六人廻し(上・桂笹丸「猫の皿」)

金曜日、早朝から仕事をして一本仕上げ、二度寝した。
起きて仕事しに外に出ようと思ったが、そういえば今日もなにかあったなと。
興味ある会がいくつかある。毎月23日の堀之内寄席とか。
だが、ひらい圓蔵亭に出向くことにする。笑福亭希光さんと、桂笹丸さんの二人会。
ひらい圓蔵亭は、2019年に一度出向いて以来。それ以降も何度か検討はした。

総武線の平井に行くのもそれ以来。総武線快速を錦糸町で乗り換えないといけないのに、勘違いし、新小岩まで行ってしまってひと駅戻る。
ところで完全キャッシュレス派の私の財布には、900円しかない。千円の会にすら入れない。
平井で下ろそうと思っていたら、この駅前には三井住友銀行のATMがない。三菱UFJ銀行ATMでもいいのだが、手数料無料にならない支店しかない。
月1回のコンビニATM無料特典はもう使ってしまった。
詰んだ。
結局、楽天銀行であと1回無料で下ろせたのを思い出して事なきを得た。
続きがある。この23日金曜は世間の給料日。三井住友銀行はもともとこの日コンビニATM手数料無料でありました。
今度ATM落語でも作ろうかしら。

定員30人だが、二ツ目の会が平日そんなに埋まるはずがない。
直前に電話して予約。
行ってみたらお客は6人でした。まあ、そんなもんでしょう。

チラシがいっぱい。
両国の三遊亭とむ改め錦笑亭満堂真打披露とか。7月です。

楽しい会でした。
それはそれは、久々に大笑い。
でも困るなあ。
笑いすぎて疲労困憊の極み。
これは、落語に出向いた際の通常の反応ではない。
いつもだったら、落語が終わってすぐ近所で、当日の模様をブログに起こすことが多い。
しかし疲労のあまりまっすぐ家に帰り、また寝た。
仕事もできなかった。
あんまり笑わされるのも迷惑というものです。
まあ、おかげで2,500円ぐらいの価値があったかな。

猫の皿 笹丸
ちりとてちん 希光
(仲入り)
明烏 笹丸

六人廻しという会は3回目。6人のメンバーが順繰りに廻していくそうだ。
優男の桂笹丸さんは1年半振りだ。
すばらしい声の持ち主。音響を考慮していない空間で、声が勝手に響いていくという。
ナレーターを安く探している人にはおすすめします。

笹丸さんは、このたび昇進、翔丸師の番頭を務めているそうである。
師匠・竹丸がCDを出した。落語ではなく演歌。
「落語家の本分」というCDだが、本分は落語じゃないですかねと笹丸さん。
口の悪い師匠からは「まともな落語しないんだから落語家の半分」と呼ばれている。

現在、CD絡みであちこちに呼ばれているそうである。
大須演芸場に笹丸さんも一緒に行った。歌を流して(口パクで)踊る師匠。

今日は希光アニさんと一緒です。このアニさんが六人廻しの一番上ですね。
アニさんは、私が楽屋入りしたときの指導係でした。
私のすぐ上に橋蔵さんがいて、橋蔵さんは希光アニさんにいつもすごく怒られていたんです。
関西弁でまくしたてるわけです。
(実演)ここまでではなかったかもしれませんけど。
それを見て、パワハラの巣窟、すごいところに入っちゃったなと思いました。
その後橋蔵さんが正前座になり、今度は私が教わる番です。
どれだけひどいことを言われるかなと思ったら、そうでもなかったです。相性があるんですね。

ポケモンカード高騰のネタ。
笹丸さんもコロナで仕事が激減したのを機に、コレクションを売ってしまったらしい。値段が上がっていて売り時だったと判断し。
だが、その後すぐにさらに高騰したそうな。18,000円で売ったレアカードが、すぐ5万円程度になったそうで、惜しいことをした。

というわけで、ここから猫の皿。
前回来た4年前にも、兄弟子の竹千代さんから猫の皿を聴いたなと思い出す。
笹丸さんの猫の皿は、誰から聴いたものともまったく似ていないので驚いた。
最近、「古典落語をガワだけ使い、中身を自由に作る」というやり方についてよく考えている。それらしい。
この概念にも名前を付けたいと思います。
古典落語にも創作力は必要だということが、よくわかるではないか。

笹丸さんの猫の皿は、茶店の爺さんとの漫才である。
まあ、どの人の猫の皿もそうなんだといえばそうなのだが、とりわけその部分を自由に作っているのである。
必要な部分を強調するだけでなく、いらない部分はさりげなく削る。

熱い茶と冷たい麦湯どちらがいいか訊く爺さん。
旅の旗師は悩んで麦湯にするが、あいにく切らしてます。なら訊くな。

爺さんは、細かいことは気にしないで生きてるんだそうだ。
松の枝に人がぶる下がっていても気にしない。それは気にしたほうがいいんじゃないかと旅の旗師。
さっそく爺さん、砂の入った茶を持ってくるが、爺さんは気にしない。

高麗の梅鉢を手に入れる交渉はスピーディ。聴いた中では一番早い。
引っ掛かったことに旗師が気づいてからも早い。
20分くらいでテンポいい、楽しい一席でした。

続きます。

 

作成者: でっち定吉

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