三遊亭小遊三の偉大さを改めて考える

締め切りがあって、今年初めてブログ一日お休みしました。
仕事のほうは結局書き上がらず、延ばしてもらったんだけど・・・
無理な仕事を受けちゃいけないです。

さて当ブログもおかげさまで、すっかり露出が増えました。
新規流入経路は多様だが、常に多いのが、小三治関係、それから悪い立川流関係。
人の批判記事でもって新規アクセスを増やしている格好だ。それだけで終える気はないけれど。

「円楽 パワハラ」「円楽 三平 パワハラ」等のワードで、当ブログが1位にヒットするようになった。
だが、実際にこの流入が多いわけではない。
世間の誰も、あれをパワハラと認識していないわけだ。嘆いたって空しいが。
「円楽さんが言えばなんでも正義」そういうことらしい。ガッカリだ。
三平批判と円楽批判は両立するし、させるべきものだ。

しかし本業が大したことないのに、権力欲、権勢欲ばかり肥大する一方の円楽師にもつくづく困ったものである。
さらに圓生まで求め。つなぎで継ごうなんてことも言っているが、もはや大名跡は権力の象徴にしか見えぬ。
笑点のほうも、シャレのレベルを超えた、裸の王様状態になってきている気がする。
笑点も落語界全体も、いつまでも牛耳ってはいられないと思うけど。そもそも昇太会長の芸協を牛耳れてはいないようだし。
私がよく行く亀戸梅屋敷寄席も、そもそも円楽師のところに話が来たものらしく、あまり悪口言うと罰が当たるけども。

困った円楽師のことを考えていたら、笑点メンバーのいいほうの例が浮かび上がってきた。
三遊亭小遊三師。
批判との対比で持ち上げるなんてやり方、小遊三師に対し非常に申しわけないのだけど。

小遊三師は権力欲をまるでお持ちでない。
まわりがいくらでもお膳立てしてくれるのにも関わらず。
歌丸師逝去後、会長代行を続けていた小遊三師が、会長にならず勇退したときは驚いたものだ。
そもそも副会長時代は、従順なイエスマンだったのだという。辣腕を振るう気などまったくなかったらしい。
世事に煩わされず、芸を磨くことにしか師は関心がないようだ。
自叙伝もまったく執筆しない。このぐらいのキャリアではむしろレア。

小三治もこんなポーズはつねにしていたのだが、実際には落語協会の会長になって、大抜擢人事を断行した。
権力欲は十分すぎるぐらいあったくせに、談志の権力欲については批判していた。
しかし人望はゼロに等しく、晩年は柳家の噺家すらついてこなかった様子。芸道一筋のポーズだけは見せつけつつも。

他方小遊三師は、昇太師も脱帽するぐらい、人望の高い人。
世の中しばしば、人望のある人ほど、期待される権力を行使しないものである。いや、権力欲がないからこそ、人望が高いのか。
芸道一筋なんて余計なことは語らずして、その道を邁進する。一切の能書きはない。
芸を語っている時点で、すでに芸道一筋とはいえないんでしょう、きっと。

支配欲もごく薄いようで、弟子は野放しみたい。
世の中には、他人に影響を与えたいと強く願う、歪んだ性格の師匠もいるのだが。
小遊三師、弟子については、どうなのかなと思うところは正直ある。
遊馬師はいいけども。遊雀師はもちろんいいが、外様だし。
一門に加わっているナイツも、新幹線の移動中など、小遊三師が積極的に話しかけてくる人でないことを語っていた。

芸協の寄席に行くと、小遊三型の「千早ふる」「ん廻し」などを若手が掛けている。
かなり個性的なので、すぐわかる。
教科書的なスタイルとしての型でなくて、万人が共通して「ちょっとだけ崩したい」と思う先に小遊三型がある。
つまり、実に自然に取り入れてしまうのが小遊三型なのだ。
この個性、預かり弟子の遊雀師が完全に引き継いでいるから面白い。
遊雀スタイルの落語も、芸協でよく聴く。
遊雀師も、一度落語協会でしくじっているから権力欲などハナから持ちようがなく、その分人望が高いように思う。

笑点では好色キャラ、色男キャラで売っている小遊三師であるが、あの個性的なメンバーの中にいながら孤高を保っている点も美しい。
そもそも、弟子をアシスタントに入れることもしていない。
大月秩父対決というのは、思えば実にレアな、メンバー間コラボだ。あとの絡みは、最小限。
客の視点を一心に集めていた小遊三師が、その後気づくと消えていると感じることはないですか。
出番のないときは消えてしまう、そして他者を活かすのだ。
チームを作らずしてチームプレイをする、それが小遊三師のワンアンドオンリーな個性。実に噺家らしい。

小遊三師の交友関係というのもあまり聞かない。
人望の高さと裏腹に、業界内ですら、いったい誰と仲がいいのだろう。ヨネスケ師ぐらいしか思い浮かばない。
他協会の人との交遊など、まるで聞かない。好楽師が鶴瓶師とツーカーとか、そういう関係性も小遊三師にはまるでないのだ。
そこがカッコいいなんて思う。

昨年はおかげさまで小遊三師の国立のトリと、独演会に行けた。
独演会は、ブログには書かなかったが息子が希望したもの。彼のためにチケット獲ってやったのだった。
息子はあの会が本当によかったと言っている。私もそう思う。
今年も、芸道ひと筋、三遊亭小遊三師を聴いていきたいと思います。

作成者: でっち定吉

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