柳家小はだ「権兵衛狸」@神田連雀亭

先日、亀戸のついでにドラッグストアで買いだめして帰った。江東区はQRコード決済で30%還元中。
まだ買うべきものがあるようなので、再度出向く。
しかし交通費も掛かるし、ついでが欲しい。
こんなときに最適なのが神田連雀亭ワンコイン寄席。
なかなかいいメンバー。
落語がついでか! まあ、そんなのもいいでしょう。

権兵衛狸 小はだ
雛鍔 兼太郎
目黒のさんま 昇輔

客はギリギリつ離れしない。
トップバッターの柳家小はださんは落語協会。
ここでついに、落語協会フリーが途切れた。いつ切れたっていいけど。
ともかく、今日はこの人が最高だった。
それ以外の二人は、普通と、ちょい悪ふざけ。

前説では「座布団が出てないですね。どの座布団がいいですか」と客に問いかける、ご機嫌な三遊亭兼太郎さん。
3色ある座布団をアンケート取り、紫を設置。

二番手の兼太郎さんは、好一郎師が披露目で出していたのと同じ、泣きの入らない雛鍔。
どこといって悪くないんだけどな。
現代視点からはモラハラに映る、客前でのかみさんへの小言を長々と、しかしカラッとやって、変な感じにしないのも立派だし。
登場人物からもっと距離を取るといいのだろうか?
まあ、個性の強い師匠から離れようと頑張ってるんじゃないかと。
以前はもっとギャグに走る印象があったので、だいぶ変わってきたのだろう。

マクラ(入門前は仕事も長続きせず、家出しがちだった)も、口調は楽しい。中身はそれほどでもないが。

トリの春風亭昇輔さんは、小はださんが語っていた内容を引用し、弟弟子のはち水鯉さんについて。
芸協でも、絶賛売り出し中のポンコツ前座らしい。
昇輔さんは要領がよく、師匠(鯉朝)に怒られたことはあまりない。だが、しょっちゅうはち水鯉さんは叱られている。
ねづっち先生が高座で、「鯉朝」というお題をもらい、「鯉朝師匠と掛けて、古いカメラで触ったことがない、と解きます。はちみりに悩まされています」。
客席はバカウケだったが、師匠は深くうなずいていた。

昇輔さんは、大阪で笑福亭智丸さんとの新作の会に出た。
大阪のほうでも、パワハラ事件は話題になっているらしい。
だがそんな中、上方落語協会の理事会の議題は「人のマクラをパクらないように」。

マクラは楽しかったが、変な目黒のさんま。
手拭いでこしらえた、ピンクの「ふわふわうさちゃん」が高座に登場。
このうさちゃんを抜くと、もうなにも残らないという高座。

「ふざけるな」なんて言いません。
真剣にふざけて、うさちゃんがただの冗談に終わらない一席に仕上げて欲しいものだ。

というわけで、トップバッターの小はださん。
本当に絶品でした。入れごと一切なく、田舎ののんびりした情景を描いた快作。
非常に柳家らしいが、いっぽうであまり小三治一門ぽくはない。

この人、なんと4年振り。
前回は、なくなったラジオ「らんまんラジオ寄席」の公開録音で、放送されない前座としての一席(たらちね)に感心した。入船亭のタイプでしたね。
学芸大学でコーヒー店やってるのは知っていたが、落語もこんなに上達していたのだ。

若々しいのだが、田舎の情景を描く芸はベテランぽくもある。
最初はベテランのコスプレみたいだなと思ったが、だんだん若さの魅力とベテランの味が並列してくる。

圧倒されたのに、褒め言葉が少なくていけない。
でも、目立つギャグが入らないとなると、そんなもんだ。
兄弟子の小はぜさんだけじゃなく、小はださんも素晴らしいなと再確認。
はん治師に、もうひとり弟子ができたら小あじになるのかしら。

小はださん、マクラも面白い。マクラ下手でも許されるタイプなのに。
落語協会でも披露目をしていますが、別の披露目に行ってきました。
春風亭かけ橋アニさんという、いや、かけ橋さんと呼ぶべきなんですが。
もともとうちの一門の人でしたが事情があって柳橋師匠に移りまして。このたび無事、再度の二ツ目に昇進しまして。三三師匠も口上に並びました。
なにがあったかというと、ここから先は有料になっていますが。
かけ橋さん、披露目で「火事息子」を掛けたんです。
感動された息子が許されるという噺ですから、まさにご本人の歴史が詰まっています。
この会の前座を務めたのが、鯉朝師匠のお弟子さんのはち水鯉さんで。
いきなり、「今日、初めてメガネ外して高座上がるんですよ!袖に橘蓮二来てますからね!晴れ舞台ですからメガネ外すんすよ!」ですよ。
私初めて会ったんですよ。初対面でこれかよと。
芸協さんはユニークな人材の宝庫です。

まあ、落語は楽しいなと。
秋葉原で記事を書いています。これから江東区で食事と買い物してきます。

作成者: でっち定吉

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