神田連雀亭ワンコイン寄席44(上・三遊亭萬丸「唖の釣り」)

締切があるのでちょっと踏ん張ってみたら、意外とすぐできてしまったので、火曜日は落語に行くことに。
亀戸梅屋敷寄席で、兼好師のトリ。
一応は、落語は亀戸だけのつもりでいた。
ハシゴしようか悩んでいたのが、神田連雀亭ワンコイン寄席。こちら春風亭一花さんのトリ。遊京さんも聴きたい。
秋葉原から亀戸に周り、食事などするとギリギリになる。大丈夫だと思うのだが、札止めも嫌だし。
悩んだ末にとりあえず連雀亭に出かけ、そしてあまりにもこの席がよかったもので、亀戸のほうをやめてしまった。
落語のあと、足立区にPayPay30%還元を使いに行くので、早上がり。ちゃんとJRの一日券を買ってある。

連雀亭は満員。おじさんだらけ。
一花さんは、つる子さんと違い以前はおじさんだらけのイメージはなかったのだが、最近はこんなのばかり。
トリの一花さんは受付にいるのだが、セクハラ気味に話しかけられている。
また、そんなおじさんに愛想のいい一花さん。

一花さんは今さら別のやり方はできないだろうけど、今後新しいスタイルとして「おじさんにやたらと厳しい女流」というものはどうでしょう。
おじさんに軽口を叩かれるたび、「うるさい、このスケベジジイ」と反論する噺家。
それはそれで人気を博したりなんかして。

一花さんの掛けた時代ものの新作は、演題不明。ボードが出てないんだもの。
調べてもわからない。いいデキで、ネタおろしではないはず。
わかったら埋めます。
3人ともよかった。よかったのが1人だけ、とかだと亀戸に向かったと思う。

唖の釣り萬丸
時そば遊京
演題不明(新作時代もの)一花

※ 一花さんの噺は、「願いましては」と判明。

前説は入船亭遊京さん。頭が角刈りっぽく、いい感じ。
「満員ですね。初めて見ました」。嘘つけ。
温度はいかがでしょうか。節電とは関係なく、ただエアコン切ってます。
私はダウンを着てますよ。楽屋では演技を担いで「墨をあたる」なんていいますから、ダウンでなくてアップと呼んでるんですけど、流行りません。
前説で小噺披露する人初めて見た。

トップバッターは三遊亭萬丸さん。
前回、ごく普通の「粗忽の釘」を聴いたのだが、今回はいきなりパワーアップしていたので嬉しくなってしまった。
円楽師の逝去後「スターがいない」と書かれる円楽党、頑張ってください。スター候補はいっぱいいるけどね。

趣味道楽から釣りの話。
釣りのマクラはたくさんあるのだが、なにしろ大ネタ「野ざらし」を除くとめったに出番がない。「馬のす」もマイナーだし。
いったいなんの本編に続くのかと思ったら、与太郎が七兵衛さんを訪ねてくる。
七兵衛さんが出てくる噺は、唖の釣り。
先日柳家小もんさんから聴いた。流行ってるのかしら。
元々楽しい噺なので、変に気を使いすぎる風潮が終わって気軽に出せるようになったのだろう。

師匠、萬橘と同じく、本編に入る際はメガネを外す。
まだ覚えて間がないらしい。結構言い淀んでいた。
見回りの役人が七兵衛さんを職務質問する際、「また釣りか」と声をかける。この大事な「また」を抜いてしまい、地のセリフで「言いませんでしたけど」と釈明して爆笑。
でも、不快感はない。
師匠と同じく、萬丸さんもセリフの連なりとして落語を覚えようとしていないのだと思うのだ。
朗読じゃないんだから、噺をしっかり肚に収め、その場でセリフを作っていけばいいわけで。

セリフは言い淀んでいるのに、展開が実にスムーズだった。
展開に無理がまるでない。誰に教わったのだろうか。もちろん自分自身の工夫も大事。
この噺、あまり掛からないためだろうが不自然なつながりが結構多い気がするのだ。
なぜ七兵衛さんが与太郎を不忍池の夜釣りに連れていってくれるのか、なぜ与太郎が七兵衛さんを見捨てて帰ってしまうのか、このあたりに軽い違和感がある。
しかしことごとく自然につながっている。

特に前者。
与太郎が、「釣りをするやつは馬鹿だ」と若い衆で盛り上がった話を七兵衛さんにご注進に上がる。
七兵衛さん、軽くだがムカついて、つい殺生禁断の不忍池で夜釣りをしている話を漏らしてしまうのだ。
後者は、与太郎が律儀に一度戻ってきて、役人の前で「キャー」と叫んでから帰っていく。一応仕事は果たしたみたい。

役人に対し申し開きをする際、殺生禁断の池で釣りをしていることを「知っている」と答える必要があるが、そこに説得力もある。
「知らない」と答えれば追求したくなるが、「知っている」と聞くと、「ではなぜ」に目が向くのだ。
これが人間心理。

売り物にして欲しいものだ。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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