ドラマ「昭和元禄落語心中」第9話

すっかりお爺さんになってしまった八雲師匠の岡田将生。
だが、中途半端に老けている頃よりよく似合っている。

浅草雨竹亭では初心者向け落語講座の開催中。下座の役割について説明をしている。
下座初日の小夏に声を掛けるのは、このドラマの落語指導でおなじみの隅田川馬石師。満を持しての登場。

寄席に復帰した萬月は出来心(花色木綿)。寄席では「ほんの出来心で」のサゲまでやることは少ない。
拍手がパラパラでウケていないが、なにがダメなのかは落語部分が短すぎてわからない。
八雲師匠は、品川心中をさらっている。だが、次が出ない。
松田さんは古希らしい。八雲師匠はそれと比べて老けこみすぎな気がする。

与太ちゃんと呼ばれる助六は、錦の袈裟。今日は噛まねえと言っているが、噛む描写は今まで別になかった。
廓噺で、主役が与太郎という、落語の世界の総決算のような噺。

パイポパイポと寿限無を唱えながら信ちゃんが楽屋に入ってきて小夏に叱られているが、楽屋の師匠から許しを得ている。
アニメのときに柳家小ゑん師匠など、子供が楽屋に入ってくるなどあり得ないと苦言を発していた。そのあたりを受けてのものか、信ちゃんが勝手に入ってきたとちゃんと理由付けている。
こうした工夫において、アラが減っていく。いいことですね。

八雲師匠に楽屋で「お先ありがとうございました」と挨拶するのは柳亭左龍師。この師匠も落語指導で、クレジットに登場する。
八雲師匠は高座で品川心中。助六や萬月にはわからないが、松田さんだけが師匠の衰えに気づいている。

一家団欒を感激して眺める松田さん。やはり落語を元にできあがってくる疑似家族と、落語をキーに結合する本物の家族がテーマ。
中心にいる信ちゃんは落語の申し子なのだ。
そして、小夏の切断した鹿芝居の写真も再度つながる。

頭を洗いながらサイサイ節をうなる助六。そこに信ちゃんが入ってくる。
サイサイ節は落語の家族をつなぐ大事なアイテムである。状況によって、楽しくも悲しくも聞こえる歌。
家族が落語でつながっている中、高座でコロッと死にたい八雲師匠。

浅草雨竹ホールは、昔の場所から移転したのだそうだ。今ある場所に、浅草雨竹亭が建っていたのではないらしい。
先代助六が化けて出るのだが、それ以外にこの古い建物の役割、次週の伏線なのであろうか?
現実の浅草演芸ホールそのままである雨竹ホールに、不幸(予告編で火事が出ている)が生じないよう、予防線を張っているらしい。

いっぽう白無垢を着る小夏がサイサイ節をひと節うなるとみよ吉が出てくる。
幸不幸、人生の裏表のすべてがサイサイ節でつながっているのだ。

手の震える八雲師匠が、親子会をする浅草の楽屋でさらっているのはたちきり。
親子会の助六は出来心。どうでもいいが、客も「待ってたよ」っていうのは、出てきたときに言ってほしい。
八雲師匠はたちきり。このままの落語が高座で掛かっていたら、かなりいいデキだと思います。
絶妙のタイミングで三味線を入れる小夏。東京では数少ないハメものであって、下座は責任重大。
そして、一席終えて本当に倒れる八雲師匠。倒れた師匠、歩かせちゃダメだろうと思うが。
師匠が倒れている中、一席やる助六。なにを掛けたか描写はない。

続きます。

作成者: でっち定吉

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