川柳川柳

今日は、終戦を記念して川柳師匠を。言わずと知れた寄席の奇人である。85歳だそうだ。
この夏、寄席に出番がないのが気になるのだけど。

「たがや」や「岸流島」などでよく、昔は身分の差があって、というマクラを振る。
お侍が道の真ん中を歩き、端っこを町人が歩いていた。噺家なんてのは、もう歩くところがないからドブを泳いでいた。
この間、これが証明された。酔っぱらった川柳師匠が、ドブを泳いでいた。

などと、小噺にまで便利に使える師匠である。
昨日、中途半端にご紹介した三遊亭白鳥師の「天使がバスで降りた寄席」でも、「にせ柳千竜」師匠のエピソードとして紹介されている。

  • 浅草演芸ホールで酔っぱらって高座に上がり、ウケないので「お前ら日本語がわからないのか」と逆切れした。
  • 池袋演芸場で酔っぱらって高座に上がり、軍歌を歌っているのにお客さんがのらないから「お前ら国民か、天誅を加える!」と言って、逆に天誅を加えられた。
  • 渋谷ジァンジァンで酔っぱらって、帰りに山手教会の大きなキリスト像を盗んだ。背負ってセンター街を歩き、警官になにを背負ってるんだと見とがめられ、「うちの師匠でゲス」と言って捕まった。
  • どこに行くにも都バスのシルバーパス、池袋から浅草まで1時間半掛けてバスで行くので寄席の出番がむちゃくちゃになる。

まるっきり嘘とも思えないところが恐ろしい。
事実で有名な逸話は、師匠、六代目三遊亭圓生の自宅玄関の前に、酔っぱらってウンコをしたというやつ。
落語の世界の熊さん八っつぁんが、現実に抜け出てきたような人物だ。

古今亭右朝師の「ガーコン」がYou Tubeにアップされているが、それによれば、二日酔いで休んだ林家こん平師の代バネに、べろべろに酔っぱらった川柳師がやってきたと語られている。

落語協会の寄席に行けば、わりと川柳師に出会う。毎回「ガーコン」を聴くわけだが、いつも同じ内容なのにいつも楽しい。寄席の魔力であり、川柳師の魔力である。
何度も聴いていると、なじみのない軍歌を覚えてしまうので、さらに楽しい。
「ルーズベルトのベルトが切れて、チャーチルちるちる国が散る国が散る」なんてフレーズが急に頭をよぎったりする。
笑え、と強要されることもなくはないが、ビビッてはいけない。

書いているうちに、生ガーコンが聴きたくなってきました。

作成者: でっち定吉

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