2019NHK新人落語大賞

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毎年楽しみにしているNHK新人落語大賞。当ブログでも4年目となります。
令和元年の今年は、事前の情報ゼロで番組を視ることができてありがたい。
ただ事前の情報を持っていないということは、大阪の人が受賞したのではないかという推測にもつながったりなんかして。実際そうでした。

東京3人、大阪3人。男4人に女2人。別に女流枠はないけど。
3年連続で、芸術協会の人がいないのは気になる。成金に続くカデンツァメンバーは討ち死にしたのか。
今年は、本番でしくじった人がひとりもいなくて驚いた。
ちなみに、以下私のつけた順位。結果を知る前に書いている。
審査員は絶対評価だが、私は相対評価である。

  1. 露の紫  「あいかぎの変」
  2. 古今亭志ん吉「親子酒」
  3. 桂華紋  「ふぐ鍋」
  4. 立川こはる「黄金の大黒」
  5. 笑福亭笑利「看板のピン」
  6. 柳亭市弥 「湯屋番」

市弥さんを最下位にしたが、あくまでも相対的な評価であって悪気はない。
ちっとも悪くはなかった。
ただ、湯屋番って歯切れのいい人がやるイメージなので、それだけちょっとね。
あと、ひとりキチガイ噺なのでもっと狂気が欲しい気がする。

実際の番組での順位と得点。

  1. 華紋  49
  2. 市弥  48
  3. 紫   47
  4. 志ん吉 47
  5. こはる 46
  6. 笑利  44

まあ、私の客観的評価も、当たらずといえども遠からずというところか。当てるもんじゃないけれど。

優勝した華紋さんはすごく良かったと思う。例年の優勝者と比べてもいいほうだろう。
この人のことは知らなかった。
不利なトップバッター。この人の「ふぐ鍋」最初に聴いた時点で、もうこの人優勝でいいやと思ったのも事実。
目の使い方から、会話のタイミングやら、そのすべてが上手い。
ベテランみたいな味。
東京では幇間だったりするが、登場人物の「大橋さん」は、三代目林家染丸の本名。
乞食に毒見をさせる、現代では人権感覚に抵触しかねない噺である。だからこそ、そこをさらっと演じるスキルが重要。

ただ、くまざわあかね先生作の新作落語で勝負した露の紫さんにグッときてしまいまして。
新作を料理する、演者の上手さがすばらしい。セリフを食い気味にカミシモを入れ替えるあたり。
「おばちゃん落語」というジャンルがあるかもしれない。桂あやめ師がパイオニア。
この落語はおばちゃんの設定ではないけど、おばちゃんである演者が前面に出てくるのでそんな印象。
いつも大阪のラジオで落語を聴いている私ではあるが、この人の最近の活躍ぶりも、悪いがそんなには知らない。
以前このNHKで準優勝したのは、調べたらもう6年前のことだそうな。
日常生活を描く新作落語というのは、東京には少ない。なにせ嫁姑がテーマだものな。
大阪には大阪の落語があるということだ。
くまざわ先生は、同じく落語作家の小佐田定雄先生の夫人であり、弟子である。
この大賞、まだ女性が受賞していない。いずれ獲れるといいですね。

個人的には、志ん吉さんと華紋さんとは僅差。
志ん吉さんのほうがややいいと思ったのは、トータルでの噺の組み立てにいたく感心したため。
序盤はいい声をアピールして、ゆっくり目のスタート。親父が酔っぱらうにつれ、だんだん賑やかにしていく。
そして、息子が帰ってきた際に、思いっきり倒れ込む。
普段の寄席でやったら、「クサイね」と言われる芸だが、コンテストなんだからウケを狙いにいっていいんじゃないかと思うのだ。
採点者に対しては不発だったかもしれないけど。
今回の出場者の中で、私が唯一そこそこ高座数を聴いている人。ひいき目に見る気はないけど、つい点数加えてしまうかもしれない。

こはるさんは、ネタの選択が良くなかったんじゃないか。
「黄金の大黒」って、寄席でもって彩りを添えるための噺だと思う。めでたいので披露目の際に出したり。
非常に楽しい噺だけど、そんなにウケどころはないと思う。
東京にいる私だが、こはるさんはまったく聴けていない。それにしても、元から上手かったにしても、さらにめちゃくちゃ上手くなりましたですな。
談春門下は、弟子が多数いたのに生き残った人がこはるさんだけ。
自分が師匠から受けた厳しさを、倍にして弟子に与える噺家というもの、私には意味が分からん。

笑利さんは「看板のピン」だったが、東京落語の方法論だった?
この噺のおやっさん、本来いかにも上方落語という登場人物。東京落語の同じ噺では、他にあまり例のない造型になる。
なのだが、なんだか江戸っ子の啖呵っぽかった。まあ、それはそれでアリだとは思います。
序盤は緊張して、ガチガチのマクラから入ったのはマイナスだろう。別にマクラいらないわけで。

しかし、レベルの高い年であり、評価に異論もないとなると、意外と書くことがなかったりします。
審査員の評価も、極端なものがなく妥当だろうと。
なので今年については、今日一日でおしまい。

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作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。