごとも、急いですると相手に不満が残るでしょう。
噺自体は大変珍しい、イモリの黒焼きの一席。
上方落語の「いもりの黒焼き」(惚れ薬の掛かった米俵に追いかけられる噺)かと思ったのだが、違うのだな。
珍しい噺は好きなのだが、どうも珍しいだけだったような。
といって、完成度が低かったわけではないのだけど。
後援会と四万温泉に行ったマクラは面白かったが。

春風亭昇市さんは前説を、高座に座ってやってしまうというチョンボをして笑われる。本当は高座の脇でするのだ。
そんなせっかくの楽しいハプニング、活きてない気がする。
前回も聴いた、桂しん乃さんのマクラ。なぜか切れ味に欠けていた。
歌丸師の思い出を語るが、「新横浜」と言わなければいけないのに「横浜駅」と間違えていた。
間違えてもいいのだけど、本人にアウェイ感が強くうろたえ気味だったのかなと。
そして本編、風呂敷って改めて難しいんだなあと思う。
この人を前回聴いたとき、「宮戸川」の、叔父さん夫婦が上手いので感心したのだけど、このアニイのほうには、年季は感じられない。
噺にはかなり工夫があった。女房が帰ったあと、アニイが自分のところのおかみさんに対して「女三界に家なし」を講釈している。

トリは春風一刀さん。犬のマクラから、犬の目を。元犬かと思った。こんな構成あるのかな?
とぼけてて面白いのだけど、トリにしてはごく軽い。
ただし、これはやり過ぎた昇市さんにも責任があると思う。一刀さんの残り時間が10分なかったのだ。
短い時間で、きっちり10分強でハネた一刀さんは偉いと思う。
先生も患者も地に足の付いていない感じは好きだ。トップバッターならかなりいいデキだったと思うのだが。

ひとりひとりは決して悪くなくて次に期待するけども、チームプレイに失敗した感じの日でした。

作成者: でっち定吉

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