神田連雀亭ワンコイン寄席58(上・桂笹丸「十徳」るるぶとゼブラ入り)

無料の落語会にご無沙汰しているが、木曜日にあった。
東京駅KITTE地下の東京シティアイ落語会で、演者は桂竹千代さん。
予定していたそちらに行かなかったもので、翌日どこかに行きたくなった。
神田連雀亭を確かめたらいい顔付けである。3人所属団体がバラバラなのもいい。
先週も来たばっかりだが。ここに来る頻度は、本当にランダムで決まる顔付け次第。

十徳笹丸
権助提灯志のぽん
肝つぶしぐんま

つ離れしている。
大酒飲んで寝たときはよくあるのだが、前日はさほど飲んでないのに早朝に目が覚めてしまった。
仕事の大失敗をした夢で目が覚めたのである。
目を覚まして落ち着いてみると、時代的には四半世紀前の話なのだけど。
仕方ないので起きて仕事を始め、ついでに昨日のブログ書き上げて、寝不足。
お腹いっぱいにしたら間違いなく寝てしまうなと思い、空腹のまま連雀亭に出向き、開演前に寝る。
これで無事3席聴けた。

立川志のぽんさんも、巣鴨で聴こうかと思っていたのでちょうどいい。
この人が前説。
諸注意のときに、お飲み物はあらかじめフタを開けておいてくださいと。
サゲの直前でシュポッなんて音がすると最悪ですから。
確かにそうだ。

竹千代さんの弟弟子、桂笹丸さんは昨夏平井で2席聴いて以来。
いい声のこの人、以前は土屋礼央だと思っていたが、今日は麒麟川島に聴こえた。
ナレーターを探している方には強くおすすめします。
昭島の観光大使をしているので地元小学校に呼ばれた話。
新潟・上越市で落語初めての人の前で30分やったがピクリともしなかった話。
「東北の人はあまり笑わない」と言う振り返りだけ気になった。東北電力エリアではあるけど。
そして方言の話。前座時代富山で夜飲んでいて、地元のおじさんと意気投合。
おじさんが「今晩だいてやっからよお。かわいいし」。
特殊な方言のわからない笹丸さん、慌てて逃げ出す。
マクラ楽しいのだが、ネタ自体凝ってるわりに爆笑まではいかないなと思っていた。
だが最後のネタは大爆笑でした。

文治師匠に狙われたことを思い出したとのこと。
文治師匠に狙われたって、芸協の若手はみな自慢げに語るね。

方言から、「したり」という言葉が辞書にあったと振る。
珍しいところから入るが、したりなんてサゲは十徳しかない。
芸協の若手が十徳をやるというのだから、きっと遊雀型だろうと思ったら、全然違う。
隠居が着ていた珍しい着物、名前は教えてもらったが、いわれは隠居も知らない。
ここから隠居に考えてもらい、両国橋と一石橋に進む流れが日本一スムーズだと思った。
もともと不自然な話である。ウソの十徳のいわれと、本物の両国橋、一石橋を同じテンションで教わるのだから。
だが笹丸さんの隠居は、なんとか「衣のごとく、羽織のごとく」合わせて十徳のいわれをひねり出し、元のアイディアはこんなんだと両国橋に進むのだ。

ためになる話を聞いて嬉しい八っつぁん。そういえば隠居、「るるぶ」のわけ知ってますか。
るるぶ? この噺、時代背景はいったいいつなんだ。まあ聞いてみようじゃないか。
るるぶともうひとつ、ボールペンの「ゼブラ」のいわれも知ってる八っつぁん。
隠居が「そっちのほうが面白いじゃないか。ごとくごとくなんて恥ずかしい」と脱帽している。

笹丸さんからるるぶとゼブラ、聞いて私もしっかり覚えたが、なんとなく気が引けるので書かない。
気になる方はご自分で調べてください。「るるぶ いわれ」で調べればすぐ出てきます。
隠居のメタ的なセリフも極めてほどがよく、世界観までぶっ壊れたりはしない。

そして仲間のもとに戻ってせっかく仕入れた知識をみなに伝えようとする八っつぁん。
誰も興味を持ってくれない。それより吉原行かねえか。
行くけど聞けと頑張る八っつぁん。

そしてびっくりしたのだが、両国橋と一石橋の再現はしないのである! 仲間が先に答えちゃうわけでもない。
これは最初からやらないつもりなのだ。やらないけど仕込んでおくという。
つる同様に、ウソの十徳だけで最初は乗り切るつもりだったのかもしれないな。でも、これだと薄っぺらくなる。
考えて、るるぶとゼブラを入れるために橋のいわれも入れたのだろう。
いや、すばらしい。古典落語って意外と自由。

ようだようだで、やだ。
みえてみてえで、むてえ。むてえってなんだと自分にツッコむ八っつぁん。
ここまで来ると、にたりにたりでこれはしたり、とサゲに進むことがわかる。
勢いよくフィニッシュ。

続きます。
なぜか連雀亭に来ると書くことがたっぷりあるね。今日はマクラ端折ったのにもかかわらず。

作成者: でっち定吉

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