七代目圓楽襲名披露はよみうりホールだけ? そして2月とは早い

七代目三遊亭圓楽襲名会見を観た。
9月30日は先代円楽の命日。

王楽師が圓楽に選ばれたのは、先代(六代目)の遺言による、夫人の指名だとのこと。
そうなると、好楽師が先代の惣領弟子・楽生が適任と言ったのは、独断、先走りだったということになる。ご本人もそんな反省をチラと語っていた。
かませ犬になった楽生師には気の毒だが、襲名実施の現実から見たとき、それでよかったんじゃないですか。
以前も書いたが、円楽党唯一のスポークスマン好楽師は、最近とみに先走り気味である。だが、そのおかげでいろいろ動き出すのだと思う。
たとえば先代夫人が、七回忌が済んだのち後継者に七代目を襲名させたいと思っていた、そうだとしても不思議はないわけだ。
好楽師のおかげで、三回忌を終える今、実現したのかもしれない。
だからこの後、圓生も圓喬も、動き出す、かもしれない。
動画で圓生に触れたものはひとつも見なかったが、好楽師が語ったことを記事化してる媒体はあった。
志ん生志ん朝についても発言しているようだが、これは好楽師が動かすのはなかなか困難だろうけど。

好楽師は息子の圓楽襲名には反対だったという。
この師匠はこういう、言っても言わなくてもどうというところでない部分でウソをつく人ではないと思っている。
反対だったから反対だったと、そう言ったのだろう。
無理に六代目の弟子を飛ばさなくても、好楽でよかったら継げるからってなとこか。
いらねえよby息子。
ところで父が反対したにせよ、息子のほうに師匠(五代目)との濃密な師弟関係があったことは好楽師はじめさまざまな円楽党の噺家から語られている。
当人には当人の感慨があるだろう。

王楽師、先代も息子さんがいるのに私に引き継いでいただけてありがたいと語っていた。
いや、息子は偽落語家ですから。最初から継ぐなんてありえないわけで。
落語しないで真打昇進を認めた父も、さすがにそんな道筋は引かない。
仮にそんなこと言い出してたら、それはそれで面白くはあっただろうが。

ちなみに名前を世襲することにやたら反発する人がいるものだ。
今回も「好楽の息子」などの付属情報が付いてるので、勘違いしている人もいるようである。
でも先代の弟弟子であり先先代の直弟子であって、別に世襲ではない。
世襲ではないが、「先代の夫人が指名した」ことについては改めて認識しておくといい。
故人の遺言というものはあっても、この遺言は相続におけるものとはまるで意味が違って、遺志しか表していない。
相続人のひとりである先代の夫人が指名しているという点は、襲名にあたって重要だ。結局、夫人と一太郎が「圓楽」の名前を有しているからこそである。
つまり権利者が噺家であった場合、極めて名前を継ぎやすいわけで、結果世襲になるのは本質的に当たり前というところがある。
もっとも名前を持っていながら席亭が披露目をしてくれる可能性がなく、事実上襲名できない二世もいるのだけど。
圓菊は短縮バージョン披露で乗り切った。

今日のタイトル回収。
ちょっと気になったのは、襲名披露は2月のよみうりホールだけ?
これはえらく手回しがいい。随分前に決まっていたわけだ。
こんなに早く披露目をやるとは思わなかった。
寄席ではやらないの? いや、両国と亀戸でやることはわかってるが。
2025年8月の国立芸協ではやると思う。国立演芸場じゃないから5日間だけど。
寄席四場(鈴本は除くので寄席三場プラス広小路亭あたり)ではやらないの?ということですが。
まあでも王楽師、先代と違って別に芸協の客員でもないしな。
落語協会というのはハードル高いにしても、芸協の末広亭ぐらいではやれないものか?

冷静に考えると、落語協会の寄席では、襲名披露はかなり準備してやるものではある。
なにしろ真打披露がやたら多いもので、真打の披露目を飛ばして襲名をやるイメージではある。
2025年は春と秋に真打披露があるわけで、もとより無理な話。
そもそもなんでこんなに襲名時期が早いんだろ? 予告自体はそりゃ早いに越したことはないにせよ。

いっぽう芸協さんは2025年秋は披露目がないのだから、できないことはない。
でも、2月と9月じゃ、ダレてしまう。ダレたっていいじゃねえかという意見はさておき。
まあ、私は両国か亀戸でも行こう。落語協会と芸術協会の春の真打披露の終わった頃合いであると思います。

笑点についても質問が飛んでいた。結局最後は笑点になるんだなと。いいけど。
笑点メンバー予想というものは、好きな人は先まで見据えている。
好楽師が勇退するときは、王楽師の出番になるという道筋はできたのかもしれない。
でも、今は好楽師下ろせないと思うけど。木久扇師匠が抜けた今、小遊三師と並び好楽師は神々しいまでの面白さを誇っているのだから。
まあ、そんなの気にしても仕方ない。

ちなみに、王楽師は普通に大喜利こなすと思う。
絶妙な毒の入れ具合を見せる。毒は入れても、斬った相手を不快にしないという。
こういう人は貴重である。

作成者: でっち定吉

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