神田連雀亭ワンコイン寄席26(上・柳家小もん「三人旅」)

馬久  / 元犬
小もん / 三人旅(びっこ馬)
らっ好 / 弥次郎

まとまった仕事が決まったが当座の手は空いているという、出かけるには最適の状況。雨だけど。
寄席に行こうかとも思った。池袋では、柳家わさびさんの真打披露もやっている。

寄席に戻ろうと決意し、鈴本(喬太郎)と国立(雲助)、定席に続けて行ってきた10月である。
だが、先週は二ツ目の堀之内寄席に出向いた。やっぱり二ツ目さんの落語も外せない。
というわけで、悩んだ末に二ツ目の席をハシゴすることにした。
神田連雀亭から、らくごカフェ。
まあ、どちらも500円というのが誘因として最も大きいのですが。ちなみに堀之内寄席も500円。

池袋は通常の下席とは違って2,800円。割引なし。
他には、両国の江戸東京博物館で三遊亭遊馬師の会なども考えた。こちらは2,000円。
上野広小路亭のしのばず寄席も考えた。昼夜居続け可能。Web上の割引券で1,500円。
昼席主任は昔昔亭桃太郎師。
ブログのアクセスは、披露目に行ったほうが増えるだろうなあ。

まず連雀亭のワンコイン寄席へ。雨の日であり、つ離れしなかった。
だが、私の好きな人たち。落語協会二人と円楽党。

こんな人数の席で、ブログを書いていては特定される。
というか、もうとっくに演者にバレてると思う。あいつが丁稚定吉だよと。
それが寄席に戻ろうと思っている理由のひとつでもあるのだが。
「お前ら、しっかりやれ。つまんないネタ掛けたらこの頑固オヤジがブログで批判してやるぞ」という人間じゃないんですよ、私は。
ただ気持ちよくなりたいだけなんです。
と言いわけしつつ。

前説は柳家小もんさんが出てきて、楽しそうに諸注意。
落語と同じく、ギャグを入れずに楽しさを伝えるテクニックを駆使。

金原亭馬久「元犬」

金原亭馬久さんは調べたら1年振りらしい。ここ連雀亭のトリで見事な「近日息子」を聴いた。
一般社団法人日本ペットフード協会の調べによると、ペットの数、猫が犬を抜いたそうですと。
そういう一般社団法人があるんですね。私たち落語協会も一般社団法人です。

元犬らしい。
前座噺の元犬、いっとき飽きていた噺なのだが、やりようによって蘇る演目でもある。
最近いいのを聴いているので、嫌ではなくなった。
なのだが、馬久さんの元犬、特に新鮮な部分がなかった。お、そう来るかというのが。
工夫していないわけではない。とにかく犬が人間になったこの世界を、丁寧にスムーズに描き出していていいのだけど。
でもちょっと普通でした。
まあ、開口一番だから。

柳家小もん「三人旅」

小もんさんのマクラはなんだったか。このあとハシゴしたので忘れてしまった。
一切メモ取らないから、忘れたら仕方ない。
場内を隅々まで見回しながらマクラを喋っていた記憶はあるけど。

本編は、2か月前にここで聴いたばかりの「三人旅」であった。
少々落胆。
だがこれが、前回も今回も、すばらしく楽しかったのである。
前回なかった部分は、箱根山についてのクスグリ。「山ってのは芯(岩)が入ってんのか」なんて部分。これだけ。
ストーリーに重要性のない噺は、短い期間の繰り返しにも十分耐えうると再認識。
もちろん、こののんびりした旅のスケッチを楽しく語れる、小もんさんの腕あってのことだけど。
それにしても、ギャグを付け加えたりする誘惑には一切駆られないのだな、この人は。
新たなクスグリを加えることで、一応の評価はされるという風潮もあると思うのだが。ウケなくても。
そういう俗世間から離れて、師匠(小里ん師)の道を行く小もんさん、カッコいいぜ。
そしてそれは、大師匠(五代目小さん)の道でもあるのだ。

トリのらっ好さんに続きます

 

作成者: でっち定吉

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