柳家花緑弟子の会10(上・柳家圭花「義眼」)

先週木曜に梶原いろは亭で柳家花いち師を聴いたばかり。
もう1回聴きたくなって、というか昼席なので先にスケジュールに入っていた会に、出かける。
足立区の還元は終わってしまったが、文京区は来年までやっている。終わった後は三田線で白山に出向き、コープみらいで買い物してきた。
交通費ぐらいすぐに取り返せるのだった。

東京古書センタービルの南側が更地になって、新たなビルが建設中だった。
最近来たような気がするけども、なにせ1年振りだ。

花緑弟子の会(らくごカフェ)は、昨年の12月に出向いたら、古いスタイルの最終回だった。
今年から、「真打+二ツ目」の二人の会になっている。
リニューアル後は初めて。やはり二人会だと、二人とも好きな場合にのみ来たいのだな。
今回の花いち師のペアは、珍品専門の二ツ目、圭花さん。いいじゃないですか。
ただ、ブログのアクセスはそれほど伸びそうにないけど。
才人、花いち師には早く売れて欲しいものだ。

義眼 圭花
元犬 花いち
山崎屋 圭花
(仲入り)
宿へゴースト 花いち
ミニトーク 花いち・圭花

お客は7人。3回続けて、つ離れしない会に来てしまった。
別にそういうのを狙っているわけではない。
ただ、人数と満足度が比例するわけでもない。この日も非常にいい会でした。
ちなみに先月は14人だったらしい。

圭花さんから。
昨年いじられていた、グラデーション模様の演歌歌手みたいな着物。ただし羽織は脱がない。

今年6席目だ。独演会にも行って3席聴いたから多いが、そんなに聴いてるのかと改めて驚く。
演目が「開帳の雪隠」「猫久」「御神酒徳利」「へっつい幽霊」「狸の釜」である。
特に小ネタが珍しめ。

花緑弟子の会、1年間新しいスタイルでやってきました。どうですか。今の二人会のスタイルのほうがいいという方います?
ああ、半分ですね。半分ってことはいいと考えていいのでしょう。
新しいスタイルが初めての私にはなにも言えない。

今年はいい出会いがあったんですと。
冷蔵庫買ったんです。
冷蔵庫ってね、冷やせるんですね。おかげで納豆が3つ買えるようになりました。
あと、ソースとかめんつゆとかドレッシング、調味料も選べるようになりました。冷蔵庫ない時代は3分の1使ったら捨ててましたからね。
…あまり共感得られなさそうですね…

マクラが客に響くのをあまり見ない。
でも、いつも共感を求めていく圭花さん。
冷蔵庫なしでやりくりしていた人の嬉しい気持ちぐらい、なんとかついていけそうな気がするのだけども、すぐに「共感得られませんね」って言って客との距離を演者のほうから確認しちゃうんだ。
もっと我慢してもいいと思うけど。
ちなみに、冷凍室はついてないそうです。

来年はオリンピック、そしてパラリンピックですね。
義足とか義手とか付けた選手がいますね。義は義理人情の義です。
他に義眼というものもあります。教場Xで話題になりましたね。

最初の一席は義眼か。相変わらず攻めてるな。
義眼には湯呑みの水をぐっと飲む場面があって、冷蔵庫と薄くつながっているみたい。

義眼はまあ、先代文治がよくやっていたらしいが、そうそう遭遇しない。
柳家一琴師からわずかに聴いたことがある。
地味に廓噺でもある。

圭花さん、マクラはともかく、本編に入ると上手くて引き付けられる人なのだ。
演技はくどくなくナチュラルで、メリハリも効いている。声だって悪くない。
迫力が必要なシーンはしっかり声を張り上げる。
それでもって珍品でこちらを刺激してくれる、得難い人である。

タチの悪い酔っ払いが、それゆえに廓で振られて女が来ない。へそを延々いじり回してたりすれば当然。
夜中に喉が渇いたので、隣の客が寝る際に水に漬けてた義眼ごと、湯呑みの水を飲んでしまう。
それでお通じが付かなくなって、医者が肛門覗いたら、向こうからも目が見てた。
実にくだらない。

医者の先生がドイツから輸入した器具を肛門に突き刺すのを、扇子で表現する。
一琴師は入れてたかな?
開き気味の扇子をつぼめながら、ケツにグッと差し込むくだりがなんだかたまらない。

ああ、忙しい年の瀬に、アホな男のケツの穴を覗く噺を聴く、このバカバカしさ。
なんだかとても幸せな気がします。
圭花さんは15分で終わり、続いて花いち師。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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