隅田川馬石「臆病源兵衛」@江戸東京博物館(上)

7月は結構落語に出かけた。数えたら6回。
自分の料金だけで、計8,700円。
私にしては多いし、高い。ちょっと気を付けよう。

8月も行きたい席は目白押し。
池袋の8月上席は、例年だと小三治主任であったが今年から心機一転。
落語協会の誇る豪華なメンバーの日替わり主任である。
喬太郎、一之輔、白鳥、彦いち、白酒。
行きたいなあ。
東京の寄席四場自体ご無沙汰気味だ。4月に池袋で喬太郎師を聴いて以来。
よく考えたらそんなに無沙汰でもないか。

今月は「小ゑんハンダ付け」の予約も入れている。
ここはグッとこらえ、仕事が途切れた金曜日、タダの落語に出かけることにする。
江戸東京博物館のひまわり寄席。
この日は、隅田川馬石師の「臆病源兵衛」長講一席。珍しいスタイルでの、珍しい噺。
ブログ始めて以降で、先月初めて馬石師を聴いた。もともと好きな師匠。2か月連続で遭遇だ。
両国へは、円楽党を聴きにちょいちょい出向くが、江戸東京博物館は実にご無沙汰。
息子がこの博物館に来たがっていたというのもあって。
落語はタダだが、博物館の入場料は600円。子供は都内在住の中学生なのでタダ。
金曜はナイトミュージアム実施中。行ってみたら、5時から入場料480円だった。なおよい。

常設展を見て回る。ここ、初めてだったかもしれない。
いきなり、再現された日本橋から始まる展示の数は、深川江戸資料館よりはるかに多い。
落語が始まるまでの1時間半では、とても観尽くせない。
実際に天秤棒をかついで、唐茄子屋政談の若旦那ごっこ。そば屋台の前で時そばごっこなどしてみたりする。

ナイトミュージアムは午後9時までやっている。息子も観たりなさそうだったので、落語の後でまた続けてもいいのだが、あえて帰ることにした。
料金が安いのもわかったので、来週にでもまた来ることにしたのである。
なにしろ夏の間、毎週金曜日に落語をやっている。
次の週は、柳家小せん師の「夢八」一席がある。この珍品もぜひ聴きたかったのだが、さすがに両方というわけにはいかないだろうから、今回とりあえず早いほうを聴きにきた次第。
チャンス復活。
仮に小せん師を聴きにこれなかったとしても、まだチャンスあり。その次、金馬を襲名する金時師の「お札はがし」とか、まだまだ続く。

毎週金曜の落語は「怪談」という触れ込み。2週間前には、私も先月巣鴨で聴いた初音家左橋師の「豊志賀の死」なんてやっていた。
でも臆病源兵衛、怪談でもなんでもないよなあ。
館内のアナウンスでも、今日の催し物「怪談」って言ってた。間違えて来た人もいそうだ。

落語は原則、常設展示室内でおこなわれるのだが、この日だけ1階の小ホール。馬石師が人気だからなのか?
階段状の立派なホールである。
満員。
ネタ出し臆病源兵衛は、師匠・五街道雲助から来ているのだろう。
珍しめの噺だが、1年前、黒門亭で金原亭馬久さんのを聴いた。
そして馬石師のこれ、大爆笑の一席でありました。

夏休みなので、客席に小学生の坊ちゃん嬢ちゃんが多数いた。彼らが大笑いしていて、私もなんだか嬉しかった。
馬石師がストレートに演じる古典落語、小学生にドンピシャだ。
「この上なく臆病だが、この上なくスケベ」な源兵衛のキャラが、子供にとってもとても響くらしい。

落語って、噺に迫りちゃんと演じると、万人におかしいものなんだと再認識。

メクリの字、誰が書いたのだろう。それだけ気になる。
ちゃんといた寄席文字になってないけど?
江戸東京博物館なんだから、そこはしっかりして欲しいな。

続きます。

作成者: でっち定吉

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