野方グリーンホール寄席の柳家花いち(上)

《グリーンホール寄席:柳家花いち》
荒茶
オペトメ
(仲入り)
お菊の皿

今月は控えめに、と言っておきながら有料の落語会にも行ってきてしまった。
できれば池袋に行きたいけども、まる一日休みにして行くほど暇でもない。1時間半の会へ。
東京かわら版で前から気になっていた、野方のセレモニーホール「グリーンホール」でやっているグリーンホール寄席。
こういう会は、葬儀のない友引の日の開催が多いのだが、この日は先勝。
翌日の友引には、春風亭一蔵さんの会がある。
この日は、ひそかに追いかけている柳家花いちさんの会。古典と新作、二刀流。
なかなか人気の二ツ目さんで、東京かわら版を見るとかなり会をやっている。だが、そうそう行けるわけでもなく。
今年は1月下席、池袋で聴いて以来。

しかし私、世間的には少々マイナーな噺家ばかり、このところ続けて聴いている。
私にとっては大好きな人ばかりで、満足が続いているのだからいいけど。
池袋で三遊亭白鳥師匠を聴いたほうが、ブログのアクセスもきっと増えるのだろうが・・・
でも、演者がブレイクしているかどうかと満足度とは、必ずしも比例しないと思う。
ちなみにこの後は、金曜日に柳家小せん師を聴きにいく予定。

グリーンホールは環七沿い。カーシェアでたまに環七を走るのだが、見た覚えはない。
西武新宿線野方駅から近いようだが、交通費の関係で高円寺から歩くビンボー人。非常に蒸す一日で、結構しんどい。
環七沿いに落語会の案内が出ていた。パネルに「満員御礼」って書いてあって、ちょっとドキッとする。
実際に満員になったとき表示する言葉だと思います。
1階で千円払う。お客はお婆ちゃんばかり。
会場は3階。2階でお茶が出ますということだが、お婆ちゃんに混ざって茶をすする根性はないので、会場で開演を待つ。
ほぼ、近所の婆さんばかりで満員になったので、少々驚いた。
グリーンホールというだけあって、全体的に緑で統一したホールである。

落語の盛んな中野にも近いので、いい客かと思いきや、やたら声を発する人が多い。
マクラで演者が喋っているのに対し、いちいちうんうんと反応する程度は別にいい。だが、演者が本編を語っているのに、いちばん後ろの婆さん、でかい声で私語しっぱなし。
うーん。
あと、これは別に文句ではないのだが、お茶が出たりするおかげで婆さんたちみな賑やかで、仲入りの際がやたらうるさかった。
それらの点が少々しんどい会なので、遠くから再訪することはたぶんないと思う。
だが、そんな中でお婆ちゃんをがっちりつかんだ花いちさん、久々に聴いたがとてもよかった。

暑い中みなさんようこそと花いちさん。私は別に暑くないのだが、演者と聴衆とでは頭の位置が違うので、高座は暑いのだろう。
花緑の弟子の花いちですと自己紹介。静岡の出身ですが、今日甲子園負けてしまいまして凹んでますと。
高校では、部員3人だけの駅伝部で、中学では野球部だったそうな。
兄弟子の台所おさん師のネタ。当時鬼〆だったアニさんの部屋で、パンツ一丁で「百面相」の稽古をつけてもらったという。
池袋で聴いた楽しいマクラ。

一席目は軽くやりますといって地噺の「荒茶」へ。
なんだかすっとぼけていて楽しい。この人ならではの味。
加藤清正が、茶に浸してしまったヒゲを手でしごいていたりなど、ウケどころがたっぷりある噺だが、そういう部分を強調して笑いを取るのではない。
マクラから続く、楽しい世界観をしっかり出しているのである。
地噺ならではの地のギャグは忘れてしまった。脈絡ないですからね。

続きます。

作成者: でっち定吉

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