今年は不愉快なコメント投稿をきっかけに、当ブログでもって落語の検索を一手に引き受けてやろうと考えた。
そんなわけでせっせと、現場のレビューの合間に、検索狙いの記事を書いているところである。そしてある程度の成果を上げている。
成果とは、私が気に入らない記事の上位を奪うのに成功しているということでもある。
たとえば「落語 つまらない」。
まあ、こんなこと書いた直後は、面白がって下の順位の記事をクリックする人が増え、一時的に順位が入れ替わるのだが。
別にいいよそのぐらい。
特に「初心者」を対象にした検索狙い記事に、気に食わないものが多い。
私も対抗してこんなの書いてるんだけど、これに関してはまだまだ。
「初心者におすすめ落語演目」は、実際には聴けないというジレンマ
「江戸落語 上方落語 違い」なんてのも、もう少し順位上げたいものだな。
上位の記事と異なり、「東西の落語は同じ」という独自の見解を述べて現在5位。
さて、そもそも世間にあまたある落語の初心者向けのコラム、その多くが気に入らぬ。
ヒットする中には、私がフィーもらって書いたものもあるんだけど。
ヒットを狙う性質上、どうしてもこの手のコラムは最大公約数に合わせた平凡な内容にならざるを得ない。「サゲの分類」なんて典型例。
どうせならちょっと角度の違う記事で、上を狙いたいものだ。
このたび思い立って、私の好きな音楽ジャンルである「ジャズ」で初心者向け記事を探してみた。
私もたまに書いているが、落語とジャズはよく似ている。両方好きな人というのも、結構多い。
理由も、感覚的によくわかる。
- 即興性を重視する
- 現場のノリを重視する
- リズム感を重視する
- 演者(プレイヤー)の個性を重んじる
- やってる人が楽しそうで、仕事と遊びの境界線がない
- 稽古も大事だが、人間性を磨くのも大事
- クスグリが存在する
- 古典落語は、ジャズで言うスタンダード(アレンジが重要)
- 新作落語は、ジャズで言うオリジナル(創作力が重要)
- 演目(曲)を日ごろから数多く聴いておいて損はない
こんなところかな。
だがもちろん、違いがあるのは当然。
ジャズの初心者向けの記事を見てみた。
ジャズのおすすめ記事は、「誰それのどのアルバム」を推奨するのである。実におすすめが具体的である。
初心者にとどまらず、好きな人の楽しむアルバムはおおむね共通している。
もちろん、他人と違う道を行く好事家もいるし、いていいのだが。マイナーすぎる盤を推奨しても、手に入らなければ意味がない。
そしてジャズの場合、名盤は網羅していないといけない。たまたまそれだけ聴いてない、というのはよろしくない気がする。
私もひとつ、「ジャズの名盤この1枚」を推奨してみるか。
ケニー・バレルの「ミッドナイト・ブルー」でどうかな。冒頭に広告載せといた。
結構難しいんだ。芯を外してもいけないし。といって、この程度であっても、微妙な外し具合を嗤われそうな気もするし。
なにせギターだからな。
落語の場合はこうはいかない。名盤基準ではないのだ。
おおむね、落語のおすすめは「演目」だけである。「死神」がいいよとか。
ジャズに置き換えてみたら「オレオ」がいいよ、なんて言ってるようなもの。
まあ落語についても、あえて演目選んでみるか。
「宮戸川」でどうだ。「五人廻し」とか「汲みたて」なんて言い出すと、外しすぎて違うと思う。
ただ、ヘタクソな噺家の場合音源がそもそも存在しないわけで、そういう点では演目だけでも結果的にヒットするのかもしれない。
宮戸川といったって、若手から色気に満ちたベテランまで、演者はさまざまなわけだ。
誰の(そしていつの)がいいと言わないと本当はいけないはずなのだが。
でもなにしろ、落語のCDはすぐ廃盤になるから。
ジャズの名盤は残るのだが、落語のほうは歴史に残りにくいのだった。
「橘家圓喬がすごかった」らしいのだが、聴いた人は恐らくもう誰もいない。
ジャズだってライブハウスで常に演奏が披露されているわけだが、いっぽうで録音の重要性が落語よりも高い。
ライブ盤もあるが、一般的にはスタジオ録音。
落語の場合、スタジオ録音はレア。中には圓生百席などあるが。
初心者おすすめ記事における共通点も発見した。
落語と同様、ジャズも過保護な記事がある。
「これは名盤には違いないが、初心者が聴くと嫌いになる可能性があります」
実に大きなお世話だと思う。
落語にも、「いきなり寄席に行くと、つまらないときもあって落語嫌いになる可能性があります」なんて過保護すぎるおすすめがある。
過保護というか、保護者である自分は斯界のすべてを知り尽くしているという、傲慢さの現れである。
広瀬和生氏も(私怨からのようだが)「初心者は寄席に行けと勧める評論家は無責任」という切り口を持ち出す。
他人の感性まで決めつけちゃいけないし、おすすめの相手が必ずヘビーなファンになるとしたものでもないって。
落語もジャズも「自分はこう思う」までしか書けない。
まだ聴いてもいない他人の感性を支配しようなんて傲慢すぎる。
Yahoo!知恵袋あたり行くとこんな見解アホほどあるけどね。
ジャズも落語も、現場に一切行かないファンが存在する。
それはそれでいいかもしれませんね。
落語も、音源だけで聴いているのもアリだろう。
私、落語はいつも行ってるのだが、コロナも明けたしそろそろ久々に生のジャズを聴きに行きたいもんだなと思っている。