|
今日日曜日は、「らんまんラジオ寄席」の公開録音が当たったので楽しみにしていた。
急用で行けない。実に残念。
収録には昨年参加しているので、物珍しさはすでにない。
そういうことより、タダで落語が聴けるのが嬉しいのだけど。
悔しいので当選ハガキをアップ。
KITTEグランシェ落語会の続きです。
金坊が嘘講釈で親父を騙して逃げていくのを、おっかあは陰で聴いて笑っている。
ということは、ここにはサゲがない。その先があるのだ。
たまにしか聴かない通しの真田小僧だ。そのままスッと登場人物が入れ替わってスムーズに進む。
講釈・真田三代記のダレ場が心地いい。
戻ってきた金坊は、やはり企んでいる奴。だが、親父の講釈を一度で覚えた金坊に、まんざらでもない親父。
だからまた騙されるのだが。
最後まで気持ちのいい噺であった。
子供は心配なものだと、座ったまま次の噺へ。子供といっても、今度は19歳の若旦那。
今年ずいぶんと聴いている明烏。
いろいろ聴く中で思ったのだが、源兵衛と太助を完全に描き分けることで、この噺もっと楽しくなるのではないかと。
と思ったら、鯉丸さんのがまさにこれ。明確に、描き分けるというテーマを持っているらしい。
混ざってしまったらよくないのか、別にそうは言わない。最終的にはどっちも同じ役割なわけで。
だが鯉丸さん、ときどきどちらが源兵衛か、さりげなくヒントを振って描き分けを続けるのである。
明確に二人のキャラが分かれていて面白い。
太助はとにかくとんがっているキャラで口数は少ない。源兵衛は、世話焼きで天然である。
そして、吉原にいることに気づいた若旦那に対して、「帰んな帰んな」と伝えるのは、太助のほう。
普通は逆な気がする。吉原の法だといって大門の番人の嘘をつくのが源兵衛。その謎がわからない、ボケキャラが太助だろう、たぶん。
鯉丸さんは、噺を引っ張ってきた源兵衛をボケに据える。これが正解とは言わないが、冒頭からとんがっている太助のキャラを徹底するには、このほうがスムーズだ。
掘り下げるねえ。
少々残念なことに、翌朝の場面からは、描き分けがうまくいっていなくてわからなくなってしまった。
若旦那の様子をおばさんから聴いて知っているのは源兵衛のほう。
そして、若旦那のもて振りに怒って階段から落っこちる(というギャグが入っていた)のが太助だということはわかるのだけど。途中が。
でも、ここまでほぼ完璧に描き分けた鯉丸さん見事。
そして、描き分ければ楽しくなるという、私の仮説、どうやら鯉丸さんが立証してくれたと思っている。
若旦那は、多くの人が子供として描く。でも、うっかりすると単に精神的に幼いキャラにしてしまう。
「精神的に幼いキャラが童貞を奪われる噺」なんて嫌だ。ここが難しい。
鯉丸さんの場合は、若旦那を噺の遠景、記号として描く。これはすごくいいなと思った。ハマった。
若旦那の心情にはまったく迫らないのである。若旦那はあくまでも、源兵衛の目を通して描かれるのだ。
そういえば、「そもそも二宮金次郎という人は」なんてクスグリは入れていない。記号に主張をさせても邪魔なだけだ。
というわけで、今回の1時間2席で、すっかり鯉丸さんが好きになりました。
テンションから噺の演出まで、ことごとく考え抜いているらしい。師匠・鯉昇も彷彿とさせるではないか。
|