入船亭扇辰独演会@ばばん場(上・風流な入船亭扇辰)

今月は前半にいろいろ出かけたのでやや自粛気味。2週間開いた。
来週から始まる仕事もあるので、今のうちに出かけたい。
若手を抜擢する池袋下席(主任・志う歌)に行こうかと思ったら、三三、一之輔と二人休演。
高田馬場「ばばん場」で入船亭扇辰師の独演会があるので、こちらにしよう。
水曜日は「水曜ばばでしょう」というタイトルがついている。当日券ありとのこと。
平日昼間から扇辰師なんて珍しくていいじゃないか。
それに今月は、しんうら寄席が扇辰師の独演会で、これに行こうかと考えてもいたのだ。ここで取り返す。

ただ、3,000円なのでちょっと高い(ケチだね)。まあ、初めての場所に行ってみるのもいいでしょう。
ばばん場は、今年オープンしたばかりの寄席小屋。

高田馬場から神田川の北岸に出て、川沿いの道路を歩くと一本道。途中に案内も出ていて親切。
何の変哲もないビルの3階がばばん場。
平日昼間だがさすが扇辰師で、満員になった。定員は40人。
椅子は、学校の学習机とセットのあれ。これはややツラい。
演者との距離が実に近い。黒門亭か、ここかという。
まだ新しいので内装が綺麗なのもいい。

お茶の小さいペットボトルと、お菓子の袋がついている。
ちなみに体温測ったり、連絡先を書かせたりはない。まあ、もういいと思いますが。

一番太鼓が鳴る。二人で叩いているが、前座さんの姿は弟子の辰ぢろさんしか見かけない。もしかしたら扇辰師が自ら叩いてるんじゃないかと思った。
違ったようだが、でもそんな会もきっとたくさんあるだろう。

狸札 辰ぢろ
天災 扇辰
(仲入り)
藁人形 扇辰

前座は辰ぢろさん。私は昨年8月の、喬太郎、文蔵、扇辰の会で聴いて以来。
修業が大変なのか、ちょっと瘦せたんじゃないか。いささか無責任なことを言ってますが。

このあたりに数年住んでおりましたとのこと。早稲田か、あるいは落語界で最近とみに名門化している学習院なんでしょうかね。
割と自然が豊かなので、蛇がのたくってるところとかも見ました。あと、タヌキも見たんですよ。
犬じゃない獣がいたんでなんだろうと。
落語会だから、前座の分際で権兵衛狸でも出すのかと一瞬思ったが、オーソドックスにたぬき(札)。

子ダヌキを助けるシーンから始まるフルバージョン。
寄席でいつも掛かる噺だが、聴いたことのない、あるいはめったに聴かないセリフが多く入っていて驚いた。
一つ目小僧やからかさお化け、入道にだって化けられますよと子ダヌキ。
タン大のバケ学卒業なんていうのは、たまに聴くけどやや珍しい。

長めだから時計を見ていたら、18分程度だった。やはり寄席よりは長くやれと師匠に言われてるんだろう。
長いからといってムダもなく、いい一席でした。

「からかさ」の出囃子が鳴る。CDだけど。
扇辰師が登場。

水曜日の昼間だからね。
頼まれたから二つ返事で出ることにしたけども、まあ来る人はそんなにいないだろうと。
でも一杯で、ありがとうございます。

これが月曜日だったらね、みなさん床屋さんなのかなと、火曜だったら美容師さんなのかなと思うんですけどね。
水曜日休んでる業界ってあったかな。
あ、***は水曜休みだね。うちの近所の飲み屋だから、誰も知らないと思うけど。
余裕のある皆さんでいいですね。

さすが扇辰師は、弟子(小辰)と違って、平日昼間に来る客に対して「仕事はどうしたのか」などと失礼な疑問を投げかけたりしない。
私はこれをヒルハラと呼んでいるのだが、害しかないと思います。

高田馬場だから山手線や東西線で来られる方が多いんでしょうね。私はね、副都心線です。
8分ぐらいで、案外近いんだよ。
人さまの路地を抜けてくるんだけどね。いいね、この時季は。
あじさいが咲いてて、それからノウゼンカズラとか夾竹桃とかね。

あじさいは普通だが、季節の花を取り上げ、なんだか風流な扇辰師。カッコいいね。
駅は西早稲田なのか。あるいは雑司が谷かもしれない。

梅雨に入りたては体がしんどいけども、いずれ慣れるという話。
人間、海外旅行して時差があっても慣れるよね。あと、豪華客船にずっと乗ってると、陸に上がったときにしばらく体が揺れる感覚がつきまとうんだよ。陸酔いって言うんだけど。
あれも2週間経ったら治るからね。

扇辰師って、仕事で豪華客船乗ったんだっけ?
権太楼師の「ジャンバラヤ」ですな。

こんなつまらない話をなぜしてるかというとね、ネタが決まらないんだよ(客、爆笑)。
なにしようかね(沈黙)、このまま8時間ぐらい黙っててもいいね。お客さんが耐えられるかわからないけどさ。
考えて、江戸っ子の話へ。
いきなり啖呵を切って、こちとら江戸っ子でい。

越後の江戸っ子、扇辰師の「天災」に続きます

 
 

作成者: でっち定吉

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