カメイドクロック落語会3(上・三遊亭好二郎「万病円」)

無料落語愛好家のでっち定吉です。
タダの落語会は平和のシンボル。今日もカメイドクロックへ。
演者は前回と同じ、三遊亭好二郎さん。
円楽党期待のホープのひとり。
前回は二度もマイクの切れる御難に遭った。
まあ、その模様をでっち定吉に書かれる館の運営も御難かもしれないが。
あたしゃ、無料の会には寛容なんですよ。感謝もしてるし。
ただ、面白い事件があれば当然書く。

多分私のせいで、先月はスタッフの待機所が隠されていたのだった。
今回はむき出し。
前回、スタッフが御簾内でスマホ見てたのチクったからかな。
それだって、別に非難したわけではない。
ただ、目の前で見事な「茶の湯」が掛かってるのにさ、とは思う。

落語会の今後の予定が更新されている。
兄弟子の兼太郎さんや、萬丸さんも出るようだ。

今日も、1部2部ともに参加。
1部は11時開始。早い。
20人ほど集まってなかなか盛況だ。
1部終了後、2部が始まるまでの短い時間に書いている。
ごくらくらくごによれば、録音を聴き返してすぐ再現してると思うんだろうか。
一度落語の録画を音だけで聴き返して、すぐ再現してみろ。
それができてから因縁付けろ。

【1部】
熊の皮
万病円

前の方の席はカメクロのモチーフ、亀甲模様のチェア。
背もたれがなく人気がない。
前の方にはどなたも座りませんね。集まってくださっているのにそうでもないような気になります。

この会もおかげさまで、定着してきましてお客さんも増えました。
平日昼間にこれだけ集まるイベントはなかなかないそうですよ。
この後ぜひ、この館でお食事などして、お金を落として下さい。落語会の日に売上が水増しできれば、私達の仕事も増えるかもしれません。
水増しといえばと振って、ビッグモーターの話。
旬の短い小噺を披露する。オチは悪いので書かない。

我々噺家には前座修業があります。
修業が終わると解放されるのかと言うとそうでもないようで、結婚するとだいたい女性が強いみたいですね。
うちの師匠のおかみさんも、いつも強いですと振って、「熊の皮」へ。

金曜に聴いた「宗論」は違ったが、熊の皮は明らかな遊雀型。
ああ、しばらく遊雀師を聴いてないななんて思う。
甚兵衛さんが先生にデタラメ口上を述べたあとの「以上です」が遊雀イズム。

全体は遊雀師だが、細かい部分に工夫を入れる。
仕事から帰ってきた亭主をこき使っておいて、「お米を研ぐあんたが好きで一緒になったのよ」だって。
そして日当たりのいい、鳥居に腰巻きを掛けて帰ってくる甚兵衛さんに、かみさんはツッコまない。今ドキの手法。

口上を終えて泣く甚兵衛さんに先生が、お赤飯持って帰るかいと尋ねると、甚兵衛さん、「あっしは世の中で二番目に嫌いなのがお赤飯」だって。

結構な一席を終えて、また口を開く。
我々の世界は1日でも早く入ったら先輩です。
私の次に入った人は46歳でしたけど、私に敬語です。
これは、現・好志朗の西村さんのことだ。入門時年齢は42歳だからちょっと違うけど。

その後は若い子が入ってくるかなと思ったら、スウェーデン人でした。
これは好青年さんのこと。

身分制度を振って本編へ。湯屋の番台に、客が怒っている。
湯船でふんどし洗ってるさむらいがいる。湯銭けえせ。
万病円だ。珍しい噺。
珍しい噺の割には、現場で聴くのが3回目で、すべて二ツ目から。
今後もありそう。短い時間でできる噺だし。
どこから仕入れるんでしょうかね。市馬師あたり?

思った通り、好二郎さんはさむらいがいい。
万病円の主人公のさむらいは、見本になるような人ではなく不良浪人だけども、固い描写が実に似合う。
そして、固いセリフで描くので、人物描写がファジイになって、あまり嫌なやつに映らないというのもいい。
いや、町人から見たら困った人ではあるのだけども、強い復讐心を掻き立てるというよりも、軽く逆襲したくなる人。

侍は、最初から町人をからかって遊んでいる。
その後饅頭屋の小僧と古道具屋でそれぞれ遊ぶが、だんだん逆襲が強くなってきて消化不良。
最後に紙屋で無理難題を吹っ掛けるが、またしても返り討ち。
なおも紙屋が扱う薬「万病円」をネタに、「四百四病と昔から言うではないか。いったい万も病気があるものか」と、ごくらくらくごみたいな因縁をつける。
あ、このシンクロは想定外。

紙屋もさるもので、侍に参ったと言わせてしまう。
楽しい噺でフィニッシュ。
午後からまたやりますが、前の席は背もたれのある椅子に替えましょうかと好二郎さん。

どうだ。11時半に1部が終わり、12時7分に書き上げたぞ。
録音してたとして、聴き返してる暇などあると思うか。

第2部に続きます

 

作成者: でっち定吉

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