昨日は襲名の話題を取り上げた。
当ブログにも訪問は多かったが、一番アクセスが多かったのは検索で掛かる「七代目三遊亭圓楽は王楽に違いない!」である。
検索で掛かる記事だけ読んで、タイムリーな最新記事に気づかず去っていく人が実に多い。まあ、いつものことだけど。
圓楽の名は、昨年亡くなった円楽師の惣領弟子、楽生師に継ぎなよと好楽師は言っているそうな。
そして予想外の大名跡「橘家圓喬」も円楽党で名乗らせようとしていると。
これは名前が伏せられているのだが、たぶん鳳志師。
タイムリーに楽生、鳳志の二人も出る会があるので行ってみる。
決して急に思いついたわけではないが、ニュースがなければ池袋や鈴本に行っていた可能性もなくはない。
ただそちらに行くと、今月の落語の支払いが1万円を超えてしまう。それは避けたい気もあったりして。
この会「七人の侍」は2月に来て以来。
七人と言いつつ、今は五人の侍。芸術協会と円楽党混合の若手真打勉強会。1,500円。
昼間の日本橋亭は、つ離れそこそこ。
受付には、瀧川鯉橋、桂枝太郎のふたり。
襲名が噂されるふたりはいない。
宮戸川 | 楽生 |
質屋蔵 | 枝太郎 |
やかんなめ | 鳳志 |
(仲入り) | |
演題不明 | 小助六 |
水屋の富 | 鯉橋 |
小助六師の噺、演題不明。歯抜きが吉原でたぬきにされる噺。
古典落語で演題を知らないことはあるが、調べてわからないのは極めて珍しい。
「たぬきの遊び」という演題だとぴったりくるのだけど、これ、別の噺があるんだよな。
噺の文法的に、擬古典つまり誰かがこしらえた新作ではないと思う。
ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、すみません、教えてくださらなくていいです。
自力で発見したいのだ。
(※ ツイッターにネタ帳アップされてて、あっさり「はぬき」と判明。そのままですな)
演者の出てくる順番はわからない。
トップバッターは、7代目圓楽、かも知れない楽生師だった。
そんな話はご本人、なにもしない。
地方の会が再び増えてきて、久し振りに飛行機にも乗るという。
高知や鹿児島、青森にも最近行ったそうで。
高知はとにかく打ち上げで酒を飲まされるが、返杯はなしというルールになっているそうで。本来は同じ盃に複数の人間が口を付けるのだ。
九州の人はよく笑うとのこと。
楽生師は、お父さんが鹿児島の人だそうで、森永食品の春日部工場に集団就職でやってきたお父さんが、工場内保育所の保育士だったお母さんに手を付けたんだそうな。
鹿児島もよく酒を飲む。しかも五分五分の焼酎。
「はし拳」でもって負けたほうが焼酎を飲み干すが、勝った方も嬉しくなって一緒に飲んでいるという。
いっぽう青森の人はおとなしいのだが、酒を飲むと徐々に打ち解けるのだそうで。
酒の話をしているが、本編は宮戸川である。
極めて個人的な感想で申しわけないが、「締め出し食べちゃった」が入念な宮戸川は好きじゃないです。
まさにそれ。冒頭いきなり。
まあ、そこ以外は軽くてスピーディであった。
お花さんのおばさんがいるのは、春日部。
お花半七が上に上がってからちょっと寝てしまいました。
サゲは、「ここから先は教わってません」。
二番手の桂枝太郎師が、今朝のニュースの話をしていた。
好楽師匠、ぶっちゃけてましたね。あ、あまり関心ないですか?
読んでない人にはなにを言ってるのかピンと来なかったと思う。
私は楽生さんが圓楽になったら嬉しいですね。私は彼より半年先輩ですから、「おい圓楽」と呼び捨てできるという。
圓楽、ジュース買ってきて、とか言えますね。
そろそろ師匠歌丸の命日です。
結構、歌丸について語るという仕事があります。
いまだに言われるのが、「師匠が亡くなって悲しいでしょう」。
もう5年も経ってます。いまだに悲しんでなんかいませんよ。だいたい、うちの一門、師匠が亡くなって全員太りましたからね。
あとよく訊かれるのが、「歌丸師匠もきっと天国で円楽さんと大喜利してるでしょうね」。
落語やらせてやってくださいよ。
今度一門会がありますのでよろしくお願いします。
そろそろ、師匠から教わった噺を残しておかないといけませんとマクラを締め、本編は質屋蔵。
「コロコロストン」の長いくだりはやらず、実にスピーディ。
コロコロストン好きなんだけども、やらないならやらないで、極めて早い展開、これはこれでいいな。
質屋の主人に呼ばれる番頭さん。
湯に行ったら、噂になってるじゃないか。
なんですか、桂枝太郎が人間国宝に決まったと。
2月の「七人の侍」で聴いた明烏は、本編と関係ない地口のギャグが多くてちょっと辟易したのだが、質屋蔵にはそんなものは入れていない。
ギャグは確かにちょくちょく入れるのだけども、地口ではない。
それに、棒読みモードで淡々と噺を進めていって、時にポンと入れるので、流れを断ち切ってしまうようなことはない。
出入りの大工、熊さんを呼びに行かせるため小僧の定吉を呼ぶ主人。定吉は、何の用件だかすでに知っている。
主人がさては立ち聞きしていたな。どこから聞いたんだ。
定吉、噺の最初のくだりから、そっくり再現してみせる。要は繰り返すのだが。
このメタギャグは笑った。主人が、噺が進まないじゃないかと。