黒門亭24(中・金原亭馬治「笠碁」)

仲入りは金原亭馬治師。
今年はトリの芝居を聴かせていただいた。たびたび聴きたい人。

今日のトリは隅田川馬石師匠でして。
馬石師匠、囲碁を習っていまして。女性の先生に。
女性だから通っているんでしょうか。
でも私も紹介していただいて通いました。
最初はその女性の先生に教わりましたが、二度目はおじいさんで、三度目は大変怖い先生で、女性は二度と出てきませんでした。
なんだ、あくび指南ですね。

というわけで、碁の噺から笠碁へ。
外はいい天気で、稽古のきっかけでもないとやらないんじゃないかと。
1月に聴いたばかりなのに、非常にガッカリ。
なのだが、これが絶品でした。
いや、絶品なのは知っている。単に噺のデキがどうこうでなく、同じ噺が非常に新鮮に聴こえてきたという、この感動。

同じ噺を続けて聴いたことで、馬治師の話術を改めて知る。
結局、1月の噺をほどよく忘れているから新鮮なのである。
馬治師の噺、別に弱々しいわけではない。しっかり足腰強い。
強いが、噺の表面に強いアクセントを残していかない。これが繰り返し聴ける理由の一つ。
まさにおはなし。

そんな記憶なので、昨日聴いた内容も、早速薄れかけている。
だが、続けて二度聴いて得た感動そのものは薄れない。

笠碁だってアクセントはいくらでもつけられる。やりかた次第。
昔の借金のくだりを膨らませるとか。
相模屋さん(笠被っていくほう)のおかみさんを猫ババアにするとか。
近江屋さん(招くほう)のお店でのパワハラを強化するとか。
そういう手法は用いない。

もしかすると、1月と違ったかもしれない点。
近江屋さん、碁番をパチパチやって笠を被った相模屋さんを招き入れる。
この際、「おい、ヘボ!」と呼びかけていなかった。
いろいろやり方はあるもんだ。

仲入り後、高座に膝隠しが置かれる。上方落語で使う見台はない。
座布団をふたつに折ったあいびきも。
林家時蔵師が登場。あぐらをかく。

久々だ。と思って調べたらなんと6年振り。
現在76歳の時蔵師、前回も十分お爺さんだったが、血色もよく、お元気な様子。
といっても、膝は悪い。先日痛めたんだそうだ。
師のブログには最近、膝のことばかり書いてある。

先の笠碁についても触れていた。
そういえばコロナ前に行った芸協らくごまつりで、時蔵師をお見掛けした。
桂歌助師の囲碁のブースで碁を打っていた。今日もいらっしゃるのではないかな。

こんなものを出してみました。普通はあいびきを出してやるんです。
黒門亭、どうせガラガラだからいいだろうと思ったら、満員で。
満員だと恥ずかしいですね。
鈴本で仲間にこれを見せたら、そりゃみっともないだろうと言われました。
これは、素人落語の人からお借りしたんです。素人落語、今は社会人落語って言うんですね、偉そうですね。
借りただけなんですけど私の紋まで入れてくれて。いつか返さなきゃいけませんが。
喬太郎さんが膝が悪くて釈台を出してます。先日釈台の作り方を教えてもらいました。

黒門亭も、コロナで客層が入れ替わりました。若い人が増えましたね。
以前の常連はみないなくなりました。これがうるさい人たちでね。
今日いらしてる60代の方はそんなことないですけど。

そんな具体的には語らなかったけども、以前の常連についての批判を芸人から聴いてちょっと驚く。
なにかあったんでしょうかね。
私も、コロナ前の黒門亭における、我がもの顔の常連についてはいいイメージをまるで持っていなかったので、芸人が苦言を呈するのもわかる気はする。
ただ、具体的な苦言の矛先まではわからない。
最近はそんなにここに来てないが、居心地はよくなった気がする。
現在ひとつだけいただけないのが、サゲを言い終わった後の拍手が早すぎること。サゲに被ってはいないが、早すぎる。
他の客と競って手を叩かない限りは、こうはならない。

時蔵師、年取ると体がいろいろいたんできますと、今度は目の話。
新聞の字なんて見づらいですね。以前より活字が大きくなったんですけど。
目の噺といえば、犬の目。
これが軽い絶品でした。続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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