落語関係のTV番組あれこれ(ジロリや談春)

ブログのネタがないまま朝を迎えてしまった。
アドリブで一本書きます。

「落語」のキーワードで引っかかって録画しておいたのが「ねこ自慢」という番組。
私は愛猫家ではないけど。でも猫ちゃんはかわいいですな。
番組見るまでちっとも知らなかったのだが、春風亭百栄師が出ていた。愛猫家の代表。

落語を知らない人たちへの紹介が「金髪でおなじみの春風亭小朝さんと同じ一門」だって。
かなりずっこけた。どんな紹介だよ。まあ確かにそうだけど。
「今日はあたしは出番ないんですけど」と浅草演芸ホール前で語る百栄師だが、よく見たら正月二之席時の収録らしく、背景に小遊三師はじめ芸協の噺家の名前が見切れている。芸協の席に出番はない。

そして看板猫、ジロリの紹介。
百栄師がジロリに「ちゃおちゅーる」をあげているのは、番組スポンサーだからである。
私も昨秋、披露目の浅草に行って、テケツでくつろぐジロリに出くわした。

百栄師はねこ落語も多数作っている。
「バイオレンス・スコ」とか「ロシアンブルー」など。
そして三ノ輪の百栄宅に移動し、飼い猫の「もも」と「なゆ太」の紹介。

おばあさん猫のももは保護猫で、「猫好きの落語家さんから譲り受けた」とのこと。確か三遊亭圓窓師だったと思う。
百栄師が稽古を始めると、鳴きながら主人のそばをうろうろするももの紹介。
テレビ向けに「道灌」の冒頭部をやってみる百栄師。ももが百栄師のまわりを一周してこの日は終了。

「なゆ太」というのはいい名前だ。那由他ですよね。

ちなみに百栄師の前に、浅草の提灯屋の猫ちゃんが取り上げられていた。
テレビでは触れていなかったが、提灯屋さんの店頭に噺家さんのポスターが2枚貼ってある。
1枚のほうは、寄ってみると立川龍志師である。もう1枚は判別不可。
浅草らしいなと。

「日曜日の初耳学」には、立川談春師。
林修先生がホストのこの番組は初めて視た。
バラエティにほぼ出ない談春が出てくれた!という触れ込みで。でも、先日アド街の戸田の会に出てたよなあ。

「チケットが獲れない落語家」という紹介。
どうでもいいが、日本にチケットが獲れない噺家はいったい何人いるんでしょうか。

大阪の高校に、予備校教師として教えにいく機会のあった林先生。昼間暇なので天満天神繁昌亭に出向いたことで、「講義にもマクラが必要」という信念を持ったとのこと。
いい話ではある。教師もつまらない話をすると誰も聴かないから、ツカミが必要だと。
個人的には高校の頃、ツカミのために特定の生徒を生贄にするクソ教師がいたものだと思い出したが。生贄がオレだ。

この番組は、落語好きにも結構響く部分を攻めてくれていた。
談春師は落語をノートに書かず、聴いて覚えてしまう。
そして本番が近づいてくると、落語全集のページを脳内スキャンしてしまう。語りながら、飛んだ噺の該当箇所を探していく。
すごい話だが、寄席に出ている人だとまた作法が違うよなとは思った。立川流だと本番の数が少ない。

「落語は芝居ではない」とも語る。
道灌の導入部を、芝居だったらどうなるか、八っつぁんと隠居の会話を「演じ分け」てやってみる談春師。
これは全然落語にならない。
落語は芝居ではなく、音のほうが大事なものなのだと。
そこから落語のもっとも重視する、客の想像力喚起へ話を持っていく。正座しているのも、そのほうが客が想像しやすいから。

番組の後半は、「話を伝えたい一般人に向けた落語の効能」になってしまった。
こういうものを必要とする人がいることはよくわかるのだが、私はいい。
ただそのさらに後に出た、大阪フェスティバルホールの独演会における、天井から拍手が振ってきた際の話には圧倒された。
さだまさしの話は本当だったのだと。
2008年の芝浜、これは話題になっていたなと思い出す。
「べらぼうめ」という声が飛んできたが、後で聞いたら「ブラボー」だったと。これは明らかにネタだが。

NHK日本の話芸に珍しく林家たい平師が出ていた。演目は藪入り。
私はたい平師に、次の落語協会会長になって欲しいと常に思っている。三平のしくじりにより海老名家の力が落ちたことで、むしろこれは実現しやすいとも思う。
たい平師の弱点は、本業の落語のほう。
今回の放映、実は大変に期待していた。だが物足りなかった。だから1日のネタにならなかったのだ。
こんな平板な人情噺ではなあ。感情の抑制された人情噺から、噴き出てくるものがあるというのなら全然いいのだけど。
正蔵副会長より落語が上手くないと。でも正蔵師のほうがずっと評価は上になってしまった。

林家つる子さんが「芝浜」に挑んだドキュメンタリーを取り上げるつもりだったのだが、これは二度視て消化しきれなかった。
まあ、女流落語のことは常に書いているので、どこかで使うとは思う。

作成者: でっち定吉

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