大変読み応えのある対談記事がWebに出ていた(毎日新聞)。
油井雅和、長井好弘、渡辺寧久、佐藤友美という界隈ではおなじみの方々。
乗っからせていただきます。
特に、若手についての論評が面白かった。
「色物」勢が健闘、桂二葉ブレーク 大衆芸能の今年を振り返る/上
「上」でタイトルに含まれない話題は、寄席の企画ものが増えたということ。
なのに今年はあまり寄席には行かなかった気がする。休館した国立演芸場ばかり行っていた。
来年こそは寄席の楽しい企画ものに参加したい。
個人的には二ツ目の抜擢を増やして欲しいものである。仲入り後のクイツキに出して欲しいのだ。
あと文中では触れられていないが、芸協では小痴楽師など若手が番組編成をした席もあった。今年始まったわけじゃないが。
これも続けてもらいたい。
それから一之輔師の笑点登場。これは書き尽くした。
「下」では、対談参加者が候補を出し合い、相撲よろしく表彰をしている。
二ツ目さんには★を付けておきます。
【殊勲賞】
★林家きよ彦
★三遊亭青森
★三遊亭ぐんま
★瀧川鯉白
風藤松原
ねづっち
春風亭一之輔
桂宮治
【敢闘賞】
★立川吉笑
★林家つる子
★三遊亭わん丈
蝶花楼桃花
一龍斎貞鏡
★春風亭朝枝
【技能賞】
★春風亭朝枝
★柳家小もん
★柳家小はだ
★柳家小太郎
★柳亭市童
柳亭こみち
入船亭扇橋
★三遊亭青森
【新人賞】
★柳家小ふね
★三遊亭ごはんつぶ
★鈴々舎美馬
名が挙がっていないことについて思う人は多少いるが、挙がっている人について特に異論はない。
市童、美馬は出会ったのが一度で、今のところはまだピンとこない。拒絶しているわけではないけれど。
小もん、小はだといった柳家の地味な二ツ目がピックアップ。さすがしっかり見ていらっしゃる。
地味さを前提に評価している人が、しっかり拾われていると私も嬉しい。
ただふたりとも、「地味な落語をしよう」とはきっと思っていないと思うけど。
小太郎さんは、二ツ目になって聴いていないが、前座時代の名は柳亭左ん坊。私の一押し前座であった。
そして本格古典派だけでなく、新作派に面白派もしっかりピックアップされている。
新作落語界では三遊亭青森さんは評価が高いらしいが、最近の活動は残念ながらよく知らない。ただ、弟弟子のぐんまさんはプークで聴けた。
林家きよ彦さんも実にいい。
おもしろ古典の柳家小ふねさんについては、こう。
渡辺寧久「小ふねさんの面白さは、なんかえたいのしれないところ」「全然考えてないでしょ、だから面白い」
長井好弘「本人もわかってないんじゃないか」「落語を知ってるかというと、よく知らないんだよね」
誉め言葉には思えないが、結構強く褒めているのだった。
小ふねさんが、世代最強だって。まあ、確かに異論はない。
小ふねさんの落語はいっぷう変わっていて、しかしながら落語の芯を打ち抜く面白さである。落語でないと成り立たない芸。
それにしても、うーん。
有望株は落語協会ばっかりですな。真打や色物も含め。
パワハラで揺らぐ落語協会、そのせいだと私は思っているが、女性の前座がいなくなってしまった。
とはいうものの、確実に次が育っているのも落語協会だということになる。
芸術協会で名が挙がるのは、宮治と鯉白だけか。
二ツ目は、協会と人数変わらないんですがね。
吉笑さんは立川流だが、円楽党はゼロ。
円楽党もいますよ。兼好・萬橘・王楽以外にも。
二ツ目の好志朗さんなんてすごくいい。あとぽん太さん。ここに名前を出してもらえるかというと確かにまだちょっと足りないかもしれないが。
あと、前座のけろよんさんは日本で一番上手い前座だと思う。
芸術協会は、成金世代が真打になったのでどうしても地味に映るかもしれない。
別に、今から小痴楽師を押したって構わないのだけど。
ただ、鯉白さんと同じ芸協カデンツァにも上手い人がいる。桂竹千代、桂鷹治はいいと思う。あと三遊亭遊子。
二度目の昇進、春風亭かけ橋さんも、話題性でなく実力でブレイクする可能性あり。
あと、香盤一番下だから新人賞にもエントリーすらされないが、桂銀治さんに期待。
落語協会が独占しすぎだが、でも上手い人がまだいないわけではない。
中でも入船亭遊京さんを推します。