ぎゅぎゅっと笑福亭づくしの会@横浜にぎわい座 その1(笑福亭笑利「看板の一」)

連休最終日の日曜日。
このあと平日にも気になる会が色々あるのだけど、どうにも仕事する気にならず、出かけることに。
ブログのネタがないという理由も多少はあります。
本日日曜日も会が目白押しだが、上方落語を聴きにいく。
笑福亭の会。

最終的にこれを選んだのは、朝リアルタイムで聴いていたABCラジオ「なみはや亭」に、笑福亭羽光師の「私小説落語~月の光編」が出ていたためだと思う。
ちなみに早速、当ブログの該当記事にも検索での訪問がありました。「ぽっちゃり熟女のエキサイティングハリケーン」でのお越しもあります。

日ごろラジオでなじんでいる上方落語の会、東京でも無数にある。コロナが終息しかかっているので増えてもきた。
でもあまり行かないのは、演者の交通費の分、価格がどうしても高めになるためだ。我ながらケチ臭い。
ただ、これは上方落語をことさらに特別視していないためもある。
東西の違いより演者の違いのほうが大きいことを考えれば、実際に聴きにいくのが東京落語メインだって、別にいいわけだ。

大好きな松喬師が顔付けされているなら言うことないが、でもいいメンバーだ。
上方落語を出すと、当ブログはアクセス減り気味になるのだけナンだが、私も上方から集客すればよかろう。
トリが鶴光師。この人だけは、東京の噺家のイメージ。でも、たびたび聴いてるわけじゃないのでいい。

神奈川には頻繁に出かけている私だが、横浜にぎわい座は、何を隠そう初めて。
開場して20年経つのに。
当日券を確認してから出かける。

最近、趣味がないのが気になってきた。落語だけが趣味ではいけない。
先日街で出くわした(向こうは私のことなど知らない)広瀬和生氏が落語でいい仕事ができているのは、本業のヘビメタ雑誌があってのことだと思うのである。
私の本業はキャッシュレスとかスマートフォンとかで、ちょっとパッとしない。
でも、私にも趣味があることを思い出した。散歩である。
今日は野毛に行くのに横浜駅から散策。遠回りして、「藤棚」なんていう初めて通った商店街から、水道道というのを通ってみる。
藤棚のアーケード商店街はシャッター商店ばかりだったが、これは日曜だからなんだと思う。普段はもっと賑わっている、かもしれない。
ここから歩いた水道道は、アップダウンがそれはそれは激しく、坂道好きにはたまらないものでした。横浜開港以来の歴史もあるのである。
野毛山動物園まで来ると、あとはにぎわい座はすぐ。先にチケット買ってからお昼を食べに。
ぴおシティの地下を覗いてみると、立ち飲み屋がどこも大にぎわい。
一瞬そそられたのだが、長い距離を歩いてきてアルコールを入れた日には、間違いなく寝てしまう。我慢する。

初めてのにぎわい座だが、ここで収録した高座の映像は結構見ているので、横浜の街をイメージした緞帳も、笑門来福の掛け軸も知っている。
だが、桟敷席があるのは全然知らなかった。

時間になると通信スクランブルが掛かる。ちゃんとしてるな。
後ろには空席もあるが、入りは悪くない。
そして、さすが上方落語にも慣れていて、いいお客さん。

 

看板の一 笑利
近日息子 生寿
出前持ち 仁智
(仲入り)
七段目 銀瓶
善悪双葉の松 鶴光

 

トップバッターはいい男の笑福亭笑利さん。見台は出ていない。
この人が前座の扱いで、以後高座返し。
上方落語の場合、見台を出したり引っ込めたりする仕事もある。
遠征の会なので前座扱いだが、2019年のNHK新人落語大賞の本選出場した才人である。
最下位だったけど、最近のこの大会は最下位でもレベルが高い。

名前の由来。師匠が鶴笑(パペット落語の人)なので、一字もらって笑利です。
「利」の字は師匠が考えて付けてくれました。
師匠に、この「利」に込められた意味を訊くと「利尿作用の利」。
どういうことですか。お客さんの小便ちびらすような落語をしろっちゅうこっちゃ。

この会の「ぎゅぎゅっと笑福亭づくし」について。
タイトル考えたのが笑利さんだそうで。依頼を受けたときにたまたま新幹線に乗っていて、目の前にお弁当「品川貝づくし」があった。
そこから付けました。まさか採用されないと思いまして。

マクラがよくウケて、気持ちよく本編へ。
看板のピン。ネタ帳には「看板の一」と書かれていたので、そちらにしました。
最下位だったNHKで出していた演目。
緊張バリバリだった当時より、明らかに上手くなっている。
しばらく続く、おやっさんがバクチについて語る場面、笑いが一切なく客席が静まり返っているのが、実に心地いい。
そんなシーンで客を引き込むのだ。
NHKを見た際、「おやっさんが東京落語っぽい」と書いている。実際、東京帰りという演出のものも聴く。
だがそんなムードはなくなっていた。上方の貫禄あるおやっさんである。

ギャグを詰めすぎないのが粋。
最後まで楽しい一席でした。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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