2018落語協会新作台本募集のその後

落語協会新作落語台本募集の選考はどうなっているのだろう。
例年だと、9月25日頃には、「世之介のそばにおいでよ」「時蔵のこんな話あんな話」のどちらかのブログに詳細が載る。
10月になってしまったのに、いまだにどちらにも何も書かれていない。
それどころか、遡っても柳家小ゑん師匠の9月12日のツイートに「優秀作13作を選んだ」「明日委員で集まって10作品に絞」るとあるだけで、その後の情報は何もない。
その後20人の委員で5作品に絞る集まりも、開かれたのかどうなのか。
毎日、世之介・時蔵の両師匠のブログを何度眺めていることか。
私だけでなく、応募された皆さん全員が情報を求めているようである。なにしろ、258作品の応募があるので、結構な影響がある。
私など新参者だが、毎年気合を入れて執筆している人からすると「今年は変だ」ということになるんだろう。
それで、私のブログにも毎日多くの訪問がある。9月25日から毎日、該当記事に毎日多くのアクセスが続いている。
すみませんが内輪の情報はなにも書いてませんよ。ただの応募者ですから。
冷静に考えると、本選を突破した5作品の作者には、すでに落語協会から個別に連絡がされているのだろうか。
そうだとして、最後の選考に残った10作品に入っていたのかどうかのほうを、ぜひとも知りたい。書き始めたばかりの私にとっては、引っ掛かったかどうかのほうが大事なので。
まあ、残らなかったら少々改稿の上、こちらで公開します。

自作の新作落語も、アイディアだけは無数にある。
書いているものも同時に数編ある。そんな中で、ひとつがやや抜け出してきて、いずれ公開するつもり。
ちょっと問題がある。先に掲載した「噺カーシェア」同様、落語ネタなのである。
私は現在、趣味の大部分が落語によって占められているので、落語に関するネタしか思い付かないのだ。困ったもんだ。
小ゑん師匠も、台本募集において落語界の内輪ネタを出すのは、噺家が選考する以上、愚行だろうと書いている。今書いているのは募集のためではないけど、肝に銘じておいたほうがよさそうだ。
プロの作る落語ネタ新作はもちろん面白い。最近聴いたのでは、春風亭百栄師の「落語家の夢」や、林家彦いち師の「舞番号」など。
もっとネタ幅を広げないといけないのだが、他の趣味といえば、野球と読書とサスペンスドラマくらいだ。
ところで先の「噺カーシェア」について、今さらながら思ったのだが、エキセントリックな登場人物をひとり登場させればよかったなと思っている。
「新作落語にはエキセントリックな登場人物が必要」という法則を発見したわけではないけど、そういう人物がいるこどで引き締まる落語は間違いなくある。
もう一箇所場面を追加してみようかな。応募作品じゃないから原稿用紙15枚をはみ出てもいいし。
今書いている噺のほうも、登場人物のひとりを、エキセントリックに改造するつもり。

昨日ABCラジオの「なみはや亭」で聴いた、「埴輪盗人」という新作落語は面白かった。原稿用紙15枚より長い尺。
そして、作り方の非常に勉強になる落語であった。演者は桂九雀師だが、書いたのは名古屋の素人さんとのこと。
プロの作る落語とどこか違う。いい悪いではなく、作家の落語ならではのよさが感じられる。
考古学の方だそうだが、ジャンルのプロだからといって、押しつけがましさはまったくない作品。マクラでの九雀師いわく、それがゆえに失敗してしまう作品も多々見かけるとのことで。
小ゑん師匠も、蘊蓄モノは気を付けた方がいいとツイッターで書いていらした。自分の知識を全部出すと作品としてダメになる。
埴輪盗人は、「卑弥呼の金印」「はにわ」という考古学の素材と、東京国立博物館にしのび込む「泥棒」とを結びつけた作品である。
そして楽しいクスグリが豊富だ。
泥棒のほうは、東京落語の「鈴ヶ森」をスライドしたような、兄貴分と間抜け泥。
こうした素材を上手く結びつけると落語になるのだな。サゲは、設定を左右している割には普通だが、それでいいのだと思う。

作成者: でっち定吉

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