続いて、1週間前に国立で聴いたばかりの笑福亭希光さん。
もともと好きなこの人に笑わされすぎ、心身ともに変調をきたしてしまった次第。困るなあ。
しかも、笑いが2段階。
前半は芸協の楽屋の様子であり、これは知っている人だけに響く。あざとくもあり。
しかし本編、ちりとてちんもしっかりと面白かった。
こういう会では、見台も釈台もなし。
今日は6人のお客様で。
この会、初回が3人だったんですよ。
2回目は出てないので知らないんですが、前日までの予約はゼロでした。やったということは、少なくとも1人は来ていらしたということなんですが。
今日のペースで増やしていきたいですね。お客さん6人を我々が廻す会になるかもしれませんが。
お友達の多そうなみなさんですから、次回はぜひお連れ様と一緒にお越しください。
先に出た笹丸さんのマクラに触れる。
人の記憶というのはアテにならないものですからね。受け取る立場で違いますし。
私あんな言い方してないと思うんですよ。「こうやってやりなさい」と(東京弁で)丁寧に教えていたはずです。
笹丸さんは確かに、私が橋蔵さんを叱るのを見てうまく立ち回ってましたね。
この「六人廻し」第1回でも、一緒に出た橋蔵さんがマクラで希光さんの指導の話をしていたのだそうだ。
この世界、同期はいても、本当に横並びの人はいないんですね。必ず序列がついてます。
笹丸さんは橋蔵さんの1週間後に入門ということになっていますが、本当は協会への届け出がまったく一緒だったんだそうです。
そして、もうひとり昇市さんも、まったく一緒だったそうで。
昇市さんは浅草で楽屋入りしたふたりと違い、池袋で楽屋に入ったので、私は教えていません。
この3人、同時入門でも香盤の序列はあるんです。
なんでも聞いたところによると、師匠がジャンケンして決めたらしいんです。
だから、柳橋師匠と竹丸師匠、それから昇太師匠が「最初はグー」ってやって、勝ったのが柳橋師匠らしいんですね。
先ほど、竹丸師匠のCDの話が出てました。
先日国立で一緒だった、桂小南っていうちっこい師匠がいてるんですけど。
やおら、小南師のモノマネを始める希光さん。
「この後今日は新宿の掛け持ちがあるんでね、一生懸命やっちゃうと、疲れちゃうからね」
まさにこの芝居に行って、ご本人からオリジナルを聴いたので、一層爆笑してしまった。
小南師匠には悪い癖がありまして、楽屋でもって人の悪口を言うんです。これ自体は噺家には普通のことなんですが、「○○さんがこう言ってたよ」という、卑怯な言い方で他人を貶めるんですね。
新宿でもネタを拾ってきたそうなんですよ。
「竹丸さんがCD出したって言うんだけど、あれ、どうだろうね。文治さんも、あれはどうかって言ってたよ」
モノマネ(顔マネ付き)のクオリティが異常に高く、爆笑。
希光さんいわく、初めてやったということだったが。
それはそうとモノマネだから誇張はしているにせよ、小南師匠って、楽屋での喋り方が高座と一緒なのか? そうだとして驚きはしないが。
「前座の幸路にも話したらね、爆笑してたよ」
この人はこう言って、前座まで悪者にするんですよだって。
だから前座は、師匠方に話しかけられて、本当に面白くてもこらえないといけないんですと希光さん。
当ブログの読者に伝わるかどうかわからないが、思い出してもおかしくなってきた。
小南師匠もどんどん面白くなって、襲名前後より今のほうが売れてるんじゃないか。これはでっち定吉の感想。
全国(鹿児島、北海道、名古屋、東京、千葉、タイ)に故郷のある竹丸師との旅の話も。
それから師匠・鶴光の話も。
先日の国立の、高座のあとで出す「浪花節だよ人生は」に乗せた師匠の踊りの話。あ、そういえばこれ、書くの忘れてた。
国立のスタッフもノリノリで、上から紙吹雪ばらまいてくれますと。
師匠はたもとに紙吹雪をしのばせているが、あるとき用意を忘れた。弟子の里光にドンキで買ってきてもらうが、ばらまいたらストンと落ちて、はためかない。
これがプラスチック製の紙吹雪だった。
いろいろ振ってちりとてちんへ。
2日前に喜太郎さんから聴いたばかりの噺。東西の違い以上にスタイルがまったく違うので、被った感は薄い。
ただ、冒頭いきなり隠居と竹さんの会話で始まるというのだけ、一緒だった。むしろ珍しい気がするのだけど。
希光さんのちりとてちん、一度聴いたなと記憶を探る。
4年前に堀之内寄席で聴いていた。調子のいい竹さんの記憶はあるが、それ以外はかなりブラッシュアップしていたのでは。
幇間っぽい竹さんの、ヨイショっぷりがストレートにおかしいのが大阪っぽい。
ほぼマクラで一日埋まっちゃった。
続きます。