2019年は台風直撃で中止、そしてその後はコロナ。
2021年は配信があったらしいが観ていない。
昭和大学名人会が4年ぶりに帰ってきた。
前回やった2018年は、ちょうどあちこちで医学部不正入試問題とかあったっけ。
大学祭の無料落語会である。無料大好き。
世話人の柳亭左楽師匠をお見かけするのも久しぶり。
大ベテランは聴けるときに聴いておかないと。
なんて言うと失礼だが、この師匠に関しては広島に拠点を移してしまっているため、そんなに失礼でもあるまい。
左楽師、この会のために広島から出てくるのだ。
12時という、珍しい開演時間。
整理券を配るのだが、過去2回参加し、整理券をもらわなくても席はいっぱいあることを知っているので直前に。
100人ぐらいのお客か。
まだ落語に行く習慣が復活していない人が多いのと、あとは正直なところを言うと、この日は目玉になる人がいない。
まあ、予想通りの満足度でした。それなり。
お金を払っていないので、それなりでいいけど。
道灌 | いっ休 |
やかん | 花ごめ |
二楽 | |
松山鏡 | 左楽 |
のだゆき | |
猫の皿 | 伯楽 |
(仲入り) | |
お菊の皿 | 柳朝 |
うめ吉 | |
竹の水仙 | 夢太朗 |
前座は春風亭いっ休さん。京大出であることがちょっと有名なボールドヘッド。
一之輔師の4人の弟子の中で、最後に遭遇する。
始まる前に諸注意があったが、再度繰り返す。
「携帯電話はお切りください。自分だけは大丈夫と思っている方の携帯が鳴ることになっています」
それはいいのだが、そのあとで会場の隅にある内線電話がプープー鳴り出すという。いきなりダレる。
道灌である。前座であることを強く意識した、基本に忠実な一席。
一之輔師の上のふたりの弟子は、前座時代からウケたがっていた印象がある。
この三番弟子は、前座らしく語ることに務めている。結局、こういう人が伸びるのだ。
ちょっと気になったのは、道灌に存在する無数のクスグリをほぼ全部使っていくこと。
力を込めない高座だから、クスグリが噺の邪魔をするわけではないのだが、そうだとしても全部入れると多いなという印象。
寄席では抜いたりするのだろうか?
いっぽうで、「うちにも道灌が来るんですよ」というくだりが抜けてたが?
高座はいいのだが、座布団を返し、メクリを返さずに袖に帰ってしまう。意外と粗忽なんだ。
次の花ごめさんが、「春風亭いっ休」のメクリのまま登場してしまう。
メクリが返ってないとは露知らず、しばらく花ごめさんがマクラを振っていたところ、袖からやってきてメクリを返していくいっ休さん。爆笑。
花ごめさん、「まあ、いっ休でも花ごめでもどっちでもいいんですけどね」。
らくごカフェでもって同じシーンに出くわしたのを思い出した。「柳家花ごめ」のメクリのまま、兄弟子の花いちさんが喋っていて、客に指摘され同じことを言っていた。
おかげで、マクラでなに喋ってたか忘れちゃったよ。
花ごめさんは、女着物のときもあるがこの日は男着物。
演目はやかん。
「よめいり」「おくさん」から、魚根問のくだりは全カット。土瓶鉄瓶、そしてやかんへ。
講談はしっかりやるが、全体的に抑制が聴いていて、実にもって聴きやすい。
非常にいい高座だった。咳がちょっと出ていたが。
花ごめさんは結構聴いているのだが、ここに来てだいぶ水準が上がっている印象。
那須与一の矢が当たり、やかんになったところで終わらず、その先へ。やかん頭のくだりまでやって「無学者論に負けずの一席でした」。
抽選会で花ごめさんの色紙が当たりました。大事にします。
林家二楽師は10日前に聴いたばかり。
注文は「大谷翔平」「落語家さん」「ドナルドダック」。
注文がすぐに飛ばなかったのを久々に見た。誰も頼まなかったら「ふぐ鍋」とか「二番煎じ」とかの食欲増進落語ネタでも切ってもらおうかと思ったが。
ちゃんとお囃子さんが来ているのはいいのだが、ボリュームがちょっと大きい。
三味線とカネの音で、二楽師の喋りが聴きづらい。まあ、4年ぶりだといろいろあるわなあ。
続いて柳亭左楽師。なんと85歳。
4年前の会でも、すでに十分なお歳だった。
林家木久扇師や、柳家小のぶ師よりひとつ上である。
この師匠はこの会では、いつもこの出番だ。
左楽師の高座はこの会で3回目、他に黒門亭で一度聴いている。
普通に上がってきて正座するが、「足が悪くなってしまいましてね」と、足を崩す。
あぐら姿の高座。
先日亡くなった金翁(四代目金馬)師も晩年あぐらだったが、ちゃんと釈台が用意されていた。
うーん、もちろん正座を無理にして欲しいなんて思わない。釈台か見台、用意できなかったのかな。
先頭でロン毛の男が丁寧に髪を洗う様子を描写し、よくウケる。
中国で、柳の下の水たまりに女が「ニイハオ」と挨拶する小噺を入れて、松山鏡。
実に平和な世界でありました。
ちなみにウェットには走らず、ベテランらしい、感情を極力フラットにした高座。
でも、本当に乾いてはいないというのが左楽師の持ち味である。
来年もまだまだやるそうです。