春風亭百栄「アメリカアメリカ」@鈴本演芸場(上)

 

鈴本演芸場に行ってきました。3月中席の主任は春風亭百栄師。
「新作8本盛り合わせ 塩あじタレあじ」というサブタイトルが付いている。全日ネタ出し。
前日の「マザコン調べ」ももちろんいいのだが、CDを持ってる。どうせなら、まったく知らない噺が聴きたいではないか。
本日16日の「アメリカアメリカ」は未聴なので、1日待ってこの日にする。
どんな噺なのか、前知識抜きで出向いた。塩あじタレあじでいうと、塩あじでしょうかね。

ちなみにすでに終わった3日目「とんがり夢枕」も未聴。

ネタ出しのうち、「落語家の夢」と「マイクパフォーマンス」は検索すると私のブログがヒットします。
どちらも、気の早い検索訪問がありました。
「キッス研究会」はヒットしない。
今日のアメリカアメリカも、検索で掛かるようにしたいですね。

今席、別に悪い番組ではないので開演から入ってもいいのだが、この芝居では「幕見券」を出している。
幕見というと大層だが、要は仲入り後の入場をこう言い換えているのだ。
1,500円。これにしよう。
半額なので、国立演芸場の仲入り割引(3割引き)より割引率が高いのはいい。

御徒町で仕事してから、2時半に行ってみる。幕見券を求める列ができていた。といっても10人程度。
仲入りから参戦のお客を加えて、50人弱ぐらいかな。まだまだ世間は落語を聴く態勢にはない。
毎回思うが、現金投入機は間抜けだ。

ストレート松浦
堀の内 馬石
ほっとけない娘 小ゑん
アメリカアメリカ(ネタ出し) 百栄

 

仲入り休憩で、知らない顔の前座さんがマナーを説明している。
白鳥師の弟子の、三遊亭東村山さんだろうか?
この前座さん、「トリの春風亭百栄が上がりましたら、席をお立ちにならないようにお願いします」とお約束のセリフをしゃべっているのだが、「ももえ」の発音の「も」にアクセントがある。
恐らく若いので「山口百恵」のアクセントがわからないのだと思う。百恵ちゃんを知らなければ、おかしなアクセントになるわけだ。

幕が開いてストレート松浦先生のジャグリングから。勢いよく滑り込んでくる。
今日の客は、手を叩くのが早い。なので中国ゴマの「あの、回ってますよ」は出し損ねる。
中国ゴマ以外は、「デビルスティック」「皿回し」と手短か。

隅田川馬石師は登場して、「この芝居の百栄師匠は新作落語のネタ出しをしています。ツいちゃいけないんで、出しているネタがどんな噺か一応調べるんですけど、今日のアメリカアメリカってなんでしょうね」。
たぶん、「ぞろぞろ」みたいなもんでしょうから、それやらなければいいですかね。
「だくだく」もできないですね。

粗忽の話に進む。今日は親父の顔を忘れる小噺はなし。
師は粗忽噺4種類を全部やる。「粗忽の使者」だけまだ聴けていない。期待したが、堀の内だった。
師の堀の内は三度目だが、聴き飽きたりはしない。
音楽を楽しむような、流れる気持ちよさ満開の一席。
お祖師様まで行くと、八っつぁんと同じ目をした粗忽がお詣りに来ているというのが、さりげなく楽しい工夫。

しかし、今さらだが堀の内という噺の、穴を発見した。
この八っつぁん、神田から早速方向間違えて両国に行ってしまう(浅草でやる人が多い)。
両国から慌てて戻り、改めて道を尋ねてみたら自分のかみさんだった。
このときのかみさん、すでに八っつぁんが弁当を忘れていることに気づいているのが自然なのに、なぜか渡さないのである。
ひょっとして、わかってて楽しんでいるんじゃないか。なんてね。

八っつぁんがお祖師さまでパンパンと手を叩くのも、恐らく隠し味的なボケなんだろう。
ここでは誰も笑わない。

柳家小ゑん師は、前座さんに聴いたら、今日は女性が多いですとのことでと。
美人ばかりですね。マスクの威力はすごいです。
趣味の話から四谷の坊主バー。そして「ほっとけない娘」。
寄席用の、道中付けのない短縮バージョン。娘が大仏とのお見合いに難色を唱える場面もなし。
ずいぶん短くなるもんだ。
この噺も四度目なので、さすがにもう書くことはない。もちろん何度聴いても楽しいのですが。

楽一師の紙切りで眠くなって、寝てしまう。
4枚切りあがったときだけは目を覚まして見た。
注文は「百栄」と「いつもの百栄」「大黒様百栄バージョン」。
皆さん律義に心づけを渡していた。

百栄師の高座は明日にします。
続きます。

 

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作成者: でっち定吉

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