黒門亭17 その1

小ごと / 道具屋
粋歌  / 保母さんの逆襲
小燕枝 / 意地くらべ
(仲入り)
鈴之助 / 紙入れ
白鳥  / 座席なき戦い(ネタ出し)

雨の土曜日は黒門亭へ。三遊亭白鳥師が1部のトリである。
仲入り前の柳亭小燕枝師もお目当てのひとり。

白鳥師出演で、札止めは間違いないので早めに。1部は12時開演だが、10時半を回ったぐらいに並ぶ。
黒門亭に関しては、雨だから人が来ないということはない。
11時10分頃、番頭の柳家かゑるさんが出勤してきて、整理券を配ってくれる。
整理券が出て助かるが、早くも11時半には戻らなきゃならない。

時間ないので、ちょっと離れた末広町のほうの「すき家」に行き、ミニ牛丼で軽く腹ごしらえ。
東南アジア系のお姉ちゃんが接客をしている。店員は全員外国人。
このお姉ちゃん、私の頼んだ牛丼を、入店直後でオーダー前のおじさんのところに持っていってしまう。
それは取り返したのでまあいいが、そのおじさんが注文して一緒に「熱いお茶」を頼んでいるのに、まったく日本語がわからないようで、別の兄ちゃんがオーダー替わりに取りにきた。
おじさんもイライラしたろうが、我慢して再度注文とお茶を頼んでいた。
そんな光景を見ながら、白鳥師だったらこの情景からインド人のそば屋の噺をこしらえてしまうのだななどと思う。
イライラしないで、ディスコミュニケーションを楽しむぐらいでないといけない。

ちなみにすき家で以前、たぶんベトナム人の兄ちゃんに向けてした私のオーダー。

  • ネギ玉牛丼
  • 大盛り
  • サラダセット
  • 豚汁付き

正確なところは忘れたが、たぶんこんな感じである。要は、このオーダーは4つの要素で構成されているということが言いたいのだ。
だが、兄ちゃんが持ってきたのは

  • 牛丼
  • おしんこセット
  • 味噌汁

であった。つまり、4要素すべてに対して間違った回答をしたのだ。
そんなことがあった直後、日経にすき家の外国人バイトを教育する、日本人店員の嘆きが掲載されていたっけ。ワンオペが問題視されていた頃の話。
あいつに違いないと思ったものだ。
以上、「すき家と私」でした。

黒門亭に戻る。入場してから30分待たされるのがどうもな。
ところで、また半券が10枚たまった。次回はタダだ。
白鳥師のファンらしく、見慣れないタイプの客も多かった気がする。

柳家小ごと「道具屋」

前座は一琴師の弟子、柳家小ごとさん。
私一推しの前座さん、また上手くなっていた。柳家らしく、ジミハデに上手くなっているのがいい。

今日は道具屋。最近は前座からはあまり聴かない噺である。真打も掛けないけど。
与太郎が出てくる前座噺は案外少ない。他には「牛ほめ」「金明竹」ぐらいか。
「ねずみおろし」をおじさんに教える与太郎、「でもこれで特許が」。
ここで瞬時にカミシモを替えて、おじさんが「取れないよ」。この地味な連続技が、私のハートを鷲づかみ。

「ど」のつく商売だなんてクスグリはない。「ゴミ」の説明もない。入れ事が少ないのだ。
えんま、火事焼けののこ、しょんべんできない股引、お雛さまから、種子島の「音はズドーン」までフルサイズ。
実に気持ちのいい、楽しい道具屋。決して噺を無駄に弾ませないがゆえに楽しい。
この人が二ツ目になって独演会をやるなら行ってみたいなと思う。

三遊亭粋歌「保母さんの逆襲」

粋歌さんは、柳亭こみち姉さんとともに、「落語協会音頭」を鋭意作成中だとか。
この会のチラシも入っていた。
冒頭、今日は白鳥師が目当てでしょうから軽くやりますと振っておいて、軽くない噺へ。
林家彦いち作「保母さんの逆襲」。彦いち師でも聴いたことがない。
ちなみに、階段下のボードには「彦一作」って出てた。これじゃとんち噺だ。

粋歌さん、ちょっとクライマックスでもたついた感があって、それだけ不満。

保母さんがなぜか銀行強盗に入る変な噺。
この噺は三題噺なのではなかろうか。すなわち、「保育士」「銀行強盗」「借金」。
三題噺というものは、芝浜や「母恋くらげ」みたいに、客のリクエストから生まれることが多いが、作家がテーマを決めるために選んでくるものもあると思う。
たまに新作を聴いて、これは三題噺に違いないと思うものがある。
この日の白鳥師ネタ出しの「座席なき戦い」はどっちだろう。

続きます。

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カテゴリー: 寄席

作成者: でっち定吉

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