15日昼は、文京シビックセンターの雲助・三三二人会がまだあるようなので予約しかけたが、もうちょっと気楽な会にする。
巣鴨スタジオフォーの巣ごもり寄席。
2023年末以来。2024年はなぜかこの会一度も来なかった。
二ツ目を聴く場所も多いからであろうか。
大名花屋 | 鯉花 |
粗忽長屋 | 青森 |
厩火事 | 吉緑 |
1席めの途中でつ離れ。
神田鯉花さんは初めて。
昨年神田連雀亭の新メンバーになった。そして私のお気に入りスポットになった墨亭によく出ている女流講談師。
メガネを掛けて登場し、本編で外す萬橘方式。
なぜか芸協で流行ってる気がするが、女性では初めて。
今日はこのあと青森アニさん、吉緑アニさんが出ます。
お二人とお会いするのは二度目なんですけど、楽屋で妙に話が弾みまして。
本番開始前には二番太鼓入れることになってるんですけど、気がついたら2分前になってまして。
(鳴らなかった)
バタバタして出てきました。
商家・花屋の娘お花は絶世の美女。だが嫁に行かなくて両親は困っている。
縁談をどんどん進め、さすがのお花も断れなくなってしまう。
花屋には飯炊きの伝助という若い働き者がいる。
旅の途中倒れていたのを主人に拾われたのだ。
なぜか縁談の相手について、父親のいる前で伝助に訊くお花。
あれは女癖が悪く、あんまりええもんじゃねえと伝助。
伝助が猫のタマと戯れている描写が長い。照れもせず、ニャーニャー、タマかわいいねと鯉花さん。
縁談の進む中、花屋から火が出る。
伝助がお花を火の中から担ぎ出すが、お花の顔の半分は火傷に覆われ、縁談も亡くなる。
住むところも失う中、伝助の八面六臂の働きで、当面の暮らし向きを何とかする花屋。
今度は花屋の主人の側から伝助に、婿にならないかと。
伝助は、隠していた自分の出自に向き合うのだった。
縁談の際は反抗ばかりしてた娘が、父の仰せのままにともじもじしてるのが甲府いっぽい。
火の中から出てくる際、伝助がリュウスケになってたように思うが。
あと、ずっと「源助」だとヒアリングしてた。本当にそう変えたのかもしれないけど。
飯炊きといえば権助だから、源助のほうが耳に入りやすい。
なかなか不思議な芸。
マクラは短めだが、途中で脱線する。
京都の大学に受かって愛媛をあとにする18の時分に、なぜか婆ちゃんが見合い写真を持ってきたそうで。
落語の地噺のように、脱線も渾然一体となっている。
私がベテランの女流講談師に時として感じる、「そろそろ笑いも入れてみました」みたいな不自然なムードがないのがいい。
冒頭は、声を張り上げないんだなと思ったが、それはそれで。
なかなか面白い人である。また聴いてみたい。
鯉花さんは25分。
続いて金髪短髪の三遊亭青森さん。
長州力ってカッコイイと思うんですよ(なんだいきなり)。
いやオレ、プロレスに詳しいわけじゃないんですよ。でも、名言集みたいな企画で、聞くことがあるわけですね。
本当に詳しくなくてよく知らないんですが、2004年のことです。
2002年に猪木と喧嘩して新日本プロレスを去った長州が、それ以来初めて新日のリングに上がったんですね。
客は反撥するかと思いきや、大歓迎です。
長州ひとりがリングに立って、周りを取り囲む若手レスラーのうちただひとり、前田選手がリングに上がってきました。
長州が、「よく上がってきたな前田。一つ教えてやろう。久々のオレがこんなに歓迎されてるのは誰の責任だ」
ちなみに全力モノマネ(よく似てる)。
もみ合ってるうちに、「長州はもう一つ教えてやろう」。ここで他の若手が長州を止めに入ってきた。
「手遅れだよ」
何が面白いかよくわからないと思います。すみません。
でも高座で語られた内容は爆笑で。こんなのも、立派な話術。
青森さんに責任があるとすれば、プロレスに詳しいわけではないので、背景をきちんと説明できていないところでしょう。
それをプロレス音痴の客が聴いてるのだからますますわけわからない。
持ち時間というものがあるんですけど、今日あんまり喋ることがなくて、と左の太ももに扇子を突き刺しながら語る。
じゃ、長い噺すればいいじゃないかと思われるかもしれません。それも嫌なんです。
でも今いきなり下りても吉緑アニさんに迷惑掛けますし。
なんとか話題をひねり出す。
これもちゃんと知ってるわけじゃないんですけど。ちゃんと知らない話ばかりですみません。
人間の遺伝子って、99.9%まで同じらしいですよ。
チンパンジーですら、99%は一緒らしいです。
オレと鯉花ちゃんと99.9%同じとは信じられないですけど。
さらにいうなら、鯉花ちゃんの師匠、松鯉先生とだって99.9%同じわけですよ。
俺の芸も、99.9%は人間国宝なんですね。
ちなみにバナナですら50%人間と、遺伝子一緒らしいですよ、
だから、半分バナナでできた男が、残り半分ほぼ人間国宝、こういう芸ですよ。
ここから、なんと粗忽長屋に入っていった。
「新作派の古典はすごい」なんて生易しいものじゃなかった。
もしかするとこのぶっ壊れたものが本来の粗忽長屋なのではないかとそんな不思議な気持ちになったのです。
本編に続きます。