吉原馬雀さんの元師匠を訴えた裁判は、控訴審に続いていたのだった。
ご本人のブログには若干触れられていたのだが、私はそもそも控訴の事実を知らなかった。
このたび控訴人(元師匠)の取り下げにより完全決着したとのことである。
おめでとうございます。
控訴審を知らないのは、世間で報道されていないから。
馬雀さんが情報をあえて抑えていたためだそうで。
情報を出さなければ、こんな重大な事件でも世間には報道されないのだ。そんなもんといえばそんなもんだ。
しかし、そもそも元師匠が控訴するなんて想像もしなかったが。
元師匠のマインドは、兵庫県知事に極めて近いもののようだ。
悪いことをしたとかけらも思ってもいない。
おかしいのは弟子なんかを勝たせる裁判であり、世間だと。
師匠が弟子を煮るなり焼くなりしようが法律問題ではありえないのだと。
控訴なんて世間からしたら恥の上塗りであるが、恥と思ってなければ仕方ない。
こんな動画を出すとなると、世間には眉をひそめる人もいそうだ。必ずしも元師匠派でない人でも。
だがその内容は事実の報告であり、元師匠への必要以上の揶揄ではない。
揶揄に見えるのは、元師匠の行動がいちいち愚かしいからである。
元師匠夫人と、被告の弟弟子との証人出廷申請が却下されたという。
理由は、元弟子への単なる不満で争点とはまるで関係なかったから。
そして弟弟子(歌実)の陳述書は、サインはあるが本人書いてないだろうと。それまでの書面の使いまわしであり。
ここが最大の笑いどころ。
パワハラ師匠は、いまだに師匠としての権力を行使して、弟子に陳述させているのである。
まあ、残った弟子がいやいやそうしてるとは言わないけども。
しかし、自分の名前でもって兄弟子を誹謗しようということだ。どんなマインドでサインしたのであろうか。
「弁護士に、ただ署名するよう求められた」なんてことでは同情できない。元警察官なんだから。
そしてすでに結審し、判決を待っているというのに新たな準備書面を出してくる元師匠側。
最終的には、師弟関係とは法律で判断するようなもんじゃないんだとの主張。すべてを師匠にゆだねるものなんだと。
こんな書面出してもまるで無意味なのだが、ただ言いたかったのだろう。
まだまだ恐ろしい落語界。
トンデモ元師匠も8月下席に新宿でいまだにトリ取ってるもんな。
元師匠も、オレの師弟関係は間違ってないんだと主張するなら、ここに来てパワハラ研修とか始めてる協会は辞めたらどうでしょう。
で、「落語三遊協会」を作ると。歴史は繰り返す。
少なくとも歌る多師匠、鬼丸師匠は連れていきましょう。あとはいいけど。
歌実さんが今後出世すれば師匠の面目も立つかもしれないが、どうかな。
You Tubeのコメント欄には馬雀さんの下げられた香盤のいきさつも書かれている。
なんと、いったん二ツ目のいちばん下に置くことが理事会で決まっていたのだという。
それを覆した(権力行使ではなく、対話と思われる)のが前会長(市馬)だったのだそうで。
なるほど、初期対応を誤った市馬師ではあるが、最後に働いたのだ。馬雀さんも感謝しているという。
人数次第であるとはいえ、結果的に真打昇進は半年の遅れで済んだのだ。
いっぽうで、現会長さん喬、常任理事たい平、喬太郎、当時の常任理事扇遊等の理事たちは、みないったん馬雀さんの二ツ目香盤最下位に賛同したのだということになる。
ちょっとイヤな気持ち。
まあ、ペナルティ(そもそも課すべきかという議論はさておき)としていったん下げるという意図だったのかもしれないけど。
今でも、「圓歌さんはダメだけど、弟子もやり方がよくない」と思っている古株はたくさんいそう。
師弟関係にいい悪いはあっても、師弟関係を覆すんならまず辞めてくれという意見は強そう。辞めてからまた復活を考えるのはともかくとして。
今回の弟子だって、そういう風土を内面化していたと私は思う。ただ、こんなもの守るべき師弟関係ではないというところまで追い込んだのは師匠のほうである。
しかし、私が最も強く思っていることはひとつ。紛争そのものに対してよりも。
今年3度馬雀さんを聴き、新作落語界の貴重な才能が潰れなくてよかった。それを痛感している。
なんでも談春師の元弟子・ナツノカモが協力しているとのことで。この人も師弟関係に思うところは多々あるのでしょう。
新作落語は極めて盛んであるが、ちょっと角度の違う馬雀新作を次々世に出していただきたい。
はじめまして、毎回楽しく拝見させて頂いております。
「緩い一門のほうが優秀な弟子が育つ」論者です。
先日池袋で初めて蛙朝さんを拝聴し、鯉朝師匠はとんでもないモンスターを生み出したかも知れないと戦慄を覚えましたが、その後登場の鯉朝師匠も十分モンスターでした・・・
脈絡のない文になってしまいましたが、馬雀さんの今後のご活躍と真打披露が楽しみです。
いらっしゃいませ。
緩い一門はすばらしいですね。
世間は、緩い一門から優秀な噺家が出てくるとつまらないのでしょうかね?
蛙朝さん情報ありがとうございます。
ポンコツ前座がおもしろ二ツ目に育っていくのを見るのは楽しみですね。
元師匠こそが干されるとばかり思ってましたがそうでもないようでやるせない限りです。
いらっしゃいませ。
確かに元師匠、なかなか干されませんね。NHKその他には当面呼ばれてない気はしますけども。
私はかつて好きだったその芸、もう聴く気にはなりませんけども。
やはり落語協会の新作派が、馬雀さんをどこまで仲間として扱ってくれるかだと思うのですが。
来春の池袋に名前がなかったらガッカリです。
お邪魔します。
柳亭燕路師が4月の繁昌亭の「上方江戸噺の会~林家小染を偲ぶ会~」のマクラで、先代小染師は厳しい師匠だったという話のあとに、「東京では師匠を訴える弟子なんてもんがいましてね~」と発言。事情を知らない大阪の客は、燕路師がわざわざいうほどなんだからよほどとんでもない弟子なんだろうという空気になっていました。自分も小三治師の修行にも耐えたとでも言いたいのかも知れませんが、東京の師匠連はまだまだこんな感覚なのかもしれません。
情報ありがとうございます。
燕路師ですか。
人気のこみち師ひとり育てた程度でなんですかね。
私はこちらに書いた通り、この師匠にはあまり好感持っておりません。
https://detchisadakichi.com/?p=21256